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クリニック開業の完全ガイド!費用相場や手順、失敗しないコツを徹底解説

クリニックを開業したいと思っても、「何から始めればいいのか」「どのくらい費用がかかるのか」と悩む医師は多いものです。開業には、理念の策定や資金調達、医療機器の導入、スタッフ採用など、多岐にわたる準備が必要です。

本記事では、クリニック開業までの手順・必要な費用・スケジュールを分かりやすく解説し、さらにコストを抑えられる方法や失敗しないためのポイントも紹介します。

初めての開業を成功に導くために、医師が押さえておくべき実践的なノウハウをぜひご活用ください。

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監修者情報:島村泰輝(放射線診断専門医)

クリニック開業の手順とスケジュールを徹底解説

クリニック開業までのステップ

実際にクリニックを開業するまでの工程は多岐にわたります。複数のタスクを同時並行するケースもあるため、開業までの流れや手順は事前に把握しておくことが重要です。
地域や診療科目によって優先度が変わる点に注意が必要ですが、ここでは一般的な流れを解説していきます。

  • ステップ1. 経営理念・診療方針を決める
  • ステップ2. 開業地と物件を選定する
  • ステップ3. 資金調達を行う
  • ステップ4. 医療機器・設備を選ぶ
  • ステップ5. スタッフを採用・研修する
  • ステップ6. 集患施策を実施する
  • ステップ7. 開業の手続きを進める

ステップ1. 経営理念・診療方針を決める

クリニック開業へ向けた最初のステップは、経営理念や診療内容を決めることです。開業へ向けた重要な指針になるため、“どのような患者さんに何を提供するか”を明確にしてください。

経営理念は経営の土台となる部分なので、時間をかけて決める必要があります。経営理念・診療方針がなかなか決まらない場合は、“なぜ開業するのか”という動機の部分を掘り下げていくことをおすすめします。

地域医療への貢献や身に付けた技術を活かしたいなど、クリニック開業を決意した自身の動機を可視化したうえで、理念と方針を決定していきます。

ステップ2. 開業地のエリアと物件を選定する

クリニックを開業する「エリア」と「物件」を選定します。エリアと物件の選定は、患者さんの集客に大きく影響を及ぼすため、慎重な準備を重ねたうえで検討を重ねるようにしましょう。

まず、最適なエリアを選定するためには、事前調査が重要です。そのためには、診療圏調査を実施したうえで、絞り込みを行いましょう。診療圏調査では、以下の点をチェックします。

  • 人口
  • 立地
  • エリアの発展性
  • 競合医院の数

次に「物件」です。一口に物件と言っても、テナント物件、戸建て物件、居ぬき物件、建て貸し物件などさまざまあります。以下を優先事項にしながら、適切なエリアと物件を選定することが重要です。

  • 目に付きやすい
  • 通院しやすい
  • 人が集まりやすい

開業地、物件ともに決まったら、患者さんがクリニックをどのように利用されるかや診療内容を意識しながら、内装工事を具体化していきましょう。内装工事は施工業者に発注して進めていきますが、着工時や途中で中間金を請求する業者もありますので、事前にまとまった資金を用意しておくとよいでしょう。

ステップ3. 資金調達を行う

開業資金が自己資金を超える場合は、金利・返済期間・団信加入などの条件面を精査しながら、金融機関から資金を調達する必要があります。主に以下の点も考慮しながら、余裕を持った資金調達を心がけることが重要です。

  • クリニック開業地の契約にかかる初期費用
  • 医療機器の導入費用
  • スタッフ採用にかかる費用
  • ランニングコスト

また、政府系金融機関、地方銀行、メガバンクなどから融資を受けるためには、融資担当者を納得させられる事業計画書の作成が不可欠です。事業計画書の明確な書き方は決まっていませんが、支出内訳・収支の見積もり・経営計画はマストで記載しておくべき内容となります。

金融機関から信頼を得て融資を受けやすくするためにも、税理士や開業コンサルタントへの依頼も検討しながら、現実的に実現可能な事業計画書を作成してください。

資金ショートを回避するためのコツについて税理士有資格の講師が登壇した以下のセミナーレポートもぜひ参考になさってください。

ステップ4. 医療機器・設備を選ぶ

開業日までにクリニックで使用する医療機器を選定します。クリニックを運営する上で不可欠な医療機器は、さまざまな企業から販売されているため、操作性や導入費用、サポートなどを比較しながら選ぶようにしましょう。

高機能な医療機器は導入費用やランニングコストも高くなる傾向にあるため、経営計画と照らし合わせたうえで、採算があう機器を選定する必要があります。

医療機器導入の注意点は以下の記事に詳しくまとめていますので、こちらも参考にしてください。

ステップ5. スタッフを採用・研修する

受付業務や診療のサポートが必要であれば、開業前にスタッフを採用して研修を行っておく必要があります。ハローワークや求人サイトで必要な人数を揃えるのが一般的ですが、スキルの高い経験者を募集するのであれば、専門業務に特化したサイトを利用してください。

最適な人数のスタッフを採用するには、時間あたり何人のスタッフがいれば業務を回せるかを事前に検討してみましょう。

クリニック開業における面接や採用に関しては、以下のセミナーレポートも参考になさってください。

ステップ6. 集患施策を実施する

まずは患者さんにクリニックの存在を知ってもらうことが大切です。

地域に根差したクリニックを考えているのであれば、どのような医師やクリニックなのかがわかるようなチラシやポスターで前もって告知をし、安心して通院いただけるように準備を進めましょう。

また、最近ではクリニックを探す際にはWeb検索をする方がほとんどです。まずは簡易的なものでもいいので、ホームページの作成は必須で対応しましょう。

Web集患として効果的なマーケティング施策であるSEO・MEO対策については、以下のセミナーレポートで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ステップ7. 開業の手続きを進める

最後は、クリニックを開業するための手続きを進めるステップです。

医院やクリニックは保険医療機関に指定されているため、申請をしなければ開業することはできません。クリニック開業に必要な手続きは以下の通りです。

  • 診療所開業届
  • 医療機関コードの取得
  • 保険医療機関指定申請書
  • 医師会への入会届

開業届はもちろんですが、医療機関コードを取得できなければ診療行為が許可されません。また、保険医療機関に指定されなければ保険診療が適用されないため注意が必要です。

他にも、開業時にスタッフを雇用する場合は、給与支払事務所の開設届、健康保険・厚生年金保険新規適用届、雇用保険適用事業所設置届を労務関係各所に提出する必要があります。

医師会への入会は必須ではありませんが、入会することで健診や予防接種の業務委託が増えるため、クリニックの知名度を上げるためにも入会届を出しておくことをおすすめします。

クリニックの開業に必要な手続き・書類、スケジュールなどを詳しく解説した以下の記事も是非参考にしてください。

これらのステップの各ポイントをよりわかりやすくまとめた
開業ハンドブックの実践版ダウンロード資料もぜひ参考にしてください

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クリニック開業の費用相場はいくら?内訳と節約のポイント

クリニック開業にかかる費用相場

一般的なクリニック開業でかかる費用は以下のとおりです。

  • 不動産取得費用(仲介金、敷金、礼金、前家賃)
  • 内装工事費用
  • 医療機器の導入費用
  • 運転資金(家賃や人件費などの固定費の支払い)
  • 医師会への入会金(約200万円)
  • 広告宣伝費用
  • 消耗品の購入費用

これらをすべて総合すると、クリニック開業にかかる費用は5,000万円程が相場となります。もちろん医師会へ入会するか否か、広告宣伝の方法などでも、かかる費用は大きく変わります。

開業費用に対して最も大きな割合を占めるのは、「物件の取得費用」と「医療機器の導入費用」の2点です。必要なものには投資はしつつも、これらをいかに抑えられるかが節約するためのポイントとなります。

また、最初に支払いが発生する費用だけではなく、クリニックの経営が安定するまでの運転資金も用意しておく必要があります。医療報酬の支払いは、概ね2~3ヶ月後になりますが、それまでも人件費や家賃は発生するため、少なくとも3ヶ月分の運転資金をあらかじめ確保しておくことが重要です。

診療科目別でも用意する資金の目安は異なってきます。それらについても詳しく解説した以下の記事もぜひ参考にしてください。

クリニック開業に必要な設備・医療機器

聴診器と注射器のイメージ

厳密にいうと、クリニック開業に必要な設備は科目によって異なります。例えば、消化器内科では内視鏡、皮膚科ではレーザー治療機器が必要になるでしょう。

この章では、どの科目であっても必要になるであろう設備についてご紹介します。

  • 医療機器・医療器具
  • 什器、電化製品
  • ホームページやチラシなどのPRグッズ
  • 事務用品、医療衛生材料などの消耗品

医療機器・医療器具

体温計やメスといった小型器具、血圧計や体重計などの中型機器、CTやMRIなどの大型機器などがありますが、科目によって必要な医療機器は大きく異なります。

高額医療機器は、地域の中核病院などと医療連携を結んだうえでアウトソーシングするという選択肢や、中古機器の購入を検討してみてもいいでしょう。また、医療機器はリースという選択肢もあります。しかし、リースは利息がかなり取られる傾向にあるため、トータルコストがかさむ可能性があります。その点を踏まえたうえでリースにすべきかの判断をするようにしましょう。

どの科目であっても必ず用意したほうがいいのは電子カルテです。内閣官房によって立ち上げられた「医療DX推進本部」によって、2030年までに概ねすべての医療機関において、電子カルテの導入を目指すことが公表されました。

開業時に医療機器を揃える際は、データをネットワーク上に保管する「クラウド型」と院内サーバーでデータ保管をされる「オンプレミス型」とがあります。医療機器ごとにタイプを統一し、連携できるかなども確認しておくといいでしょう。

クリニックの開業時に電子カルテをクラウド型とオンプレミス型にすることのメリットや、コストがどれくらい変わってくるのかなど、以下のセミナーレポートでも詳しく解説しています。参考にしてください。

什器、電化製品

診断時に医師が使用するデスクや椅子、待合室で患者さんが待っている時に使うソファ、マガジンラックやテレビ、空気清浄機、スタッフルームで使用する電子レンジや冷蔵庫なども用意する必要があります。

なお、一般家電で購入しても問題はないものの、院内ネットワークを構築する際は業務用の機器を使うことがおすすめします。業務用の機器は、安定性や性能が家庭用よりも格段に高くなります。

最近は医療機器もネットワークを介すものが多いため、クリニック経営において安定したネット環境の構築は、大切なポイントになります。 その他のネットワーク構築に関するポイントは以下の記事を参考にしてください。

ホームページやチラシなどのPRグッズ

地域に根ざしたクリニックの場合、ポスティングするためのチラシやポスターなどの制作も開院前に準備しておきましょう。

集客ツールとしても活用できるホームページは、不可欠です。ホームページの制作は、SEOやMEO対策なども考慮して作成してくれる制作会社に依頼すると集客のスタートダッシュを切りやすくていいでしょう。

また、Google マップにクリニック情報を登録することは、業者に頼らずとも自院でも行うことができるため、忘れずに行うようにしましょう。具体的にどのような情報を登録すればいいかは、以下のセミナーレポートでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

事務用品、医療衛生材料などの消耗品

文房具、コピー用紙、クリアファイルなどの事務用品、包帯やガーゼ、トイレットペーパーなどの消耗品、スリッパや傘立てなどの備品、スタッフが着用するユニフォームなども忘れずに用意しましょう。

クリニック開業で注目されるクラウドシステム導入のメリット

クラウドシステムとオンプレミスシステムのトータルコスト比較_セミナー資料

多くの開業医が悩むのが、医療機器やITシステムへの投資です。

「医療機器」と一口に言っても種類やグレードも様々ありますが、クリニック開業の場合は、クラウド型の医療機器を導入することをおすすめします。

クリニックの開業時にクラウドサービスを選定がおすすめな理由は3点あります。

  1. コストメリットが高い
  2. 拡張性が高い
  3. 連携がしやすく効率化やアナログ作業の負担が減少する

クラウド型は専用設備が不要で導入コストや更新費を抑えられる可能性が高く、ランニングコストを抑えられます。また、来院数に合わせてのちのち容量を拡張することが可能なため、来患数が読みづらいクリニック開業にクラウド型の製品は最適と言えます。

また、医療機器をクラウド製品で揃えることで、連携がよりスムーズにできることも。例えば、クラウド型電子カルテと、クラウドPACSを連携させることで、患者カルテに検査画像を紐づけられ、参照しやすくなるなどのメリットもあります。

弊社のクラウド型PACS「LOOKREC」を導入いただいた場合を例にしても、オンプレミス型と比較し、初期の導入費用を抑えられるのはもちろん、更新費用がかからないため、トータルコストが抑えることができます。(上記画像参照)

クラウド型PACSの導入を検討されている方は、以下の資料もぜひ参考になさってください。

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クリニックの開業にまつわるQ&A

Q. クリニック開業にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 一般的には計画から開業まで約1年が目安です。物件探しや融資審査に時間を要するため、早めの準備が重要です。

Q. クリニック開業にかかる費用はどのくらいですか?

A. 診療科や立地にもよりますが、平均的には5,000万円前後が相場です。内装・医療機器・人件費・広告宣伝費などが主な項目になります。なかでも物件取得費用と医療機器の占める割合が大きくなると言われています。

Q. 開業費用を抑えるためのコツはありますか?

A. 医療機器の選定にてクラウド型のシステムを導入する、居抜き物件を活用する、補助金制度を利用するなどが有効です。

Q. 開業資金はどのように調達すればいいですか?

A. 自己資金に加えて、政府系金融機関(日本政策金融公庫など)や銀行からの融資を利用するケースが一般的です。融資を受ける際は、収支計画や患者数見込みを含む事業計画書の作成が必須です。

Q. クリニック開業された際に「LOOKREC」を導入された事例紹介はありますか?

A. 以下のクリニック様では、新規開業時にクラウド型PACSとして「LOOKREC」を導入いただきました。ぜひ参考になさってください。

また、医療モール内でのクリニック連携のハブとして「LOOKREC」をご活用いただいたケースもございます。本事例は、YouTube「Webery!Channel」にも取材をいただきました。なぜオンプレミス型ではなくクラウド型を選定されたのか、実際の使い心地についてもお話しいただいておりますので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

この記事では、クリニック開業について以下の内容で解説しました。

実際に開業に向けて動き出すタイミングでは、以下のポイントを事前におさえ、クリニックの開業を成功させましょう。

  • 診療圏分析:人口動態や競合状況を事前に把握(地方では高齢者ニーズ、都市部ではアクセス性が重要)
  • 資金戦略の多様化:銀行融資だけでなく、政府系金融機関や補助金制度も活用を検討する
  • 医療機器の選定:コストメリットが大きいクラウド型の導入を検討する
  • 集患施策の実施:必須でサイト制作をし、「エリア+診療科」などのキーワード検索でヒットしやすいページ構成にしたり、Googleビジネスプロフィールの登録を実施する

クリニック開業は多額の投資と時間を要しますが、計画的に準備し、地域のニーズを正しく掴むことで成功に近づきます。特に費用のコントロールと集患施策は、開業直後の安定経営に直結します。開業を検討している医師の方は、ぜひ本記事を参考に準備を進めてみてください。

開業までの詳細なHOW TOを詰め込んだ、
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記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
2012年 名古屋市立大学医学部 卒業。同大学病院や市中病院で医師として勤務したのち、2019年にエムネスにジョイン。メディカルプロフェッショナルサービス本部副本部長を経て、2025年1月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。放射線診断専門医、医学博士。
セミナー開催中


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