
クリニック開業の流れと準備完全ガイド|費用・手続き・医療機器・集患まで解説
クリニック開業では、開業地・物件選定、資金調達、医療機器選定、スタッフ採用、集患施策、各種届出など、多くの準備を並行して進める必要があります。何から始めるべきか、どの時期に何を準備すべきかを把握できていないと、開業直前に対応が集中し、資金計画や運用設計にも影響が出る可能性があります。
本記事では、クリニック開業までの流れやスケジュール、必要な費用、医療機器・設備、開業時に検討したいITシステムまでを整理して解説します。開業準備の全体像を把握し、各項目の詳細は関連記事や資料もあわせて確認することで、より具体的に準備を進めやすくなります。
クリニック開業を検討する医師の方や、開業準備の優先順位を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
株式会社エムネス
メディカルソリューション本部長 執行役員
放射線診断専門医
島村 泰輝
2012年に名古屋市立大学医学部を卒業。同大学大学院医学研究科を修了し、医学博士を取得。放射線診断専門医。名古屋市立大学病院および地域の基幹病院での勤務を経て、2019年に株式会社エムネスへ入職。遠隔画像診断に従事する傍ら、医師視点を活かしたプロダクト開発・設計にも携わる。2025年1月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。医学部生を中心とした学生団体「MNiST」の監修も務める。
目次[非表示]
- 1.クリニック開業までの流れとスケジュール
- 1.1.ステップ1. 経営理念・診療方針を決める
- 1.2.ステップ2. 開業地のエリアと物件を選定する
- 1.3.ステップ3. 資金調達を行う
- 1.4.ステップ4. 医療機器・設備を選ぶ
- 1.5.ステップ5. スタッフを採用・研修する
- 1.6.ステップ6. 集患施策を実施する
- 1.7.ステップ7. 開業の手続きを進める
- 2.クリニック開業に必要な費用相場と内訳
- 3.クリニック開業に必要な設備・医療機器
- 3.1.医療機器・医療器具
- 3.2.什器、電化製品
- 3.3.ホームページやチラシなどのPRグッズ
- 3.4.事務用品、医療衛生材料などの消耗品
- 4.クリニック開業時に検討したいITシステム・クラウド活用
- 5.クリニックの開業にまつわるQ&A
- 5.1.Q. クリニック開業にはどのくらいの期間がかかりますか?
- 5.2.Q. クリニック開業にかかる費用はどのくらいですか?
- 5.3.Q. 開業費用を抑えるためのコツはありますか?
- 5.4.Q. 開業資金はどのように調達すればいいですか?
- 5.5.Q. クリニック開業された際に「LOOKREC」を導入された事例紹介はありますか?
- 6.まとめ
クリニック開業までの流れとスケジュール

クリニック開業では、経営理念の策定から物件選定、資金調達、医療機器導入、採用、集患施策、各種届出まで、多くの準備を段階的に進める必要があります。開業直前に慌てないためにも、全体の流れを事前に把握し、スケジュールを整理しながら進めることが重要です。
地域や診療科目によって優先度が変わる点に注意が必要ですが、ここでは一般的な流れを解説していきます。
- ステップ1. 経営理念・診療方針を決める
- ステップ2. 開業地と物件を選定する
- ステップ3. 資金調達を行う
- ステップ4. 医療機器・設備を選ぶ
- ステップ5. スタッフを採用・研修する
- ステップ6. 集患施策を実施する
- ステップ7. 開業の手続きを進める
ステップ1. 経営理念・診療方針を決める
クリニック開業へ向けた最初のステップは、経営理念や診療内容を決めることです。開業へ向けた重要な指針になるため、“どのような患者さんに何を提供するか”を明確にしてください。
経営理念は経営の土台となる部分なので、時間をかけて決める必要があります。経営理念・診療方針がなかなか決まらない場合は、“なぜ開業するのか”という動機の部分を掘り下げていくことをおすすめします。
地域医療への貢献や身に付けた技術を活かしたいなど、クリニック開業を決意した自身の動機を可視化したうえで、理念と方針を決定していきます。
ステップ2. 開業地のエリアと物件を選定する
クリニックを開業する「エリア」と「物件」を選定します。エリアと物件の選定は、患者さんの集客に大きく影響を及ぼすため、慎重な準備を重ねたうえで検討を重ねるようにしましょう。
まず、最適なエリアを選定するためには、事前調査が重要です。そのためには、診療圏調査を実施したうえで、絞り込みを行いましょう。診療圏調査では、以下の点をチェックします。
- 人口
- 立地
- エリアの発展性
- 競合医院の数
次に「物件」です。一口に物件と言っても、テナント物件、戸建て物件、居ぬき物件、建て貸し物件などさまざまあります。以下を優先事項にしながら、適切なエリアと物件を選定することが重要です。
- 目に付きやすい
- 通院しやすい
- 人が集まりやすい
開業地、物件ともに決まったら、患者さんがクリニックをどのように利用されるかや診療内容を意識しながら、内装工事を具体化していきましょう。内装工事は施工業者に発注して進めていきますが、着工時や途中で中間金を請求する業者もありますので、事前にまとまった資金を用意しておくとよいでしょう。
開業地(都会・地方)や新規・継承などの開業形態ごとの特徴やコストやリスクの違いについて解説した以下のセミナーレポートも参考にしてください。
ステップ3. 資金調達を行う
開業資金が自己資金を超える場合は、金利・返済期間・団信加入などの条件面を精査しながら、金融機関から資金を調達する必要があります。主に以下の点も考慮しながら、余裕を持った資金調達を心がけることが重要です。
- クリニック開業地の契約にかかる初期費用
- 医療機器の導入費用
- スタッフ採用にかかる費用
- ランニングコスト
また、政府系金融機関、地方銀行、メガバンクなどから融資を受けるためには、融資担当者を納得させられる事業計画書の作成が不可欠です。事業計画書の明確な書き方は決まっていませんが、支出内訳・収支の見積もり・経営計画はマストで記載しておくべき内容となります。
金融機関から信頼を得て融資を受けやすくするためにも、税理士や開業コンサルタントへの依頼も検討しながら、現実的に実現可能な事業計画書を作成してください。
診療科目別の相場や自己資金の目安など、クリニック開業における費用に関することは以下の記事もぜひ参考にしてください。
ステップ4. 医療機器・設備を選ぶ
開業日までにクリニックで使用する医療機器を選定します。クリニックを運営する上で不可欠な医療機器は、さまざまな企業から販売されているため、操作性や導入費用、サポートなどを比較しながら選ぶようにしましょう。
高機能な医療機器は導入費用やランニングコストも高くなる傾向にあるため、経営計画と照らし合わせたうえで、採算があう機器を選定する必要があります。
医療機器導入の注意点は以下の記事に詳しくまとめていますので、こちらも参考にしてください。
ステップ5. スタッフを採用・研修する
受付業務や診療のサポートが必要であれば、開業前にスタッフを採用して研修を行っておく必要があります。ハローワークや求人サイトで必要な人数を揃えるのが一般的ですが、スキルの高い経験者を募集するのであれば、専門業務に特化したサイトを利用してください。
最適な人数のスタッフを採用するには、時間あたり何人のスタッフがいれば業務を回せるかを事前に検討してみましょう。
クリニック開業における面接や採用に関しては、以下のセミナーレポートも参考になさってください。
ステップ6. 集患施策を実施する
まずは患者さんにクリニックの存在を知ってもらうことが大切です。
地域に根差したクリニックを考えているのであれば、どのような医師やクリニックなのかがわかるようなチラシやポスターで前もって告知をし、安心して通院いただけるように準備を進めましょう。
また、最近ではクリニックを探す際にはWeb検索をする方がほとんどです。まずは簡易的なものでもいいので、ホームページの作成は必須で対応しましょう。
クリニックにおける効果的な集患施策については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ステップ7. 開業の手続きを進める
最後は、クリニックを開業するための手続きを進めるステップです。
医院やクリニックは保険医療機関に指定されているため、申請をしなければ開業することはできません。クリニック開業に必要な手続きは以下の通りです。
- 診療所開業届
- 医療機関コードの取得
- 保険医療機関指定申請書
- 医師会への入会届
開業届はもちろんですが、医療機関コードを取得できなければ診療行為が許可されません。また、保険医療機関に指定されなければ保険診療が適用されないため注意が必要です。
他にも、開業時にスタッフを雇用する場合は、給与支払事務所の開設届、健康保険・厚生年金保険新規適用届、雇用保険適用事業所設置届を労務関係各所に提出する必要があります。
医師会への入会は必須ではありませんが、入会することで健診や予防接種の業務委託が増えるため、クリニックの知名度を上げるためにも入会届を出しておくことをおすすめします。
クリニックの開業に必要な手続き・書類、スケジュールなどを詳しく解説した以下の記事も是非参考にしてください。
クリニック開業に必要な費用相場と内訳

クリニック開業では、物件取得費用や内装工事費、医療機器導入費用など、多額の初期費用が発生します。また、開業後すぐに経営が安定するとは限らないため、運転資金まで含めた資金計画を立てることが重要です。
一般的なクリニック開業でかかる費用は以下のとおりです。
- 不動産取得費用(仲介金、敷金、礼金、前家賃)
- 内装工事費用
- 医療機器の導入費用
- 運転資金(家賃や人件費などの固定費の支払い)
- 医師会への入会金(約200万円)
- 広告宣伝費用
- 消耗品の購入費用
これらをすべて総合すると、クリニック開業にかかる費用は5,000万円程が相場となります。もちろん医師会へ入会するか否か、広告宣伝の方法などでも、かかる費用は大きく変わります。
開業費用に対して最も大きな割合を占めるのは、「物件の取得費用」と「医療機器の導入費用」の2点です。必要なものには投資はしつつも、これらをいかに抑えられるかが節約するためのポイントとなります。
また、最初に支払いが発生する費用だけではなく、クリニックの経営が安定するまでの運転資金も用意しておく必要があります。医療報酬の支払いは、概ね2~3ヶ月後になりますが、それまでも人件費や家賃は発生するため、少なくとも3ヶ月分の運転資金をあらかじめ確保しておくことが重要です。
開業初年度から黒字化するためにのコスト設計については以下のセミナーレポートでも解説されています。ぜひあわせてご確認ください。
クリニック開業に必要な設備・医療機器

開業時に必要となる設備や医療機器は診療科目によって異なりますが、電子カルテや院内ネットワークなど、診療科を問わず重要となる設備もあります。導入費用だけでなく、運用負荷や将来的な拡張性も踏まえて選定することが大切です。
厳密にいうと、クリニック開業に必要な設備は科目によって異なります。例えば、消化器内科では内視鏡、皮膚科ではレーザー治療機器が必要になるでしょう。
この章では、どの科目であっても必要になるであろう設備についてご紹介します。
- 医療機器・医療器具
- 什器、電化製品
- ホームページやチラシなどのPRグッズ
- 事務用品、医療衛生材料などの消耗品
医療機器・医療器具
体温計やメスといった小型器具、血圧計や体重計などの中型機器、CTやMRIなどの大型機器などがありますが、科目によって必要な医療機器は大きく異なります。
高額医療機器は、地域の中核病院などと医療連携を結んだうえでアウトソーシングするという選択肢や、中古機器の購入を検討してみてもいいでしょう。また、医療機器はリースという選択肢もあります。しかし、リースは利息がかなり取られる傾向にあるため、トータルコストがかさむ可能性があります。その点を踏まえたうえでリースにすべきかの判断をするようにしましょう。
どの科目であっても必ず用意したほうがいいのは電子カルテです。内閣官房によって立ち上げられた「医療DX推進本部」によって、2030年までに概ねすべての医療機関において、電子カルテの導入を目指すことが公表されました。
開業時に医療機器を揃える際は、データをネットワーク上に保管する「クラウド型」と院内サーバーでデータ保管をされる「オンプレミス型」とがあります。医療機器ごとにタイプを統一し、連携できるかなども確認しておくといいでしょう。
クリニックの開業時に電子カルテをクラウド型とオンプレミス型にすることのメリットや、コストがどれくらい変わってくるのかなど、以下のセミナーレポートでも詳しく解説しています。参考にしてください。
什器、電化製品
診断時に医師が使用するデスクや椅子、待合室で患者さんが待っている時に使うソファ、マガジンラックやテレビ、空気清浄機、スタッフルームで使用する電子レンジや冷蔵庫なども用意する必要があります。
なお、一般家電で購入しても問題はないものの、院内ネットワークを構築する際は業務用の機器を使うことがおすすめします。業務用の機器は、安定性や性能が家庭用よりも格段に高くなります。
最近は医療機器もネットワークを介すものが多いため、クリニック経営において安定したネット環境の構築は、大切なポイントになります。 その他のネットワーク構築に関するポイントは以下の記事を参考にしてください。
ホームページやチラシなどのPRグッズ
地域に根ざしたクリニックの場合、ポスティングするためのチラシやポスターなどの制作も開院前に準備しておきましょう。
集客ツールとしても活用できるホームページは、不可欠です。ホームページの制作は、SEOやMEO対策なども考慮して作成してくれる制作会社に依頼すると集客のスタートダッシュを切りやすくていいでしょう。
また、Google マップにクリニック情報を登録することは、業者に頼らずとも自院でも行うことができるため、忘れずに行うようにしましょう。具体的にどのような情報を登録すればいいかは、以下のセミナーレポートでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
事務用品、医療衛生材料などの消耗品
文房具、コピー用紙、クリアファイルなどの事務用品、包帯やガーゼ、トイレットペーパーなどの消耗品、スリッパや傘立てなどの備品、スタッフが着用するユニフォームなども忘れずに用意しましょう。
クリニック開業時に検討したいITシステム・クラウド活用

開業時に電子カルテやPACSなどの医療システムを検討する際は、クラウド型システムも選択肢の一つになります。クラウド型システムは、初期費用や保守負担を抑えやすいだけでなく、将来的な拡張性や他システムとの連携面でもメリットがあります。
クリニックの開業時にクラウドサービスを選定がおすすめな理由は3点あります。
- コストメリットが高い
- 拡張性が高い
- 連携がしやすく効率化やアナログ作業の負担が減少する
クラウド型は専用サーバーなどの設備を持たずに利用できるため、初期費用や更新費・対応の負担を抑えられます。また、来院数に合わせてのちのち容量を拡張することが可能なため、来患数が読みづらいクリニック開業にクラウド型の製品は最適と言えます。
また、医療機器をクラウド製品で揃えることで、連携がよりスムーズにできることも。例えば、クラウド型電子カルテと、クラウドPACSを連携させることで、患者カルテに検査画像を紐づけられ、参照しやすくなるなどのメリットもあります。
クラウド型PACSとオンプレミス型PACSの比較については以下の記事もぜひ参考にしてください。
弊社のクラウド型PACS「LOOKREC」を導入いただいた場合を例にしても、オンプレミス型と比較し、初期の導入費用を抑えられるのはもちろん、更新費用がかからないため、トータルコストが抑えることができます。(上記画像参照)
クラウド型PACSの導入を検討されている方は、以下の資料もぜひ参考になさってください。
クリニックの開業にまつわるQ&A
ここでは、クリニック開業を検討する医師からよく寄せられる質問についてまとめています。開業までの期間や費用相場、資金調達方法、クラウド型システム導入事例など、開業前に押さえておきたいポイントを確認できます。
Q. クリニック開業にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的には計画から開業まで約1年が目安です。物件探しや融資審査に時間を要するため、早めの準備が重要です。
Q. クリニック開業にかかる費用はどのくらいですか?
A. 診療科や立地にもよりますが、平均的には5,000万円前後が相場です。内装・医療機器・人件費・広告宣伝費などが主な項目になります。なかでも物件取得費用と医療機器の占める割合が大きくなると言われています。
Q. 開業費用を抑えるためのコツはありますか?
A. 医療機器の選定にてクラウド型のシステムを導入する、居抜き物件を活用する、補助金制度を利用するなどが有効です。
Q. 開業資金はどのように調達すればいいですか?
A. 自己資金に加えて、政府系金融機関(日本政策金融公庫など)や銀行からの融資を利用するケースが一般的です。融資を受ける際は、収支計画や患者数見込みを含む事業計画書の作成が必須です。
資金ショートを回避するためのコツについて税理士有資格の講師が登壇した以下のセミナーレポートもぜひ参考になさってください。
Q. クリニック開業された際に「LOOKREC」を導入された事例紹介はありますか?
A. 以下のクリニック様では、新規開業時にクラウド型PACSとして「LOOKREC」を導入いただきました。ぜひ参考になさってください。
また、医療モール内でのクリニック連携のハブとして「LOOKREC」をご活用いただいたケースもございます。本事例は、YouTube「Webery!Channel」にも取材をいただきました。なぜオンプレミス型ではなくクラウド型を選定されたのか、実際の使い心地についてもお話しいただいておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
クリニック開業を成功させるには、資金計画や物件選定、医療機器導入、集患施策などを総合的に設計することが重要です。特に開業前の準備内容は、開業後の経営や運用負荷にも大きく影響するため、早い段階から計画的に進めることが求められます。
実際に開業に向けて動き出すタイミングでは、以下のポイントを事前におさえ、クリニックの開業を成功させましょう。
- 診療圏分析:人口動態や競合状況を事前に把握(地方では高齢者ニーズ、都市部ではアクセス性が重要)
- 資金戦略の多様化:銀行融資だけでなく、政府系金融機関や補助金制度も活用を検討する
- 医療機器・システム選定:導入費用だけでなく、保守費・更新費、連携性・運用負荷まで確認する
- 集患施策の実施:必須でサイト制作をし、「エリア+診療科」などのキーワード検索でヒットしやすいページ構成にしたり、Googleビジネスプロフィールの登録を実施する
クリニック開業は多額の投資と時間を要しますが、計画的に準備し、地域のニーズを正しく掴むことで成功に近づきます。特に費用のコントロールと集患施策は、開業直後の安定経営に直結します。開業を検討している医師の方は、ぜひ本記事を参考に準備を進めてみてください。
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なお、開業後の経営について・クリニック経営における失敗の要因については、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらもあわせてぜひご確認ください。








