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クリニック開業の費用はいくら必要?相場・内訳、診療科目別の目安、失敗しない資金計画を解説

「クリニック開業にはどれくらいの費用が必要なのか」「自己資金はどの程度必要なのか」「開業後に資金ショートしないためにはどうすべきか」など、不安を感じている先生も多いのではないでしょうか。

クリニック開業には、物件取得費や内装工事費、医療機器費だけでなく、開業後の運転資金まで含めた資金計画が重要です。特に近年は建築費や人件費の高騰もあり、開業後の固定費設計まで見据えた準備が欠かせません。

本記事では、クリニック開業に必要な費用相場や内訳、診療科目別の目安、自己資金の考え方、費用を抑えるポイントまでを網羅的に解説します。

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株式会社SoLabo代表取締役・税理士有資格者 田原広一

この記事の監修者
株式会社SoLabo 代表取締役
税理士有資格者
田原 広一

資格の学校TACで税理士講座財務諸表論の講師を5年、講師2年目より個人事業主として融資支援業務やSEO対策業務を行う。2015年株式会社SoLaboを設立、融資支援実績6,000件以上、400億円以上の融資支援実績。事業再構築補助金は第4回~8回まで5回連続日本一の採択件数。補助金の対応件数は日本トップクラスの実績。毎月2,000件の問い合わせを獲得し、起業家支援を実施。

クリニック開業に必要な資金はいくら?自己資金・運転資金の目安

クリニック開業に必要な資金は、一般的に5,000万円〜1億円程度が目安です。ただし、開業資金だけでなく、自己資金や開業後の運転資金・予備費まで含めて計画することが重要です。

それぞれの考え方や目安金額について解説します。

クリニック開業で必要な自己資金は10〜20%が目安

クリニック開業に必要な自己資金は、一般的に開業資金全体の10〜20%程度が目安とされています。

開業資金が5,000万円の場合は500万〜1,000万円程度、1億円の場合は1,000万〜2,000万円程度の自己資金を準備しておくと、金融機関からの融資を受けやすくなります。

ただし、自己資金が多ければ多いほど良いというわけではありません。クリニック経営では、開業後の運転資金を十分に確保しておくことも重要です。開業直後は患者数が安定せず、診療報酬の入金にもタイムラグが発生するため、開業資金に自己資金を使い切ってしまうと、かえって資金繰りが苦しくなる可能性があります。

そのため、開業時は融資を上手に活用しながら手元資金を厚く確保し、経営の安定性を高めるという考え方も重要です。なお、日本政策金融公庫や医師信用組合、WAMなどを活用した具体的な資金調達方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

運転資金・予備費は開業資金の20〜30%が目安

運転資金と予備費は、一般的に開業資金全体の20〜30%程度、もしくは月々の支出の2〜3か月分を目安に確保しておくとよいでしょう。

クリニック開業後は、すぐに患者数が安定するとは限らず、診療報酬の入金までにも2〜3か月程度のタイムラグがあります。一方で、人件費や家賃、医薬品代、光熱費などの支出は継続して発生するため、当面の運転資金を準備しておくことが重要です。

また、設備の修繕や医療機器の故障など、想定外の出費に備えるための予備費も必要になります。

近年は建築資材や人件費の高騰などにより、当初の想定以上に費用が発生するケースもあるため、余裕を持った資金計画を立てておくことをおすすめします。

開業後のクリニック経営に関しては以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

開業費用は開業形態・立地・診療科で大きく変わる

クリニック開業費用は一律ではありません。診療科によって必要な医療機器が異なるほか、都心か地方か、新規開業か継承開業かによっても大きく変動します。まずは自院の開業条件に近いケースで資金計画を立てることが重要です。特に以下の項目は資金額の変動に大きく影響します。

  • 診療科
  • 開業形態(新規 or 継承)
  • 開業エリア
  • クリニックの規模
  • 揃える医療機器の種類や数
  • 賃料

例えば、都心で有床の大規模なクリニックを開業する場合や、MRIなどの高額な医療機器を必要とする診療科であれば、より高額な資金が必要となります。

開業形態や、開業エリアにおける費用に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

クリニック開業にかかる費用の内訳・相場

クリニック開業に必要な諸費用の内訳と相場は下表の通りです。

内訳

相場

物件取得費

500万円〜3,000万円

内装工事費

1,000万円〜2,000万円

医療機器・備品費

500万円〜3,000万円

広告宣伝費

200〜300万円

人件費

100〜200万円

その他

備品費用

50〜200万円

医師会諸々費

50〜100万円

水道・光熱費

5〜20万円

物件取得費は開業における土地建物の購入費用や、テナントの場合であれば敷金礼金・仲介手数料などを指します。

次に、物件を決めたら内装工事を行いますが、精神的に落ち着く待合室や高齢者向けのバリアフリー設計など、こだわって設計するほど費用も高額になります。

医療機器・備品費は診療科によってもかなりの幅があり、特にCTやMRIなどの検査機器を導入した場合は高額です。

他にも、集患のための広告宣伝費、スタッフに支払う人件費など、開業時にはさまざまな費用が発生することを把握しておきましょう。

クリニック経営の成否は、開業前の設計が何よりも大事です。それらのポイントについて解説した、以下のセミナーレポートもぜひ参考にしてください。

【診療科目別】クリニック開業費用の目安

開業費用の目安

各診療科の開業費用の目安と特性を、下表で解説します。

診療科目

開業費用の目安

補足

一般内科

5,000万円〜1億円

競合が多い診療科であり、購入する医療機器や内装・広告にかける費用によって差別化が図れる分、開業資金にも幅がある

呼吸器内科

7,000万円〜9,000万円

X線装置やCTなどの検査機器を購入することが一般的な診療科であり、一般内科より高額になりやすい

循環器内科

5,000万円〜8,000万円

超音波装置や心電計など、比較的安価な検査機器が多く、内科系の中では低額になりやすい

消化器内科

8,000万円〜1億円

競争率が高く、内視鏡検査の実施などで差別化を図る必要がある一方で、内視鏡装置の購入や複数トイレ・回復室の設置など、費用も高額になりやすい

整形外科

5,000万円〜9,000万円

X線装置の購入が必要であり、リハビリのための理学療法士の雇用やスペースの確保などによって高額になる可能性がある

小児科

4,000万円〜6,000万円

高額な検査機器などは不要で、基本的に低額になりやすいが、キッズルームの拡充などで費用が上がる可能性がある

産婦人科

5,000万円〜1億円

分娩を取り扱う場合は入院設備なども含め費用が高額になりやすく、非常に高額な医療機器を必要とする不妊治療を行う場合は億単位の資金が必要となる

皮膚科

4,000万円〜5,000万円

高額な検査機器などは不要で、基本的に低額になりやすいが、自由診療を行う場合は医療機器の購入で高額になるケースも

眼科

5,000万円〜7,500万円

医療機器・備品費が大きく影響する診療科であり、レーザー治療など導入する場合は高額になる

耳鼻咽喉科

4,000万円〜6,000万円

基本的にコストを抑えやすいが、検査のための防音室の設置や手術を行う場合は高額になる

泌尿器科

3,000万円〜5,000万円

尿分析装置や膀胱鏡の購入が必要であるが、そこまで高額な検査機器ではなくコストを抑えやすい

精神科・
心療内科

2,000万円〜4,000万円

高額な検査機器や広い診療スペースなど不要であり、他の診療科と比較して低額になりやすい

脳神経内科・
外科

6,000万円〜2億5,000万円

高額な検査機器、特にMRIの購入によって開業資金は高額になりやすい

クリニック開業の主な資金調達方法

診療科に関わらず、クリニックの開業にはある程度の資金が必要であり、最初から全て現金で用意するのは困難です。
多くの場合、ある程度の自己資金を用意した上で、下記のような方法で資金調達します。

  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)
  • 民間金融機関(銀行・信用金庫)
  • 医師信用組合
  • 独立行政法人福祉医療機構(WAM)
  • リース会社
  • 補助金・助成金

ここでは、代表的な資金調達方法について解説します。

政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)

クリニック開業の資金調達方法として、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関の利用が挙げられます。

日本政策金融公庫は、新規事業に対して上限7,200万円(うち運転資金4,800万円)を融資してくれます。

また、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内と比較的長く、また政府系の金融機関であるため、比較的低金利で融資を受けられる点がメリットです。

政府と中小企業組合が共同出資して形成される金融機関である商工中金でも、クリニックの規模や事業計画に応じてオーダーメイドの融資を低金利で行っています。

民間金融機関(銀行・信用金庫)

クリニック開業の資金調達方法として、銀行や信用金庫などの民間金融機関の利用が挙げられます。

銀行や信用金庫でも医療機関の開業向け融資プランを提供していますが、金融機関によって返済期間や上限額など、融資の条件が異なるため、自院の条件に合った融資を受けることが重要です。融資以外にもビジネスサポートや研修など、さまざまな形で開業をサポートしてくれる点も魅力です。地方での開業を考えている方は、地方銀行の融資条件も比較してみると良いでしょう。

医師信用組合

クリニック開業の資金調達方法として、医師信用組合の利用が挙げられます。

医師信用組合とは、医師会の会員や関連組織が共同で出資・運用する医師専用の金融機関です。医師の相互扶助を目的としており、新規開業における物件取得費や医療機器・備品費など、さまざまな費用に対し比較的高額な融資をしてくれますが、その代わり医師会への加入が条件となります。

融資の細かい条件は各都道府県の医師信用組合によっても異なるため、自身の属する都道府県の医師信用組合をチェックしてみると良いでしょう。

独立行政法人福祉医療機構(WAM)

クリニック開業の資金調達方法として、独立行政法人福祉医療機構の利用が挙げられます。

独立行政法人福祉医療機構は、福祉の増進や医療の普及を目的に、医療施設の整備のための貸付事業などを展開しています。

建築資金は有床の場合は5億円以内、無床・歯科の場合は3億円以内、土地取得資金は3億円以内、機械購入資金は2,500万円以内(もしくは購入金額の80%以内)、長期運転資金は300万円以内(もしくは所要資金の80%以内)の融資が可能です。

長期間低金利で融資を受けることができる一方、融資を受けるためには不動産の担保が必要である点には注意が必要です。

リース会社

クリニック開業の資金調達方法として、リース会社の利用が挙げられます。

医療機器のリース会社の中には、開業支援として貸付プランを提供している会社もあり、利用する場合は高額な医療機器のリース契約とともに開業資金のローン契約を行います。

他の資金調達方法よりも審査が通りやすく、スピーディーに資金調達できますが、その分金利が高い傾向にあるため、あくまで資金調達のオプションとして捉えておくと良いでしょう。

補助金・助成金

補助金・助成金の利用も資金調達方法の1つです。

国や自治体はクリニック開業においてさまざまな補助金・助成金制度を実施しています。具体的に、下記のような制度を利用できます。

  • 創業補助金:創業時に生じる経費の一部を国や地方自治体が補助してくれる制度
  • 事業承継・引継ぎ補助金:医療継承で開業する場合に受けられる補助金制度
  • IT導入補助金:電子カルテやレセコンなど、ITツール導入にかかる費用の一部を補助する制度
  • 医療施設等施設設備費補助金:主にへき地医療の確保や研修環境の充実を目的とした施設整備に対する補助金
  • ものづくり補助金:医療機器や医療器具などの設備費用に対する補助金

それぞれの補助金・助成金には適用条件が定められており、仮に条件を満たしてもあくまで開業資金の一部に対する補助・助成であるため、他の融資とうまく併用することが重要です。

なお、クリニック開業の資金調達のコツに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

クリニックの開業費用を抑えるポイント

開業費用を抑えるためのポイント

開業費用を抑えるためのポイントは主に下記の5つです。

  1. 物件選び
  2. 内装工事
  3. 医療機器
  4. 広告宣伝
  5. その他

ポイント1. 物件選び 立地と費用のバランスを検討する

物件選びで開業費用を抑えるためには、立地と費用のバランスを検討しましょう。

都市部の駅近物件や周辺環境の整った好立地の物件は取得費が高額になりやすく、予算に見合わない物件を選ぶと経営が圧迫されるため、注意が必要です。

また、同じような立地でも戸建て型・ビルテナント型・医療モール型などの物件タイプによって物件取得費は異なるため、それぞれのメリット・デメリットを考慮した上で選ぶべきです。

物件が未定な場合や、決まっていても自己資金に対してあまりにも高額な場合、融資が通りにくくなってしまうため、立地と費用のバランスをしっかり検討した上で選ぶと良いでしょう。

ポイント2. 内装工事 必要最低限の設備投資に抑える

内装工事費を抑えるためには、設備投資を必要最低限に抑えましょう。

開業前から内装にこだわりすぎると、無駄な工事になってしまったり、過剰な設備投資につながる可能性もあるためです。

複数業者で相見積もりを行ったり、設計と施工をワンストップで行ってくれる業者を選定する、もしくは居抜き物件を購入することで、内装工事費を抑えることができます。

理想のクリニックを追い求めて、つい内装にこだわってしまいたくなるものですが、開業してから気づいたニーズに合わせて追加工事していくことを勧めます。

ポイント3. 医療機器 購入方法だけでなく運用コストまで考えて選定する

医療機器・備品費を抑えるためには、医療機器の選定に注意すべきです。

過剰な設備投資は、コストがかさんでしまい、開業当初の経営をより不安定なものにしてしまいます。特に、CTやMRIなどの高額医療機器は、開業初期の段階では、中古での購入や、近隣の医療機関との連携、リースを活用するといった選択肢もあります。

また、電子カルテやPACSなどの医療情報システムは、オンプレミス型とクラウド型ではトータルコストが大きく異なります。クラウド製品を選定することで、導入費用や更新費用を抑えられる可能性があるため、5年後・10年後などの中長期での運用コストまで比較したうえで、自院に適したシステム選定をすることが重要です。

開業時の医療機器の選定に関してのポイントを解説した記事や、クリニック開業時に電子カルテや医療機器をクラウド連携することの効率化やコストメリットについて解説した以下の記事もぜひ参考にしてください。

ポイント4. 広告宣伝 効果的なチャネル選定

広告宣伝費を抑えるためには、より効果的なチャネルを選定しましょう。

ターゲットにする患者の年齢層や性別などを考慮し、ターゲット層に合った広告チャネルを選択することで費用を抑えつつ、広告効果を高めることができます。

例えば、高齢者の多い地域であればSNSやインターネットなどのweb広告よりも、新聞折り込みやポスティングの方がより効果的です。他の費用と同様、複数社での相見積もりを行って選定すると良いでしょう。

なおweb集患のポイントに関しては以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ポイント5. その他

開業資金を抑えるには、他にも下記のような方法があります。

  • クリニックを継承する
  • 専門家の活用による効率的な資金計画

すでに設備や環境が整っているクリニックを継承すれば、初期の設備投資や物件取得費を大幅に軽減することができます。地域の患者を引き継ぐことができれば、開業初期からより安定的な経営を目指せる点も魅力です。

また、これまで開業経験のない先生が緻密な資金計画を立てることは困難です。税理士や医療コンサルタントなどの専門家を活用することで、より効率的な資金計画を立てることができるのでおすすめです。

まとめ

クリニック開業に必要な費用は、一般的に5,000万円〜1億円程度が目安です。ただし、診療科や開業形態、立地、導入する医療機器によって必要な資金は大きく変わります。

開業時は、物件取得費や内装工事費、医療機器・備品費だけでなく、自己資金、運転資金、予備費まで含めて資金計画を立てることが重要です。特に開業直後は患者数が安定しにくく、診療報酬の入金にもタイムラグがあるため、手元資金に余裕を持たせる必要があります。

また、開業費用を抑えるには、物件選びや内装工事、医療機器の購入方法だけでなく、電子カルテやPACSなどの医療情報システムを含めた中長期の運用コストまで比較することが大切です。

これからクリニック開業を検討する先生は、初期費用だけで判断せず、開業後の固定費や資金繰りまで見据えた計画を立てましょう。

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クリニック開業までの全体の流れに関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、全体感を掴みたい方はぜひ参考にしてください。

執筆者:H1113(ペンネーム)
執筆者:H1113(ペンネーム)
2014年に都内の医学部を卒業後、患者様の健康を守るべく臨床医として約10年間医療現場で活動。現在も麻酔科として急性期病院にて勤務。その傍ら執筆や発信活動を開始し、これまでに執筆した医療・健康系の記事は300を超える。
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