地域医療連携とは?必要性やメリット、課題解決につながるシステム導入事例まで徹底解説!
地域医療連携とは、医療機関同士が連携し、それぞれの役割を明確に分担することによって、良質で適切な医療を効率的に提供する仕組みのことです。
少子高齢化が進む現代の日本において、限られた医療資源をいかに効率よく活用できるかが大きな課題となっており、そのため地域医療連携の重要性や必要性がますます高まっています。
本記事では、地域医療連携の基本的知識や必要とされている背景、地域医療連携を導入するメリット、取り組む上での課題、さらにその課題解決のためのポイントまで幅広く解説いたします。なおDICOMプラットフォーム「LOOKREC」を活用した地域医療連携の事例もご紹介します。
より多くの患者さんにスムーズな医療を提供できる地域医療連携の導入を考えられている方は、是非最後までご覧いただき、参考にしてください。
地域医療連携や病診連携に役立つ
医療連携ガイドブックの無料ダウンロードはこちらをクリック!
▼
目次[非表示]
地域医療連携とは
地域医療連携とは、病院単体で医療を提供するのではなく、病院・診療所・介護施設などが「地域」という単位で連携し、患者さんに対して良質で適切な医療を効率的に提供する仕組みのことを指します。
具体的には、以下のように複数の医療・介護・福祉機関が役割分担しながら患者を支える体制が構築されます。
- かかりつけ医(診療所)から病院への紹介
- 症状が安定した後の病院からかかりつけ医への逆紹介
- 行政や地域の福祉施設と連携した在宅医療の提供
なお、厚生労働省の「地域医療構想」のページでは、下記のように言及されています。
地域医療構想は、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするものです。
地域医療連携の目的
少子高齢化の進む日本では、地域において良質かつ適切な医療を効果的に提供するために「地域医療連携推進法人制度」といった制度を設けるなど、国をあげて地域医療連携が進められています。
このように地域医療連携が推進される主な役割や目的は、以下の3つがあげられます。
- 切れ目のない医療の提供
- 地域医療レベルの維持
- 医療従事者の業務負担を軽減
目的1. 切れ目のない医療の提供
地域の患者さんに対して急性期から回復期を経て自宅に戻るまでスムーズに切れ目のない医療を提供することは地域医療連携の最大の目的です。
それぞれの地域には、以下のように役割の異なる医療機関が混在しています。
- 24時間の高度な救命救急を展開する高度急性期病院
- 一般的な急性期の患者さんに対応する急性期病院
- リハビリなど行う回復期病院
- 長期に渡って療養が必要となる慢性期病院
- 在宅診療を展開するクリニック など
これらの医療機関がネットワークを形成し、役割分担を明確化することで、より多くの患者さんにスムーズな医療を提供できるようになります。さらに、連携が必要なのは医療機関同士だけではなく、介護施設、福祉施設、ソーシャルワーカーなどの他職種も含めて地域全体の包括的なケアが必要になります。
目的2. 地域の医療レベルの維持
物的・人的な医療資源を適切に配置することで、患者さんに対してより効率的な医療を提供することが可能になります。例えば、高額な検査機器を複数の医療機関が共同で導入・共有することで、その地域全体の医療レベルを高めることができます。
一方で、地域内に同じ機能を持つ病院が複数あると、資源の分散により非効率になり、結果として地域医療の質を維持しにくくなります。例えば、小児科に強みを持つ病院には小児科医を重点的に配置し、産婦人科に強みを持つ病院には産婦人科医を集約するなど、地域ニーズに応じた診療体制の構築が求められます。
このように、機能の集約と重点化を図ることで、地域全体の医療レベルをさらに向上させることができます。
目的3. 医療従事者の業務負担を軽減
少子高齢化が進む日本では、医療・介護を必要とする高齢者が増える一方で、医療を提供する側の医療従事者は減少しており、今後ますます需給の逼迫が予想されます。
こうした中、地域医療連携が進むことで、医療機関同士の情報共有がスムーズになり、検査や治療の重複を削減できます。その結果、医療従事者の業務負担を軽減し、より効率的な医療提供が可能になります。
地域医療連携が必要な背景
少子高齢化の進む現代の日本において地域医療連携の推進・強化が急務となっています。この背景には、人口動態が大きく影響しています。
内閣府が発表している「令和4年版高齢社会白書」によると、日本では2025年に団塊の世代が75歳以上になり、かつ人口の減少が見込まれています。このことから、近い将来医療や介護、看護や福祉の分野において需給の逼迫、特に回復期機能、慢性期の需要が増加することが予想されます。
なお、厚生労働省では「地域医療構想」として、中長期的な人口推計や、地域の医療需要と病床数の必要量を見据えたうえで、医療機能ごとの病床の必要量や、医療提供体制の実現を目指すための協議が行われています。
医療機能の名称 |
内容 |
---|---|
高度急性期 |
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能 |
急性期機能 |
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能 |
回復期機能 |
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。特に急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能) |
慢性期機能 |
長期に渡り療養が必要な患者を入院させる機能。 長期に渡り療養が必要な重度の障害者(十度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能 |
参考資料:厚生労働省「地域医療構想について」
少子高齢化の進行により、医療を必要とする高齢者の割合は今後ますます増加していきます。一方で、医療現場を支える若年層の数は減少し、限られた働き手に対する労働負担がさらに重くなる可能性が高まっています。
さらに、医療費の自己負担率が低い高齢者の増加により、診療報酬の削減や社会保障費の膨張といった課題も深刻化していきます。
こうした状況が続けば、効率的な医療提供が難しくなり、本当に治療を必要とする患者さんに適切な医療を届けられなくなる恐れがあります。最終的には、こうした問題が個々人の命に直接関わる深刻な影響を及ぼす可能性があります。
地域医療連携のメリットは?
地域医療連携が推進・強化されることで、実際の医療現場にはさまざまなメリットが生まれます。以下では、その代表的なメリットは以下のとおりです。
- 診療情報の共有により、質の高い医療提供が可能になる
- スムーズな患者紹介・逆紹介が可能になる
- 医師やスタッフの業務負担が軽減される
メリット1. 診療情報の共有により、質の高い医療提供が可能になる
地域医療連携により、患者さんの診療情報が複数の医療機関間で共有されることで、重複した検査や投薬といった非効率な医療を防ぐことができます。
また、毎回問診票に記入が必要なアレルギー情報や内服薬の内容なども事前に共有されるため、患者さんの負担を軽減することができます。
メリット2. スムーズな患者紹介・逆紹介が可能になる
地域内で医療機関同士の連携が取れていれば、患者さんの転院や紹介もスムーズに行えるようになります。
たとえば、普段通院しているクリニックで緊急性のある疾患が見つかった場合には、必要な検査や治療が可能な総合病院へ「紹介」されます。治療が終わった後には、再びかかりつけのクリニックへ「逆紹介」され、退院後の経過観察やフォローが行われます。
このように、紹介・逆紹介の流れが整うことで、患者さんにとって最適な医療提供が実現します。
メリット3. 医師やスタッフの業務負担が軽減される
紹介状の作成や詳細な診療情報のやり取り、検査画像の印刷やCD-ROMでの受け渡しなど、煩雑な業務に日々追われている医療機関も少なくありません。
地域医療連携が進み、診療情報をデジタルで共有できるようになれば、こうしたアナログ作業を省略でき、医療機関全体の業務効率化が期待できます。
地域医療連携や病診連携に役立つ
医療連携ガイドブックの無料ダウンロードはこちらをクリック!
▼
地域医療連携の現状の課題とは?
ここまで、地域医療連携が果たすべき役割や、そのメリットについてご紹介してきました。
しかし、実際には地域医療連携の実現には、いくつもの課題が残されています。特にネックとなる主な課題は、以下の3点です。
- 医療従事者の地域偏在
- 医療機関の機能が不明瞭
- 情報共有システムの浸透不足
課題1. 医療従事者の地域偏在
高齢者人口の増加により医療ニーズが高まる中、医療従事者の人手不足は深刻な課題となっています。
厚生労働省が令和6年に発表した「医師偏在是正対策について」によると、日本の医師数自体は年々増加しているにも関わらず、年集中型の偏在により地方や過疎地における医師の減少率は深刻です。特に、青森県・岩手県・秋田県などの東北地方や、新潟県・長野県・静岡県などの中部地方では、医師の確保が困難な状況です。一方、東京都には医師が集中している一方で、隣接する埼玉県や千葉県でも不足傾向が見られます。
また、問題は医師に限りません。地域医療連携に関わる事務スタッフや、各医療機関をつなぐ営業担当者の数も少なく、人手不足が地域医療連携の円滑な運営を妨げています。
このような状況では、患者さんに適切な医療を届けることも難しくなります。
課題2. 各医療機関の機能が不明瞭で連携が難しい
次に、医療機関間の連携が難しい理由の一つに、各施設の機能や対応可能なキャパシティが外部からは把握しづらいという点があります。
紹介先の医療機関がどのような診療体制を持ち、どこまでの対応が可能なのかが分からないため、患者さんをどこに紹介すべきか判断に迷うケースが少なくありません。また、各医療機関は異なる組織であり、診療方針や対応基準も異なります。
仮に普段は多くの患者さんを受け入れている病院であっても、スタッフの離職や専門医の不在などにより、受け入れ体制が一時的に低下してしまうこともあります。
こうした「内情」は外部からは見えにくく、これが地域医療連携の大きな障壁となっています。
課題3. 情報共有システムの浸透不足
最後に、情報共有システムの遅れも課題として挙げられます。日本の医療現場では、依然としてアナログな情報管理が多く残されており、情報共有システムの浸透が進んでいないのが現状です。
例えば、患者情報は紙カルテで管理され、他院へ情報を送る際も診療情報は紙媒体、画像データはCD-ROMに焼いて郵送または手渡しでやり取りされています。
電子カルテの導入は進んできているものの、多くの場合は自施設内での利用にとどまり、医療機関同士での情報共有には至っていません。
かかりつけの患者さんが意識障害で急性期病院に搬送された場合、本人からの情報が得られなければ、かかりつけ医に連絡を取るしかありません。しかし、連絡がつかない場合は、初期対応として再検査や新たな投薬が必要となり、医療機関・患者双方にとって不利益となります。
このような非効率を解消し、よりスムーズな地域医療連携を実現するためには、情報共有システムの構築が急務です。医療DXが進む中で、IT化の遅れは日本の医療にとって最大の課題のひとつと言えるでしょう。
地域医療連携における先進的な取り組みをされている現役医師の先生にご登壇いただいたこちらのセミナーレポートでは、具体的な連携方法や、システム導入の前後でどのような変化があったか詳しくお話しいただいています。地域医療連携を進められたいと考えられている方は、ぜひ参考になさってください。
地域医療連携における課題解決のポイントは、情報共有システムの導入!
上記のような地域医療連携における課題を解決するには、まず情報共有システムの導入を検討することが重要です。
人員不足の問題については、長期的な人材育成が必要であり、これは国や都道府県が中心となって取り組むべき課題です。そのため、個々の医療機関が単独で解決するには限界があり、すぐに対応できる問題ではありません。
また、各医療機関の機能を明確にすることも容易ではありません。たとえ病院がホームページで診療機能やキャパシティを公開していても、医療現場は日々状況が変化しており、その情報との間にギャップが生じやすいのが実情です。
こうした背景を踏まえると、最も簡便に介入可能であり、かつ実効性の高い対策として期待できるのが、情報共有システムの導入です。情報の連携・可視化を進めることで、地域医療連携の質と効率は大きく向上するでしょう。
地域医療連携を推進している施設が、実際にどのような情報共有(連携)システムが導入されているかは、日本医師会総合制作研究機構が実施した「ICTを利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況(2023年度版)」の調査結果が参考になります。「診療情報の連携」が最も多く、次いで「画像情報の連携」「ネットワークセキュリティ監視」が多いと発表されています。
また、同様の調査結果にて、地域医療情報連携ネットワークの導入効果を問う質問に対し、「患者サービスが向上した」が最多の回答、次いで「医療機関間の人的ネットワークが進んだ」「患者紹介の円滑化が進んだ」「従事者間の連携が向上した」との回答が続きました。
他国の参考事例:エストニアの医療DX
ヨーロッパのエストニアでは、仮想通貨にも使われるブロックチェーン技術を活用し、患者情報を国全体で管理・共有しています。
電子カルテや処方箋の受付、保険請求など、あらゆる医療関連手続きをオンライン化したことで、患者さんの待ち時間を累計804年分短縮したと報告されています。
さらに、日本では医療機関に行かないと患者さん自身ですら診療情報を確認できませんが、エストニアでは国内のどこからでも自由に閲覧可能です。
このように医療のDXは、患者さんと医療機関、または医療機関同士の物理的・時間的距離を大きく縮める役割を果たします。スムーズな地域医療連携を実現するためにも、各医療機関がシステム導入を積極的に検討すべき時代に入っています。
日本の医療現場でシステム化が進まない理由とは?
一方、日本では医療現場のシステム化があまり進んでいないのが実情です。その背景には、以下のような課題があります。
- システムを導入しても使い方が分かりづらく、十分に活用されない
- ランニングコストが高く、導入をためらう施設がある
- クラウド上での患者情報管理に対するセキュリティ不安
- 医師の高齢化により、人的サポートなしでは使いこなせない
実際、システムを導入しても、サポート体制が整っていないことでうまく活用されないケースは少なくありません。また、クラウド管理に対する個人情報保護の懸念や、継続的な費用負担も大きなハードルとなっています。
しかし、こうした課題をクリアする新しいシステムも徐々に開発・普及し始めています。情報共有システムの導入によって、アナログな業務の削減や、多施設間でのスムーズな患者情報共有が可能となり、医療機関・患者双方にとって大きなメリットをもたらします。
今後、地域医療連携の必要性がさらに高まる中で、ITの力を活用した連携体制の構築は、避けて通れない重要なテーマとなっていくでしょう。
医療情報システムを導入する際の注意点や対策は、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
また、導入時の障壁となりがちなセキュリティ問題に関しては、以下のセミナーレポートでも解説されています。こちらもあわせてご確認ください。
弊社のクラウド型DICOMデータプラットフォーム「LOOKREC」は、患者さんの画像データをインターネット上のクラウドを介して管理・共有できます。
インターネット上での管理になるため、従来の画像保管システムのような設備投資が不要であり、導入費・更新費が0円でランニングコストも安価です。また、Google cloudのシステムを活用しているため患者情報の安全性も高く、現役の放射線診断医が開発に携わっており非常に使いやすい仕様にもなっています。
地域医療連携を加速させるためには、医療マーケティングツールの活用も有効な手段です。それらについて詳しく解説している「【DX】地域医療連携情報ネットワークの推進と医療マーケティングツールの活用 | コトセラ」の記事もあわせて参考にしてください。
地域医療連携に『LOOKREC』を活用!導入事例3選
事例1. みなみ野循環器病院 様
画像をリアルタイムで共有し、同じ画面を見ながら相談できるようになり、救急患者の連携もスムーズに受け入れ可能となった事例です。
事例2. 仙台厚生病院 様
救急患者の搬送時に、先に画像情報へアクセスできることで、手術までの時間を大幅に短縮することを目標に、LOOKRECを活用されている事例です。
事例3. 霞クリニック 様
紹介元の病院や外部の医療機関とリアルタイムで画像を共有できるようになり、患者さんが来院する前に検査結果を確認できるようになった事例です。
まとめ
今回の記事では、今後の日本における地域医療連携の役割や必要性について解説してきました。
少子高齢化が進むなか、限られた医療の物的もしくは人的資源を適切に供給するには地域医療連携が必須になってきます。
しかし、人員不足やDX化の遅れなどさまざまな課題を抱えているのも事実であり、地域医療連携の推進にはまだまだ改善の余地があります。
今回の記事で紹介したように、画期的なシステムの導入が課題解決の第一歩になるかもしれません。これを気に、ぜひシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
さらに詳しく医療連携に関する資料を以下より無料でダウンロードいただけます。医療連携を検討されている方はぜひ参考にしてください。