地域医療連携とは?メリットや課題、課題解決につながるシステム導入の事例まで徹底解説!
高齢化が進む現代の日本において、限られた医療資源をいかに効率よく供給できるかが日々問われています。その解決策の1つとして、地域医療連携が非常に重要になってきます。
今回の記事では、地域医療連携のメリットや必要とされている背景、地域医療連携に取り組む上でネックになる課題、またその課題解決のためのポイントまで幅広く解説いたします。地域医療連携を考えられている方は是非参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.地域医療連携とは
- 2.地域医療連携が必要な背景
- 3.地域医療連携のメリットは?
- 3.1.メリット1. 診療情報の共有
- 3.2.メリット2. スムーズな患者紹介
- 4.地域医療連携の現状の課題とは?
- 4.1.課題1. 人員不足
- 4.2.課題2. 各医療機関の機能が不明瞭で連携が難しい
- 4.3.課題3. 情報共有システムの浸透不足
- 5.地域医療連携における課題解決のポイントは情報共有システムの導入!
- 5.1.他国の参考事例
- 5.2.日本の医療現場でシステム化が進まない理由とは?
- 6.地域医療連携に『LOOKREC』を活用!導入事例3選
- 6.1.事例1. みなみ野循環器病院 様
- 6.2.事例2. 仙台厚生病院 様
- 6.3.事例3. 霞クリニック 様
- 7.まとめ
地域医療連携とは
厚生労働省の「地域医療構想」のページでは下記のように言及されています。
地域医療構想は、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするものです。
地域医療連携とは、病院単位ではなく地域という括りで良質、かつ適切な医療を効率的に提供するために医療機関が連携を行うことです。
少子高齢化の進む日本では、これまで地域医療連携や病病連携の制度化が進められてきました。
地域医療連携の主な役割や目的は、以下の2つです。
- 切れ目のない医療の提供
- 適切な医療資源の分配
【地域医療連携の役割・目的①】切れ目のない医療の提供
地域医療連携の最大の目的は、地域の患者さんに対して急性期から回復期を経て自宅に戻るまでスムーズに切れ目のない医療を提供することです。
それぞれの地域には、以下のように役割の異なる医療機関が混在しています。
- 24時間の高度な救命救急を展開する高度急性期病院
- 一般的な急性期の患者さんに対応する急性期病院
- リハビリなど行う回復期病院
- 長期に渡って療養が必要となる慢性期病院
- 在宅診療を展開するクリニック など
これらの医療機関がネットワークを形成して役割分担を明確化することで、より多くの患者さんにスムーズな医療を提供できるようになります。
さらに、連携が必要なのは医療機関だけではなく、介護施設、福祉施設、ソーシャルワーカーなどの他職種も含めて地域全体の包括的なケアが必要になります。
【地域医療連携の役割・目的②】適切な医療資源の分配
地域医療連携の役割として、適切な医療資源の分配が挙げられます。物的、もしくは人的な医療資源を適切に配置することで、患者さんに対してより効率的な医療提供が可能になります。
例えば、高額な検査機器を複数の医療機関で同時購入して共有すれば、その地域の医療レベルはより向上します。
また、地域内で同じような病院が複数存在しても効率が悪いため、小児科が強い病院にはより多くの小児科医を配置し、産婦人科が強い病院にはより多くの産婦人科医を配置するなど、医師の集約化、診療の重点化によってさらに地域の医療レベルは向上することになります。
地域医療連携が必要な背景
少子高齢化の進む現代の日本において地域医療連携の推進・強化が急務となっています。この背景には、人口動態が大きく影響しています。
内閣府が発表している「令和4年版高齢社会白書」によると、日本では2025年に団塊の世代が75歳以上になり、かつ人口の減少が見込まれています。このことから、近い将来医療や介護、看護や福祉の分野において需給の逼迫、特に回復期機能、慢性期の需要が増加することが予想されます。
なお、厚生労働省では「地域医療構想」として、中長期的な人口推計や、地域の医療需要と病床数の必要量を見据えたうえで、医療機能ごとの病床の必要量や、医療提供体制の実現を目指すための協議が行われています。
医療機能の名称 |
内容 |
---|---|
高度急性期 |
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能 |
急性期機能 |
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能 |
回復期機能 |
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。特に急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能) |
慢性期機能 |
長期に渡り療養が必要な患者を入院させる機能。 長期に渡り療養が必要な重度の障害者(十度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能 |
参考資料:厚生労働省「地域医療構想について」
また、少子高齢化が進むことで、当然医療を必要とする高齢者の割合が増加し、働き手である数少ない若者の労働負担が増加する可能性も高くなります。さらに、医療費の自己負担率が低い高齢者が増加するため、診療報酬を削減するなど社会保障費の増大にもつながっていきいきます。
そうなれば効率の良い医療提供は困難になり、本当に治療を必要とする患者さんに対して適切な医療を提供できなくなってしまい、最終的には個々人の命にも直結する問題となってしまいます。
地域医療連携のメリットは?
実際に地域医療連携が推進・強化されることによる具体的なメリットを解説していきます。
メリット1. 診療情報の共有
地域医療連携によって患者さんの診療情報が共有されれば、複数施設における二重検査や二重投薬などの非効率な医療提供を防ぐことができます。
また、患者さんが毎回問診票で書かなくてはならないアレルギーや内服薬の情報なども共有されるため、患者さんの負担は軽減されます。
さらに、多くの医療機関では紹介や転院の際の書類作り、詳細な情報のやり取り、検査画像データの印刷やCD化など、煩雑な業務に苦労していると思います。
そこで、診療情報の共有ができれば雑務は省略され、医療機関の業務効率化も期待できます。
メリット2. スムーズな患者紹介
地域医療連携によって、転院先へ効率よく患者さんを紹介できるようになります。
患者さんが普段から通院する医療機関と、緊急の際に駆け込む総合病院間で医療連携が形成されていれば、紹介や逆紹介がスムーズになるからです。
具体的には、普段から通う医療機関で何か緊急性のある病気が発見された場合、必要な検査や治療が行える総合病院へ「紹介」されます。
逆に、総合病院での治療を終えた後は、退院後の経過を診察してもらうように普段から通う医療機関に「逆紹介」される訳です。
このように、双方の医療機関が連携をとって患者さんの体調管理を行うことで、患者さんに適切な医療を提供できるようになるのです。
地域医療連携の現状の課題とは?
ここまで地域医療連携が担うべき役割や、それに伴うメリットについて解説してきました。
しかし、実際には地域医療連携にはまだまだ多くの課題が残っています。地域医療連携に取り組む上でネックになる主な課題は以下の3つです。
- 人員不足
- 医療機関の機能が不明瞭
- 情報共有システムの浸透不足
課題1. 人員不足
第一に、高齢者人口の増加による医療ニーズが高まり、医療従事者の人手不足という課題が挙げられます。
大都市圏ならまだしも、地方や過疎地における医師の減少率は非常に深刻であり、千葉や神奈川など東京の近隣の県でも例外ではありません。日本の医師数は毎年増加傾向にあるにも関わらず、都市集中型の偏在によって地方では医師不足が嘆かれています。
さらに、地域医療連携の業務に従事する事務方や、各医療機関に営業を行う人も少ない点も要因のひとつです。
このような人員不足状態では円滑な地域医療連携は望めず、患者さんに適切な医療を提供することも難しくなります。
課題2. 各医療機関の機能が不明瞭で連携が難しい
次に、医療機関間の連携が難しいという課題が挙げられます。
各医療機関がどれだけの機能やキャパシティーを有しているのかは、他の病院からは不明瞭のため、実際に患者さんを紹介する際に判断に迷ってしまいます。
そもそも各医療機関は異なる組織のため、医療機関によって診療方針や基準にも違いがあります。また、普段多くの患者さんを受け入れられる病院であっても、複数の離職者が出れば受け入れる余裕がなくなったり、専門性の高い手技や治療であれば、担当医師が1人欠けるだけでその病院の専門性は失われる可能性もあります。
しかし、それらの内状は外部の医療機関からは計り知れないことも、地域医療連携の課題のひとつです。
課題3. 情報共有システムの浸透不足
最後に、情報共有システムの遅れも課題として挙げられます。日本の医療業界では、まだまだアナログな情報管理を行なっている医療機関が少なくありません。
患者情報は紙カルテに保存され、他院に転送する際も診療情報は紙媒体、画像データはCD-ROMに焼き、郵送、もしくは手渡しで共有されるという現状です。最近ではようやく電子カルテが普及してきましたが、あくまで自施設内での利用に留まり、他施設間での共有はほとんどなされていません。
例えば、かかりつけの患者さんが意識障害で地域の急性期病院に搬送された場合、患者さんの健康情報を本人から聴取できないため、かかりつけである医療機関に問い合わせるしかありません。
もし連絡がつかなければ、一から検査や投薬を行う必要があるのです。これは、医療機関にとっても、患者さんにとってもデメリットしかありません。
以上のことからも、よりスムーズな地域医療連携を目指すのであれば、情報共有システムの構築を図ることが急務であり、IT化で遅れをとる日本にとって最大の課題と言えます。
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地域医療連携における課題解決のポイントは情報共有システムの導入!
上記のような地域医療連携における課題を解決するには、情報共有システムの導入を検討すべきです。
地域医療連携の抱える課題のうち、人員不足を解消するには長期的な人材教育が必要であり、国や都道府県が中心となって考えるべき問題でもあるため、各医療機関単体でそう簡単に解決できる問題ではありません。
さらに、医療機関の機能の明瞭化も簡単ではありません。各医療機関がホームページで病院の機能やキャパシティーを掲載しても、実際には刻一刻と変化する医療現場のスピード感とギャップがあるからです。そこで、最も簡便に介入可能で、かつ効果的だと考えられるのは、情報共有システムの導入です。
地域医療連携を推進している施設が、実際にどのような情報共有(連携)システムが導入されているかは、日本医師会総合制作研究機構が実施した「ICTを利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況(2023年度版)」の調査結果が参考になります。「診療情報の連携」が最も多く、次いで「画像情報の連携」「ネットワークセキュリティ監視」が多いと発表されています。
また、同様の調査結果にて、地域医療情報連携ネットワークの導入効果を問う質問に対し、「患者サービスが向上した」が最多の回答、次いで「医療機関間の人的ネットワークが進んだ」「患者紹介の円滑化が進んだ」「従事者間の連携が向上した」との回答が続きました。
他国の参考事例
ヨーロッパのエストニアでは、仮想通貨などに用いられているブロックチェーン技術を導入して患者情報を国全体で管理、共有しています。電子カルテや処方箋の受付、保険請求をすべてオンライン化し、患者さんの医療機関での待ち時間を804年分も短縮したと報告されています。
また、日本では医療機関に行かないと患者さん自身ですら、自分の診療情報を確認できませんが、エストニアでは国内のあらゆるところから自由に確認が可能です。
このように、医療のDX化は患者さんと医療機関、医療機関と医療機関の空間的、もしくは時間的な距離を一気に縮めてくれます。スムーズな地域医療連携を形成するためにも、各医療機関でシステムの導入を検討してみるべきです。
日本の医療現場でシステム化が進まない理由とは?
現状の日本においてはシステム化があまり進んでいないのも事実です。日本においてシステム化が進まない理由は主に下記の通りです。
- システムを導入しても使い方が分かりにくく、あまり活用されない
- システムのランニングコストが高い
- クラウド上での患者情報のセキュリティ問題
取り扱う医師が高齢であり、うまく人的サポートを構築しないまま導入してしまうと、システムをうまく扱えず活用されなくなる事例は少なくありません。また、ランニングコストが高ければ導入に躊躇する施設も出てきます。さらに、クラウド上で患者の個人情報を管理することに対するセキュリティの問題も無視できません。
しかし、最近ではこれらの課題を解決したシステムも徐々に開発されてきています。
医療情報システムを導入する際の注意点や対策に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
また、導入時の障壁となりがちなセキュリティ問題に関しては、以下のセミナーレポートでも解説されています。こちらもあわせてご確認ください。
弊社のクラウド型DICOMデータプラットフォーム「LOOKREC」は、患者さんの画像データをインターネット上のクラウドを介して管理・共有できます。
インターネット上での管理になるため、従来の画像保管システムのような設備投資が不要であり、導入費・更新費が0円でランニングコストも安価です。
また、Google cloudのシステムを活用しているため患者情報の安全性も高く、非常に使いやすい仕様にもなっています。
こういったシステムの導入によって、アナログな業務の削減や多施設間でのスムーズな患者情報の共有が可能となり、医療機関や患者さんに大きな利益をもたらす可能性があります。
そして、今後間違いなく必要性の増していく地域医療連携をさらに推進・強化できます。
地域医療連携に『LOOKREC』を活用!導入事例3選
事例1. みなみ野循環器病院 様
画像をリアルタイムで共有し、同じ画面を見ながら相談できるようになり、救急患者の連携もスムーズに受け入れ可能となった事例です。
事例2. 仙台厚生病院 様
救急患者の搬送時に、先に画像情報へアクセスできることで、手術までの時間を大幅に短縮することを目標に、LOOKRECを活用されている事例です。
事例3. 霞クリニック 様
紹介元の病院や外部の医療機関とリアルタイムで画像を共有できるようになり、患者さんが来院する前に検査結果を確認できるようになった事例です。
まとめ
今回の記事では、今後の日本における地域医療連携の役割や必要性について解説してきました。
高齢者が増える中で、限られた医療の物的、もしくは人的資源を適切に供給するには地域医療連携が必須になってきます。
しかし、人員不足やIT化の遅れなどの課題を抱えており、まだまだ地域医療連携には改善の余地があります。
今回の記事で紹介したように、画期的なシステムの導入が課題解決の第一歩になるかもしれません。これを気に、ぜひシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?