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クリニックの医療DXとは?必要性・具体例・進め方、導入時の注意点を解説

クリニックにおける医療DXとは、電子カルテやWeb予約、オンライン診療、PACSなどのデジタル技術を活用し、受付・診療・検査・会計・情報共有といった業務を効率化する取り組みです。

単に紙の業務を電子化するだけでなく、診療情報や検査結果、医用画像などを適切に管理・共有できる体制を整え、患者サービスの向上や医療従事者の負担軽減、地域医療連携の強化につなげることが求められます。

少子高齢化や医療従事者の人材不足、患者ニーズの多様化が進むなか、クリニックでも限られた人員で質の高い医療を提供し続ける体制づくりが課題となっています。その解決策の一つとして、医療DXの重要性は高まっています。

本記事では、クリニックにおける医療DXの意味や必要性、具体的な活用事例、導入メリット、課題、進め方までわかりやすく解説します。

この記事でわかること

クリニックにおける医療DXの意味と、クリニックDXとの違い

クリニックで医療DXが必要とされる背景と導入メリット

各業務工程で活用できる医療DX施策

CTやMRIなどの画像検査を行うクリニックが押さえるべきDXのポイント

医療DX導入時の課題・注意点と、無理なく進めるための手順

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株式会社エムネス   営業ビジネスディベロップメント本部セールススペシャリスト 嶋野 直大

監修者
株式会社エムネス 
営業ビジネスディベロップメント本部

セールススペシャリスト
嶋野 直大

営業として体外診断用医薬品および医療機器にて20年以上のキャリア、並行し営業企画部として営業戦略立案、セミナー運営やSalesforceなどのSFA/CRM導入およびシステム管理者に従事。2024年4月にエムネス入社、医療機関向けのクラウド提案に従事。

目次[非表示]

  1. 1.クリニックにおける医療DXとは
    1. 1.1.医療DXとクリニックDXの違い
    2. 1.2.医療DX令和ビジョン2030とクリニックへの影響
  2. 2.クリニックで医療DXが必要とされる背景
    1. 2.1.背景1. 少子高齢化と医療従事者の人材不足
    2. 2.2.背景2. 受付・医療事務・診療業務の負担増加
    3. 2.3.背景3. 患者ニーズの変化と待ち時間対策
    4. 2.4.背景4. 地域医療連携・病診連携の必要性
    5. 2.5.背景5. 電子カルテ情報共有サービスなど制度対応への備え
  3. 3.クリニックが医療DXを進めるメリット
    1. 3.1.メリット1. 受付・事務業務を効率化しやすくなる
    2. 3.2.メリット2. 医師・スタッフの負担軽減につながる
    3. 3.3.メリット3. 待ち時間短縮や患者満足度向上が期待できる
    4. 3.4.メリット4. 診療情報の管理・共有がしやすくなる
    5. 3.5.メリット5. BCP・災害対策にもつながる
  4. 4.クリニックの各業務工程で活用できる医療DX施策
    1. 4.1.予約・問い合わせ|Web予約やIVRで電話対応を減らす
    2. 4.2.受付・問診|オンライン資格確認やWeb問診で来院時の手続きを効率化する
    3. 4.3.診察・記録|電子カルテやAIクラークで診療記録を効率化する
    4. 4.4.検査・画像管理|PACSや遠隔画像診断で画像共有を効率化する
    5. 4.5.会計・精算|自動精算機やキャッシュレス決済で会計待ちを減らす
    6. 4.6.レセプト・請求|レセコンやレセプトチェックで事務負担を軽減する
    7. 4.7.院内管理・労務|勤怠管理やグループウェアで院内業務を見える化する
  5. 5.画像検査を行うクリニックで押さえたい医療DXの確認ポイント
    1. 5.1.ポイント1. 医用画像を院内で閲覧・管理しやすい体制を整える
    2. 5.2.ポイント2. 電子カルテや遠隔画像診断との連携性を確認する
    3. 5.3.ポイント3. BCPや外部連携を見据えてクラウド活用を検討する
  6. 6.クリニックの医療DX導入で起こりやすい課題・注意点
    1. 6.1.課題1. 導入・運用コストがかかる
    2. 6.2.課題2. セキュリティ対策が必要になる
    3. 6.3.課題3. 既存システムとの連携を考慮する必要がある
    4. 6.4.課題4. スタッフに定着するまで時間がかかる
    5. 6.5.課題5. ツール導入が目的化しやすい
  7. 7.クリニックで医療DXを進める手順
    1. 7.1.ステップ1. 現状業務と課題を洗い出す
    2. 7.2.ステップ2. 優先順位を決める
    3. 7.3.ステップ3. 既存システムとの連携性を確認する
    4. 7.4.ステップ4. 小さく導入して効果を検証する
    5. 7.5.ステップ5. スタッフ教育と運用ルールを整える
  8. 8.まとめ

クリニックにおける医療DXとは

医療DX

クリニックにおける医療DXは、デジタル技術や医療データを活用し、院内業務や診療体制、患者対応のあり方を見直す取り組みです。単にシステムを導入したり、紙の業務を電子化したりするだけではなく、受付・問診・診察・検査・会計・情報共有といった一連の業務フローを整理し、限られた人員でも診療に集中しやすい体制を整えることが目的です。

クリニックでは、受付、問診、診察、検査、会計、レセプト請求、紹介・逆紹介など、多くの業務が限られた人員で行われています。クリニックでは、人材の採用が思うように進まなかったり、業務負担の大きさがスタッフの定着に影響したりする場合があります。紙や電話、FAX、CD-ROMに依存した運用が残っていると、情報の転記や確認に時間がかかり、限られた人員に負担が集中しやすくなります。

医療DXを進めることで、こうした業務フローを見直し、診療に集中しやすい環境や、患者がスムーズに受診できる体制を整えやすくなります。

医療DXとクリニックDXの違い

医療DXとクリニックDXは近い意味で使われることもあります。

医療DXは、医療・保健・介護全体の情報共有やデータ活用、医療提供体制の変革を含む広い概念です。厚生労働省では、保健・医療・介護に関する情報やデータを、クラウドなどの基盤を通じて外部化・共通化・標準化し、業務効率化や質の高い医療提供につなげる取り組みとして整理しています。

一方、クリニックDXは、個々のクリニックにおける業務効率化や患者サービス向上、スタッフ負担軽減など、より現場に近い取り組みを指します。つまり、医療DXは医療全体の大きな変革を指し、クリニックDXはその流れを踏まえて、自院の業務や診療体制を改善していく取り組みと考えるとわかりやすいでしょう。本記事では、対象とする範囲や取り組み内容の違いから、以下のように整理します。

項目

医療DX

クリニックDX

主な対象

医療・保健・介護全体

業務効率化、患者満足度向上、スタッフ負担軽減

主な目的

医療情報の共有・標準化、医療提供体制の変革

業務効率化、患者満足度向上、スタッフ負担軽減

具体例

全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報共有サービス、診療報酬改定DX

Web予約、Web問診、電子カルテ、オンライン診療、PACS、キャッシュレス決済

クリニックとの関係

国の医療DX施策や制度動向を踏まえた対応を検討する

自院の課題に合わせて実践するDX

なお、両者が明確に分かれているわけではありません。電子カルテやオンライン診療などは、国全体の医療DXを構成する施策であると同時に、個々のクリニックにおけるDX施策にも該当します。

医療DX令和ビジョン2030とクリニックへの影響

医療DXは、国の施策としても推進されています。代表的な取り組みとして「医療DX令和ビジョン2030」があり、主に以下の3つが柱として示されています。

  • 全国医療情報プラットフォームの創設
  • 電子カルテ情報の標準化等
  • 診療報酬改定DX

全国医療情報プラットフォームは、医療機関や薬局、介護事業者、自治体などが保有する医療情報を、安全に共有・活用するための基盤です。電子カルテ情報共有サービスもその仕組みの一つであり、診療情報提供書、健診結果、臨床情報、患者サマリーなどを共有・閲覧できるようにするサービスとして整備が進められています。

クリニックにおいても、今後は電子カルテ情報の標準化や電子処方箋、オンライン資格確認、電子カルテ情報共有サービスなどの制度動向を踏まえたシステム選定が求められます。

すべてに一度で対応する必要はありませんが、今後の医療DXの流れを見据え、将来的な連携性や拡張性を確認しながらシステムを選ぶことが、長期的な運用負担の軽減につながります。

クリニックで医療DXが必要とされる背景

クリニックで医療DXが必要とされる背景には、人材不足や業務負担の増加、患者ニーズの変化、地域医療連携の重要性、制度対応への備えなど、複数の要因があります。ここでは、クリニックが医療DXを検討すべき背景をひとつずつ整理します。

背景1. 少子高齢化と医療従事者の人材不足

日本では高齢化が進み、慢性疾患を抱える患者や複数の疾患を持つ患者への対応、在宅医療・介護との連携など、医療現場に求められる役割が広がっています。

一方で、医師、看護師、医療事務などの人材確保は、多くのクリニックで課題となっています。限られた人員で受付、診療、検査、会計、事務作業まで対応する必要があり、従来の業務フローのままでは、現場の負担が増えやすくなります。

医療DXは、人材不足そのものを解消するものではありません。しかし、日々の確認作業や転記作業、情報共有にかかる負担を減らすことで、スタッフが本来注力すべき患者対応や診療補助に時間を使いやすくなります。

背景2. 受付・医療事務・診療業務の負担増加

クリニックの1日は、電話予約の対応、窓口での資格確認、紙の問診票の回収、カルテ入力、レセプト請求、紹介状の作成など、多くの業務が日常的に発生します。

特に診療が集中する時間帯には、窓口対応や会計業務と並行して予約電話への対応が必要になるなど、受付スタッフの業務が重なりやすくなります。また、カルテ入力や書類確認に時間を要すると、患者対応や診療補助に使える時間が限られる場合もあります。

業務の一部をデジタル化することで、転記や確認作業を減らし、受付から診療、検査、会計までの流れを整理しやすくなります。具体的な施策は、後ほどクリニックの業務工程ごとに解説します。

背景3. 患者ニーズの変化と待ち時間対策

患者の受診行動が変化するなか、スマートフォンから医療機関を検索し、予約や問診などの手続きをオンラインで行える環境へのニーズも高まっています。

一方で、来院後の問診票記入や診察後の会計に時間がかかると、患者の待ち時間や院内の混雑につながります。こうした受診前後の負担を減らすことは、患者満足度を考えるうえでも検討したい課題であり、患者にとって受診しやすい環境を整えることは、診療の質だけでなく、クリニック経営の観点でも重要な要素です。

背景4. 地域医療連携・病診連携の必要性

クリニックでは、病院との紹介・逆紹介、検査依頼、専門医への相談、在宅医療や介護との連携など、他施設との情報共有が必要になる場面があります。

しかし、紹介状や検査結果、画像データを紙やFAX、CD-ROMでやり取りしている場合、情報共有に時間がかかるだけでなく、確認漏れや受け渡しの手間が発生することがあります。

診療情報や検査結果、紹介状などを必要な関係者と共有しやすい体制を整えることは、地域医療連携や病診連携を進めるうえで有効です。特にCT、MRI、レントゲンなどの画像検査を行うクリニックでは、診療情報に加えて医用画像の共有も必要になるため、PACSや遠隔画像診断との連携も検討したい領域になります。

背景5. 電子カルテ情報共有サービスなど制度対応への備え

医療DXの推進により、クリニックでも電子カルテ情報の標準化や電子処方箋、オンライン資格確認などの制度動向を踏まえた対応が求められる場面が増えています。

一気にすべてのシステムを刷新する必要はありませんが、今後の制度変更やシステム連携を見据え、導入時から拡張性やデータ連携のしやすさを確認しておくと、将来的な運用負担を抑えやすくなります。

クリニックが医療DXを進めるメリット

クリニックが医療DXを進めることで、院内業務の効率化、医師・スタッフの負担軽減、患者満足度の向上、診療情報の共有、BCP対策などにつながります。

主なメリットは以下の通りです。

  • メリット1. 受付・事務業務を効率化しやすくなる
  • メリット2. 医師・スタッフの負担軽減につながる
  • メリット3. 待ち時間短縮や患者満足度向上が期待できる
  • メリット4. 診療情報の管理・共有がしやすくなる
  • メリット5. BCP・災害対策にもつながる

メリット1. 受付・事務業務を効率化しやすくなる

医療DXの大きなメリットは、受付や医療事務の業務を効率化しやすくなることです。

受付や医療事務では、予約対応、問診票の確認、会計処理、レセプト請求など、多くの業務が発生します。これらの業務をデジタル化することで、手入力や確認作業を減らし、スタッフの負担を軽減しやすくなります。

医療事務の負担を減らすことは、スタッフの働きやすさだけでなく、患者対応に使える時間の確保にもつながります。具体的な施策は、後述する業務工程別の章で解説します。

メリット2. 医師・スタッフの負担軽減につながる

医療DXは、医師やスタッフの負担軽減にもつながります。

診療記録の作成、過去情報の確認、検査結果の参照、院内での情報共有に時間がかかる場合、診療時間が圧迫されやすくなります。必要な情報を電子的に管理し、確認しやすい環境を整えることで、診療や患者対応に集中しやすくなります。

画像検査を行うクリニックにおけるPACSや遠隔画像診断の活用については、後半の章で詳しく解説します。

メリット3. 待ち時間短縮や患者満足度向上が期待できる

医療DXは、患者の受診体験の改善にもつながります。

受付前後の手続きや会計の流れを見直すことで、患者の待ち時間や来院時の負担を減らしやすくなります。

また、患者が来院前に必要な情報を入力できる仕組みや、来院以外の受診方法を整えることで、患者にとって利用しやすい環境づくりにもつながります。こうした受診体験の改善は、継続受診やクリニックへの信頼感にも関わります。

メリット4. 診療情報の管理・共有がしやすくなる

医療DXを進めることで、診療情報の管理や共有がしやすくなります。

クリニックでは、診療記録、問診内容、検査結果、処方情報、紹介状など、さまざまな情報を扱います。これらが紙や複数のシステムに分散していると、必要な情報を探すのに時間がかかったり、確認漏れや転記ミスが発生したりする可能性があります。

電子カルテや医療情報システムを活用すれば、診療に必要な情報を電子的に整理し、必要なタイミングで確認しやすくなり、医師・看護師・医療事務など職種間の情報共有もスムーズになります。また、他の医療機関との紹介・逆紹介や、検査結果の共有にも活用しやすくなります。

CT、MRI、レントゲンなどの画像検査を行うクリニックでは、診療情報に加えて画像情報の管理・共有も必要になります。PACSやクラウド型の医用画像共有システムの活用については、後半の章で詳しく解説します。

メリット5. BCP・災害対策にもつながる

医療DXは、BCPや災害対策の観点でも有効です。紙資料や院内サーバーのみに依存した運用では、災害やシステム障害、機器故障が発生した際に、診療に必要な情報を確認できなくなるリスクがあります。

クラウドサービスを活用すれば、データを院外の環境で保管できるため、災害時のデータ保全や復旧に役立つ場合があります。ただし、クラウドを導入すればすべてのリスクが解消されるわけではありません。通信障害時の対応、端末管理、バックアップ体制、院内の運用ルールまで含めて準備する必要があります。

クリニックの各業務工程で活用できる医療DX施策

クリニックの医療DXは、特定のツールを導入することから始めるのではなく、自院の業務フローのどこに課題があるかを整理することから考えると進めやすくなります。

ここでは、予約・受付・診察・検査・会計・請求・院内管理といった工程ごとに、活用できる医療DX施策を整理します。

業務工程

主な課題

活用できる医療DX施策

予約・問い合わせ

電話対応が多い、予約管理に手間がかかる

Web予約、LINE連携、IVR

受付・資格確認

保険資格確認、問診票記入、受付待ちが発生する

オンライン資格確認、Web問診、電子カルテ連携

診察・記録

カルテ記載、情報検索、診療記録の作成に時間がかかる

電子カルテ、AIクラーク、音声入力

検査・画像管理

画像保存・閲覧・共有、CD-ROM作成に手間がかかる

PACS、クラウドPACS、遠隔画像診断、画像診断支援AI

会計・精算

会計待ち、現金管理、受付負担が発生する

自動精算機、キャッシュレス決済

レセプト・請求

レセプト作成、点検、請求業務に時間がかかる

レセコン、レセプトチェッカー

院内管理・労務

シフト管理、勤怠管理、情報共有が属人化する

勤怠管理システム、シフト作成システム、グループウェア

予約・問い合わせ|Web予約やIVRで電話対応を減らす

予約や問い合わせ対応は、クリニックの受付業務を圧迫しやすい業務の一つです。診療時間中に電話が集中すると、受付スタッフが患者対応や会計業務に集中しにくくなることがあります。

Web予約やLINE連携を活用すれば、患者は診療時間外でも予約を取りやすくなります。予約状況をシステム上で確認できるため、受付側の管理負担も軽減しやすくなります。

また、IVRを導入することで、診療時間やアクセス、予約方法など、よくある問い合わせへの一次対応を自動化できます。すべての電話対応をなくすことは難しいものの、定型的な問い合わせを減らすことで、受付スタッフが必要な対応に時間を使いやすくなります。

受付・問診|オンライン資格確認やWeb問診で来院時の手続きを効率化する

来院時の受付や問診は、患者の待ち時間につながりやすい工程です。紙の問診票を記入してもらい、その内容をスタッフが電子カルテへ入力している場合、手入力の負担や転記ミスのリスクが発生します。

Web問診を導入すると、患者が来院前に症状や既往歴、服薬状況などを入力できます。電子カルテと連携できるシステムであれば、入力された情報を診療前に確認しやすくなり、問診票の転記作業も減らせます。

オンライン資格確認は、患者の保険資格情報などを確認するための仕組みです。受付業務の正確性や効率化に役立つだけでなく、今後の医療DX施策との連携を考えるうえでも押さえておきたい領域です。

診察・記録|電子カルテやAIクラークで診療記録を効率化する

診察時には、過去の診療情報や検査結果、処方内容を確認しながら、診療記録を作成する必要があります。紙カルテや複数のシステムに情報が分散している場合、確認に時間がかかりやすくなります。

電子カルテを活用することで、診療記録や検査結果、処方情報などを電子的に管理しやすくなります。検索性が高まり、過去情報の確認や職種間の情報共有も行いやすくなります。

近年は、音声入力やAIクラークなど、診療記録作成を支援するツールも登場しています。これらを活用することで、カルテ記載にかかる負担を軽減できる可能性があります。ただし、作成された診療記録の内容は、医師が確認したうえで確定する必要があるため、補助ツールとして適切に活用することが前提です。

検査・画像管理|PACSや遠隔画像診断で画像共有を効率化する

CT、MRI、レントゲンなどの画像検査を行うクリニックでは、医用画像の保存・閲覧・共有もDXの対象になります。

PACSを活用することで、医用画像をデジタルで管理し、診療時に確認しやすくなります。また、電子カルテや遠隔画像診断と連携できる環境であれば、画像情報を診療や外部連携に活用しやすくなります。

画像検査を行うクリニックで確認したい具体的なポイントは、次章で詳しく解説します。

会計・精算|自動精算機やキャッシュレス決済で会計待ちを減らす

診察後の会計は、患者の待ち時間が発生しやすい工程です。現金会計が中心の場合、釣り銭の準備や締め作業、現金管理にも手間がかかります。

自動精算機やキャッシュレス決済を導入することで、会計処理を効率化しやすくなります。患者にとっては支払い方法の選択肢が増え、会計待ちのストレス軽減にもつながります。

また、会計業務の負担が減ることで、受付スタッフは患者対応や電話対応など、ほかの業務に時間を使いやすくなります。導入時は、既存の電子カルテやレセコンとの連携、決済手数料、運用方法を確認しておく必要があります。

レセプト・請求|レセコンやレセプトチェックで事務負担を軽減する

レセプト請求は、クリニックの収益に直結する重要な業務です。診療報酬の算定や点検には専門知識が必要であり、医療事務スタッフにとって負担の大きい業務でもあります。

レセコンを活用することで、診療報酬の計算やレセプト作成を効率化できます。レセプトチェッカーを利用すれば、請求内容の確認や算定漏れ、入力ミスのチェックを支援できます。

また、厚生労働省は2024年4月以降、オンライン請求を基本的な請求方法とし、光ディスク等・紙レセプトによる請求の新規適用を終了するとしています。こうした制度動向を踏まえ、レセプト業務のオンライン化・デジタル化に対応できる体制づくりは、クリニックにとってより重要な位置付けとなっています。(参考資料:厚生労働省「オンライン請求への移行に向けて」)

院内管理・労務|勤怠管理やグループウェアで院内業務を見える化する

クリニックの業務は、診療や受付だけではありません。シフト作成、勤怠管理、給与計算、院内連絡、資料共有などのバックオフィス業務も発生します。

勤怠管理システムやシフト作成システムを活用すれば、出退勤情報やシフト希望の管理を効率化できます。グループウェアやビジネスチャットを導入すれば、院内連絡や情報共有をスムーズにしやすくなります。

ただし、医療機関では患者情報や診療情報を扱うため、一般的な業務ツールを導入する場合でも、情報管理のルールを明確にしておく必要があります。利用範囲や権限管理、個人情報を扱う場合の注意点を整理したうえで運用することが望まれます。

画像検査を行うクリニックで押さえたい医療DXの確認ポイント

画像扱う診療科

画像検査を行うクリニックでは、受付や会計などの業務効率化に加えて、医用画像をどのように保存・閲覧・共有するかも重要な検討事項になります。

画像データは容量が大きく、診療時の確認、過去画像との比較、他施設との共有、遠隔画像診断の依頼など、複数の場面で活用されます。そのため、PACSやクラウド型の医用画像共有システムを検討する際は、単に画像を保存できるかだけでなく、院内外でどのように活用できるかまで確認しておく必要があります。

ここでは、画像検査を行うクリニックが確認したいポイントを3つに分けて解説します。

  • ポイント1. 医用画像を院内で閲覧・管理しやすい体制を整える
  • ポイント2. 電子カルテや遠隔画像診断との連携性を確認する
  • ポイント3. BCPや外部連携を見据えてクラウド活用を検討する

ポイント1. 医用画像を院内で閲覧・管理しやすい体制を整える

画像検査を行うクリニックでは、撮影した画像を安全に保存し、診療時にスムーズに閲覧できる体制が必要です。

PACSを活用することで、CT、MRI、レントゲンなどの医用画像をデジタルで保存・管理できます。過去画像との比較や、診察時の画像確認を行いやすくなるため、画像検査を日常的に行うクリニックでは、診療効率にも関わる領域です。

ポイント2. 電子カルテや遠隔画像診断との連携性を確認する

医用画像の活用を進める際は、PACS単体ではなく、電子カルテや遠隔画像診断との連携性も確認しておきたいポイントです。

電子カルテとPACSが連携していれば、診療情報と画像情報をあわせて確認しやすくなります。また、遠隔画像診断と連携できる仕組みがあれば、院内に放射線診断専門医が常駐していない場合でも、外部の専門医へ読影を依頼しやすくなります。

画像診断支援AIとの連携を検討する場合も、将来的な拡張性を踏まえて、現在利用しているシステムや検査機器との相性を確認しておくとよいでしょう。

ポイント3. BCPや外部連携を見据えてクラウド活用を検討する

画像データは容量が大きく、院内サーバーだけで管理している場合、サーバー故障や災害時に画像を確認できなくなるリスクがあります。

クラウド型の医用画像管理システムのうち、院外でのデータ保管やバックアップに対応したサービスは、BCPや災害対策を検討する際の選択肢になります。また、他の医療機関や専門医と画像を共有する場面でも、CD-ROMの作成や郵送に頼らない運用を検討しやすくなります。

ただし、クラウドを利用する場合でも、通信障害時の対応、アクセス権限の管理、バックアップ体制、サポート内容などを確認しておくことが必要です。

クリニックの医療DX導入で起こりやすい課題・注意点

課題

医療DXは、クリニックの業務効率化や患者サービス向上に役立つ一方で、導入時にはコストやセキュリティ、既存システムとの連携、スタッフへの定着などの課題もあります。

また、システムを導入すること自体が目的になると、現場に定着しなかったり、かえって業務が複雑になったりする可能性があります。導入前に想定される課題を把握し、自院に合った進め方を検討することが必要です。

主な課題・注意点は以下の通りです。

  • 課題1. 導入・運用コストがかかる
  • 課題2. セキュリティ対策が必要になる
  • 課題3. 既存システムとの連携を考慮する必要がある
  • 課題4. スタッフに定着するまで時間がかかる
  • 課題5. ツール導入が目的化しやすい

課題1. 導入・運用コストがかかる

医療DXを進める際は、初期費用や月額利用料、端末費用、ネットワーク環境の整備、保守費用、スタッフ教育など、さまざまなコストが発生します。

導入時の費用だけを比較すると、運用開始後に想定外の負担が生じることがあります。複数のシステムを導入・連携する場合は、システム利用料だけでなく、連携費用や設定費用も確認しておく必要があります。

一方で、医療DXによって業務時間の短縮や人件費の抑制、紙・フィルム・CD-ROMなどの物理コスト削減につながる場合もあります。導入前には、初期費用だけでなく、長期的な費用対効果を見ながら検討するとよいでしょう。

課題2. セキュリティ対策が必要になる

医療DXでは、患者の個人情報、診療情報、検査結果、医用画像など、機微性の高い情報を扱います。そのため、セキュリティ対策は必ず確認すべき項目です。

サイバー攻撃、不正アクセス、情報漏洩、端末紛失、誤送信などのリスクを想定し、アクセス権限の管理、ログ管理、通信の暗号化、バックアップ、ウイルス対策、端末管理などを行う必要があります。

厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」や、医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストを公表しています。システム選定時には、提供事業者のセキュリティ体制だけでなく、院内でどのように安全管理を行うかも確認しておくことが求められます。

課題3. 既存システムとの連携を考慮する必要がある

クリニックでは、電子カルテ、レセコン、PACS、予約システム、問診システム、オンライン診療システム、会計システムなど、複数のシステムを利用することがあります。

新しいシステムを導入しても、既存システムと連携できなければ、同じ情報を複数回入力したり、システムごとに確認作業が発生したりする可能性があります。これでは、DXによる効率化どころか、現場の負担が増えてしまうこともあります。

導入前には、連携できるシステムの範囲、連携にかかる費用、設定期間、運用方法、トラブル時のサポート体制を確認しておきましょう。特に画像検査を行うクリニックでは、電子カルテ、PACS、検査機器、遠隔画像診断システム間でデータを連携できるかどうかは、情報確認や画像閲覧、読影依頼などの業務効率に影響します。

課題4. スタッフに定着するまで時間がかかる

医療DXは、システムを導入すればすぐに効果が出るものではありません。実際に使う医師、看護師、医療事務、検査担当者などが、日常業務の中で無理なく使える状態にする必要があります。

これまで紙カルテ、紙問診、電話、FAX、CD-ROMなどで運用してきたクリニックでは、業務の流れが変わることに不安や抵抗が生じる場合もあります。導入直後は操作に慣れるまで時間がかかり、一時的に業務負担が増えることもあります。

スタッフに定着させるには、導入目的を共有し、操作研修やマニュアル整備、トラブル時の対応フローを用意することが有効です。現場の声を聞きながら運用を見直すことで、システムを使い続けやすい環境を整えられます。

課題5. ツール導入が目的化しやすい

たとえば、Web予約や電子カルテ、PACS、AIツールなどを導入しても、現場の課題と合っていなければ十分な効果は得られません。また、機能が多すぎるシステムを選ぶと、使いこなせずに一部の機能しか活用されないこともあります。

医療DXは、自院の課題を解決するための手段です。まずは、どの業務に負担があるのか、どの情報共有に時間がかかっているのか、患者のどの導線で待ち時間が発生しているのかを整理し、その課題に合った施策を選ぶことが必要です。

クリニックで医療DXを進める手順

ステップ・フロー

クリニックで医療DXを進める際は、すべての業務を一度に変える必要はありません。まずは自院の課題を整理し、優先度の高い業務から段階的に導入していくことが現実的です。

ここでは、医療DXを進めるための基本的な手順を紹介します。

  • ステップ1. 現状業務と課題を洗い出す
  • ステップ2. 優先順位を決める
  • ステップ3. 既存システムとの連携性を確認する
  • ステップ4. 小さく導入して効果を検証する
  • ステップ5. スタッフ教育と運用ルールを整える

ステップ1. 現状業務と課題を洗い出す

最初に行うべきことは、自院の業務フローを整理することです。

受付、予約、問診、診察、検査、会計、レセプト請求、紹介・逆紹介、画像管理など、どの業務に時間がかかっているのかを確認します。

たとえば、電話対応が多い、問診票の転記に時間がかかる、会計待ちが長い、画像共有にCD-ROM作成が必要、レセプト点検に時間がかかるなど、現場で負担になっている業務を具体的に洗い出します。

課題を把握せずにシステムを導入すると、機能は充実していても現場の改善につながらない可能性があります。まずは現状を見える化することが、医療DXの第一歩になります。

ステップ2. 優先順位を決める

課題を洗い出したら、次に優先順位を決めます。

すべての業務を一度にDX化しようとすると、費用やスタッフ教育の負担が大きくなり、現場が混乱しやすくなります。まずは、負担が大きい業務や、改善効果が見えやすい業務から着手すると進めやすくなります。

たとえば、電話対応、問診票の転記、画像共有、会計待ちなど、負担が大きい業務から優先的に見直すと、導入後の効果を確認しやすくなります。具体的な施策は、前述した業務工程別の表をもとに検討すると整理しやすいでしょう。

自院の課題と導入目的を対応させることで、システム選定の判断軸が明確になります。

ステップ3. 既存システムとの連携性を確認する

導入するシステムを検討する際は、既存システムとの連携性を確認します。

電子カルテ、レセコン、PACS、検査機器、予約システム、問診システム、会計システムなどが個別に運用されていると、二重入力や確認作業が発生しやすくなります。

医療DXを進めるうえでは、単体機能だけでなく、院内の業務フロー全体でどのように連携するかを確認することが欠かせません。特に、今後の電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋、地域医療連携への対応を見据える場合は、データ連携や標準化への対応も確認しておくと安心です。

ステップ4. 小さく導入して効果を検証する

医療DXは、スモールスタートで進める方法が現実的です。

まずは一部の業務や診療科、特定の機能から導入し、スタッフが運用に慣れた段階で範囲を広げると、現場への負担を抑えやすくなります。

導入後は、効果を確認することも欠かせません。電話対応件数、患者待ち時間、会計時間、入力作業にかかる時間、残業時間、スタッフの負担感など、できるだけ具体的な指標を設定すると、改善効果を把握しやすくなります。画像検査を行うクリニックでは、CD-ROM作成件数や読影依頼にかかる時間なども確認項目になります。

効果が出ている点と、運用上の課題が残っている点を整理し、定期的に見直すことで、DX施策を定着させやすくなります。

ステップ5. スタッフ教育と運用ルールを整える

医療DXを継続的に活用するには、スタッフ教育と運用ルールの整備が欠かせません。

新しいシステムを導入すると、受付、診療、検査、会計など、複数の業務工程に影響が出ることがあります。誰が、どのタイミングで、どの情報を入力・確認するのかを明確にしておかなければ、スタッフごとに運用がばらついてしまいます。

操作研修やマニュアルを用意し、トラブル時の対応方法も共有しておくと、現場で安心して使いやすくなります。また、導入後もスタッフから意見を集め、必要に応じてルールを見直すことで、システムを日常業務に定着させやすくなります。

まとめ

クリニックにおける医療DXは、受付・問診・診療・検査・会計・情報共有などの業務をデジタル技術で見直し、限られた人員でも効率的に診療を行える体制を整える取り組みです。

少子高齢化や医療従事者の人材不足、患者ニーズの変化、地域医療連携の必要性が高まるなか、クリニックでも限られた人員で質の高い医療を提供し続ける体制づくりが求められています。

医療DXを進めることで、受付・事務業務の効率化、医師・スタッフの負担軽減、患者満足度の向上、診療情報の管理・共有、BCP・災害対策などにつながります。一方で、導入・運用コスト、セキュリティ対策、既存システムとの連携、スタッフへの定着といった課題もあります。

まずは自院の業務フローを整理し、負担の大きい業務から段階的に見直すことが現実的です。画像検査を行うクリニックでは、PACSやクラウドPACS、遠隔画像診断の活用も、医用画像の管理・共有を効率化する選択肢になります。

なお、独自調査結果をもとに、医療DXの必要性やシステム選定について解説した以下の記事も参考になさってください。

クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」は、クラウドPACSとして医用画像の保存・閲覧に活用できるほか、他医療機関への共有機能、遠隔画像診断、AI連携にも対応しています。医用画像管理や画像共有、読影依頼の効率化を検討しているクリニックは、以下のダウンロード資料をぜひご確認ください。

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執筆者:エムネス マーケティングチーム
執筆者:エムネス マーケティングチーム

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