
クリニック開業時の医療DX設計とは?後悔しないクラウド型システム選定のポイント
クリニックを開業する際は、電子カルテや医療機器を個別に選ぶだけでなく、開業後の業務フローやシステム間のデータ連携まで見据えて、院内全体の仕組みを設計する必要があります。
特に、クラウド型システムを選ぶ際は、現在必要な機能だけでなく、他施設との情報共有、遠隔診断、AI連携、BCP・災害対策など、将来的な拡張性も確認しておきたいポイントです。
本記事では、開業後の運用まで見据えた仕組みづくりを「医療DX設計」と捉え、株式会社エムネス ホスピタル&クリニック営業部の嶋野氏へのインタビューと独自調査をもとに、クラウド型システムの導入メリットや、後悔しないシステム選定のポイントを解説します。

インタビュイー
株式会社エムネス
営業ビジネスディベロップメント本部
セールススペシャリスト
嶋野 直大
営業として体外診断用医薬品および医療機器にて20年以上のキャリア、並行し営業企画部として営業戦略立案、セミナー運営やSalesforceなどのSFA/CRM導入およびシステム管理者に従事。2024年4月にエムネス入社、院内のクラウド化を提案。
クリニックの医療DXについて、具体的な進め方や各業務工程での医療DX施策例を解説した、以下の記事もあわせて参考にしてください。
クリニック開業時に考えたい医療DX設計とデータ活用
――なぜ今、医療現場ではDXが求められているのでしょうか。
嶋野直大(以下、嶋野) 医療の現場にはさまざまな課題が存在しています。医師やスタッフの不足、働き方改革、高齢化による患者増加などの「医療への負担増」、セカンドオピニオンの増加、遠隔相談や在宅医療への期待、医療データの一元化などの「患者ニーズの変化」、医療情報点在による連携困難や医療変化・AI活用を前提としていない「医療情報の壁」が主な課題です。
これらの課題を解決し、医療を続けられる仕組みを作るためにも医療DXが求められています。
――そもそも医療DXとはどのようなものなのか、改めて解説をお願いします。
嶋野 結論からお話すると、医療DXの本質は「医療データのあり方を変える」ことです。「DXをしたから課題が解決する」ということではなく、あくまでも「DXは課題解決の一つの手段」と考えてください。
そこで重要になるのが、医療データが安全に循環し、必要なタイミングで必要な人に届く状況を作ることです。現在は医療データが施設ごとに管理されているため、データを安全に流通させることで、医師や患者、地域をつなぐ資産に変えることを目的としています。
独自調査から見るクラウド型医療システムの導入メリットと動向
――医療DXを進めた場合、クリニックはどのようなメリットを得られるのでしょうか。
嶋野 2025年7月、当社では医療用情報システムにおける医療DXに関する実態調査を行いました。そのなかで「クラウド型システムの導入メリット」を質問したところ「データが保全される」という回答が最も多く、他にも「場所を問わずに情報にアクセスできる」「他施設との連携がしやすい」という回答が上位に来ています。

――クラウドシステムを導入することで、データの連携が実現しているわけですね。
嶋野 そうですね。別の質問項目で「医療DXの進展によって、今後特に強化・注目されるべき領域」を質問したところ、こちらでも「医療データの一元管理と連携」「遠隔診断・画像診断」など場所に縛られない診療を求める回答が多く見られました。

嶋野 また「今後、医療用情報システムをクラウド化する予定の有無」について質問したところ「予定している」という回答が約30%にのぼり、その中でもクリニックにおいては「1年以内に導入予定」という回答が25%ありクラウド化への機運が高まっているといえる結果となりました。

開業後に後悔しないクラウド型システム選定のポイント
――具体的にクラウド化はどのように進めていけばよいのでしょうか。
嶋野 まずは医療のインフラとしてスムーズにデータ共有できるシステムを導入するのが第一歩です。例えば「外部の専門家に遠隔読影の依頼が簡単にできるか」といったところを前提に検討するのがよいでしょう。
――昨今はAIの話題に事欠きませんが、医療DXにもAIは必要でしょうか。
嶋野 医療DXにAIは避けて通れないキーワードです。クラウド上でAIと連携・解析を実装するシステムが増えており、AIと連携することを見越した設計がされているか、今後の拡張性が期待できるかといったプラットフォームとしての進化も検討のポイントになってきます。
当社の「LOOKREC」でも、エルピクセル社の画像診断EIRLをオプションにてつけることが可能です。AIを導入することで、業務効率化や、医師の負担軽減にも繋がると考えられます。
BCP・災害対策の観点でもクラウドは有効
――クラウドシステムを使うのであれば、バックアップや災害対策はどのように変化するのでしょうか。
嶋野 バックアップや災害対策もDXを推進する上で重要な基準となります。これも当社が実施した「医療機関のBCP(事業継続計画)対策に対する独自調査」となりますが、災害を想定したBCP対策の策定有無を質問したところ、回答者全体では「対策を行っている」「今後策定を予定している」という回答が約50%でした。
ただクリニックの46.6%は「対策をしておらず、今後も予定がない」と回答しています。クラウド型システムは、医療情報の保全や災害時の閲覧環境を検討するうえで、BCP対策の選択肢の一つになります。

――クラウド型システムを導入すれば、万が一災害が起きても診療を継続できると考えてよいのでしょうか。
嶋野 こちらも同じ調査の別項目の回答になりますが「災害時の診療継続において不安に感じる点」という質問に対し「通信の確保」「医療情報の保全・閲覧」が40%を超えていました。災害でパソコンが物理的に壊れてしまっても、通信環境や利用可能な端末を確保できれば、別の端末からアクセスできる点がクラウド型システムのメリットです。

――災害時にはインターネットも使えなくなってしまうのではないでしょうか。
嶋野 クラウド型システムは「インターネットが遮断されたら全く使えない」というものではありません。例えば「LOOKREC」は当日撮影した画像を一時的にキャッシュしておき、端末から閲覧できるようにしています。
――クラウドにデータをアップロードすることに不安を感じる方も多そうです。
嶋野 信頼できるクラウドサービスを使っているかも重要です。「LOOKREC」は全世界的に強固なセキュリティを誇るGoogle Cloudを使っており、画像データは日本国内のデータセンターに保管されているので、安心してご利用いただけます。
クラウドにおけるセキュリティに関しては、以下のセミナーレポートでも詳しく解説されているので、ぜひ参考にしてください。
――最後にメッセージをお願いします。
嶋野 医療DXの第一歩は医療データの流通を作り出すことです。これから開業される医師の方には「次世代のインフラ」を作ることをイメージしながら、当社の製品だけでなく、クラウド連携ができるソフトウェアやシステムを選択肢の一つに入れていただければと思います。
――医療データを流通させ、資産として活用できる仕組みづくりが重要なのですね。ありがとうございました。
クラウド型PACS「LOOKREC」の詳細は
以下のサービス資料をぜひご確認ください
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開業にまつわることは以下の記事でも解説しています。これから開業を考えられている方はぜひ参考にしてください。






