【サムネイル】医療用画像管理システムPACSとは?課題や選び方のポイントも解説

PACSとは?医用画像管理システムの仕組みや電子カルテとの違い、導入メリット・選び方を解説

PACS(Picture Archiving and Communication System)とは、CTやMRI、レントゲンなどで撮影した医用画像をデジタルで保存・管理・閲覧するための医用画像管理システムです。

医用画像をデジタルデータとしてPACSで管理することで、画像閲覧や過去画像の比較が容易になり、診断業務の効率化につながります。

本記事では、PACSとは何かといった基本的な役割や仕組み、他システムとの違い、導入によるメリットや選び方、導入前に確認したい注意点などについて解説します。

また、本記事の後半では、当社のクラウド型PACS「LOOKREC」を導入されたクリニックさまの事例もご紹介します。新規開業時やリプレイス時にクラウド型PACSを検討されている方は、あわせて参考になさってください。

この記事でわかること

PACSの基本的な役割と、医用画像を保存・管理・閲覧する仕組み

DICOMとの関係、RIS・HIS・電子カルテとの違いと連携イメージ

PACS導入によるメリットと、導入前に確認すべき注意点

オンプレミス型PACSとクラウド型PACSの違い、選び方の考え方

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株式会社エムネス メディカルソリューション本部長 執行役員 放射線診断専門医 島村泰輝

この記事の監修者
株式会社エムネス
メディカルソリューション本部長 執行役員
放射線診断専門医
島村 泰輝

2012年に名古屋市立大学医学部を卒業。同大学大学院医学研究科を修了し、医学博士を取得。放射線診断専門医。名古屋市立大学病院および地域の基幹病院での勤務を経て、2019年に株式会社エムネスへ入職。遠隔画像診断に従事する傍ら、医師視点を活かしたプロダクト開発・設計にも携わる。20251月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。医学部生を中心とした学生団体「MNiST」の監修も務める。

目次[非表示]

  1. 1.PACSとは?
  2. 2.PACSの仕組み
    1. 2.1.1. 検査装置で撮影する
    2. 2.2.2. 医用画像の保存・管理
    3. 2.3.3. 医用画像の閲覧
  3. 3.PACSとDICOMの関係
  4. 4.PACSと他システムとの違い
    1. 4.1.PACSとRISの違い
    2. 4.2.PACSとHISの違い
    3. 4.3.PACSと電子カルテの違い
  5. 5.PACSを導入するメリット
    1. 5.1.メリット1. フィルムレス化により保管・運用負担を軽減できる
    2. 5.2.メリット2. 医用画像を効率的に検索・管理できる
    3. 5.3.メリット3. 診断業務の効率化につながる
    4. 5.4.メリット4. RISや電子カルテなどの他システムと連携しやすい
  6. 6.PACSの種類と選び方(オンプレミス型・クラウド型)
    1. 6.1.オンプレミス型PACSがおすすめの医療機関
      1. 6.1.1.オンプレミス型PACSのメリット
    2. 6.2.クラウド型PACSがおすすめの医療機関
      1. 6.2.1.クラウド型PACSのメリット
  7. 7.PACS導入時の注意点とセキュリティ対策
    1. 7.1.オンプレミス型PACSの注意点
    2. 7.2.クラウド型PACSの注意点
  8. 8.クラウド型PACS「LOOKREC」の導入事例5選
    1. 8.1.事例1. 松戸常盤平おなかと胃大腸カメラと内科のクリニック 様
    2. 8.2.事例2. 医療法人晃徳会 横山医院 様
    3. 8.3.事例3. 松戸脳神経外科Dr’sクリニック 様
    4. 8.4.事例4. おかむらクリニック 様
    5. 8.5.事例5. ばば脳神経外科・救急科・健診クリニック 様
  9. 9.PACSにまつわる歴史・医療業界の現在と進化
    1. 9.1.PACSにまつわる歴史
    2. 9.2.PACSがもたらす医療業界の現在と進化
  10. 10.まとめ

PACSとは?

PACS(Picture Archiving and Communication System)とは、CTやMRI、レントゲンなどの医用画像をデジタルで保存・管理・閲覧するためのシステムです。フィルムで管理していた画像をデジタル化することで、画像の確認や過去画像との比較を効率的に行えるようになります。

CTやMRI、レントゲンなどの検査装置で撮影された医用画像は、サーバーに保存され、院内のモニターで即座に閲覧できるようになります。従来はフィルムなどでアナログ管理されていた医用画像も、PACSの導入によりデジタル化され、効率的に管理できるようになりました。

PACSの仕組み

PACSの仕組み

PACSは、検査装置で撮影された医用画像をサーバーに保存し、ビューア端末から閲覧できるようにする仕組みです。撮影、保存・管理、閲覧という流れで画像情報を扱い、診療や画像診断業務を支える役割を果たしています。

一般的なPACSは、次のような流れで動作します。

  1. 検査装置で撮影する
  2. 医用画像の保存・管理
  3. 医用画像の閲覧

1. 検査装置で撮影する

まずCTやMRI、レントゲンや超音波など検査装置(モダリティ)で医用画像を撮影します。これらのモダリティで撮影した画像は「DICOM」というデータ形式にて生成されます。DICOM規格に関しては詳しく後述します。

2. 医用画像の保存・管理

検査装置で生成された医用画像をPACSのサーバーに送信し、保存・管理されます。

オンプレミス型PACSとクラウド型では、この保存・管理の場所に違いがあります。オンプレミス型の場合、院内設置のサーバーに、クラウド型の場合はクラウド上にデータが保存・管理されます。

3. 医用画像の閲覧

PACSサーバーに保存された医用画像は、ビューア端末から閲覧できます。PACSを利用することで過去画像との比較や計測などが容易にでき、診療の効率化に役立ちます。

PACSとDICOMの関係

DICOMビューアとPACSの違い

DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicineの略)とは、医用画像の保存形式や通信方法を定めた国際標準規格です。対して、PACSはDICOM画像を保存・管理・閲覧する仕組みであり、異なる検査装置やシステム間で画像を扱うためにも重要な役割を担います。

CR(X線デジタル撮影装置)、CT、MRI、内視鏡などの各種検査機器(モダリティ)から発生する画像データは、ほぼDICOM規格で統一されており、DICOM画像のヘッダー部分には、患者氏名や年齢、IDなどの患者情報をはじめとし、撮影施設や撮影者、撮影日時など規格で決められたタグが付けられた状態になっています。DICOM規格に準拠していれば、どの国のどのモダリティで撮影した画像でも、すべて同じルールでのタグが付加されています。よって、DICOM画像を読み取れるシステムであれば、異なる装置やシステム間でも画像を閲覧できるようになります。

PACSと併せて覚えたい「DICOM規格」について

こうしたDICOMサーバやDICOMビューアなどを組み合わせて、医用画像の保存・管理・閲覧を行う仕組みがPACSです。

なお、自分に合ったDICOMビューアの選び方について、現役読影医が解説した以下の記事やダウンロード資料もぜひ参考にしてください。

DICOMビューアの選び方ハンドブックホワイトペーパーダウンロードボタン

PACSと他システムとの違い

PACSとRIS、HISとの違い

PACSは医用画像を管理するシステムですが、医療機関ではRIS、HIS、電子カルテなど複数のシステムと連携して利用されます。それぞれ役割が異なるため、PACSを理解する際は、画像管理と診療情報管理の違いを整理しておくことが重要です。

PACSと関連が深いシステムには、次のようなものがあります。

  • RIS(Radiology Information Systemsの略)
  • HIS(Hospital Information Systemsの略)
  • 電子カルテ

これらとの違いについても解説します。

PACSとRISの違い

「RIS」とはRadiology Information Systemsの略で、 放射線科情報システムのことです。
主に放射線機器による検査と、治療の予約から検査結果までの管理を行います。RISは検査に関する情報管理であるのに対し、PACSは医用画像自体を管理するシステムな点に違いがあります。

PACSとHISの違い

「HIS」とは、Hospital Information Systemsの略で、病院情報システムのことです。
病院内の各種情報システムの総称で、自動受付、電子カルテ、入退院管理、医事会計、薬局管理、診療予約などの各システムが含まれることが多く、患者情報や予約情報、検査情報などの内容を取得できます。
PACSが主に放射線画像データを専門に扱うシステムであるのに対し、HISは医療機関全体の情報を一元管理するシステムといえます。

PACSと電子カルテの違い

電子カルテとは、患者の医療情報全般を電子的に管理するためのシステムのことです。主に患者の診療歴を記録し、医師や看護師が患者の状態を追跡・管理するのに使用されます。

電子カルテの患者IDとPACSの画像データを連携させることで、取り違えなどのヒューマンエラーが防止でき、電子カルテから関連画像を呼び出せるなど、診断や業務の効率化につながります。

PACSを導入するメリット

PACSを導入することで、医用画像の保存・管理・閲覧をデジタル上で行えるようになります。フィルムレス化による保管負担の軽減だけでなく、画像検索や過去画像比較、電子カルテ連携など日常診療や検査業務の業務効率化にもつながります。

PACSを導入する主なメリットは、以下の通りです。

  1. フィルムレス化により保管・運用負担を軽減できる
  2. 医用画像を効率的に検索・管理できる
  3. 診断業務の効率化につながる
  4. RISや電子カルテなどの他システムと連携しやすい

メリット1. フィルムレス化により保管・運用負担を軽減できる

PACSを導入することでフィルムレスな画像検査の運用が可能になります。

従来はフィルムに焼き付けて保管していた医用画像も、PACSを利用することでデジタルデータとして保存・管理できるようになります。

フィルム保管には専用の保管スペースが必要でしたが、PACSを導入することでこうした保管場所の確保やフィルム管理の負担を軽減することができます。

メリット2. 医用画像を効率的に検索・管理できる

PACSを導入することで、医用画像をデジタルデータとして一元管理できるようになります。患者ごとに画像を整理して管理できるため、必要な画像を探しやすくなり、検査画像の管理効率が向上します。

また、撮影された画像はPACSサーバーに保存され、ビューア端末からすぐに閲覧できるため、撮影から画像確認までの流れもスムーズになります。

メリット3. 診断業務の効率化につながる

PACSを利用することで、過去に撮影した医用画像との比較が容易になります。電子カルテと連携することで、患者情報と紐づいた画像をすぐに呼び出すことができ、過去画像との比較や確認がスムーズに行えるようになります。

また、計測機能などを活用することで、診断時の画像確認作業も効率化され、医師の診断業務の負担軽減にもつながります。

メリット4. RISや電子カルテなどの他システムと連携しやすい

PACSは、RIS(放射線科情報システム)や電子カルテなど、医療機関内のさまざまなシステムと連携して利用されることが多いシステムです。

電子カルテの患者IDとPACSの画像データを連携させることで、患者情報と検査画像を紐づけて管理することができ、取り違えなどのヒューマンエラーの防止にもつながります。また、電子カルテから関連する医用画像を呼び出すことができるため、診療時の情報確認もスムーズになります。

電子カルテとPACSの連携については、以下のセミナーレポートでも詳しく解説しているので、ぜひ参考になさってください。

PACSの種類と選び方(オンプレミス型・クラウド型)

資料_PACSにおけるクラウドとオンプレミスの比較(メリット・デメリット)

PACSには、院内サーバーで運用するオンプレミス型と、クラウド上で画像を保存・管理するクラウド型があります。医療機関の規模、運用体制、コスト、遠隔読影や地域連携の必要性を踏まえて、自院に合った方式を選ぶことが重要です。
以下のポイントを参考にし、自院にあったものを選びましょう。

オンプレミス型PACSがおすすめの医療機関

オンプレミス型とは、病院内にサーバや通信回線、専用のPACSシステムを構築し、自院の中で運用が完結するような形態です。

オンプレミス型が推奨されるのは、大容量かつカスタマイズ性などの高性能なPACSが求められるケースです。具体的には規模の大きな病院が該当します。

オンプレミス型PACSのメリット

院内サーバにデータ保存がされるオンプレミス型のメリットは、以下のポイントがあげられます。

  • 画像の閲覧が院内限定、かつLAN経由のため、高速で安定に表示が可能
  • 自由度が高く、院内の仕様や要望に合わせやすい

クラウド型PACSがおすすめの医療機関

クラウド型であれば、オンプレミス型のように専用機器が不要で、インターネットに接続できる環境であれば利用可能です。専用機器が不要な分、リプレイス作業や、導入費・更新費が不要、もしくは低コストな場合も多く、クリニックや新規開業で初期費用を抑えたい医院におすすめです。

また、遠隔読影を多用する健診センターもCD-ROMに焼いたりデータを郵送せずとも、施設外へのデータ共有が容易になり、業務効率化につながります。

クラウド型PACSのメリット

DICOM画像をクラウド上に保管する主なメリットとして、以下のポイントがあげられます。

  • 専用の画像サーバが不要なので、気軽に導入しやすくコストメリットが大きい

  • 更新費・維持費などのランニングコストがかかりづらく、更新作業などの手間もかからない

  • 万が一の院内サーバのクラッシュ時(ソフト的故障や災害によるハード的故障など)にクラウド型ならデータ復旧が可能

  • 郵送等のアナログ運用を脱却でき、患者情報の紛失リスクが軽減する

なお、こちらの記事でもオンプレミス型とクラウド型の違いについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

PACS導入時の注意点とセキュリティ対策

PACSを導入する際は、運用形態に応じたセキュリティ対策や管理体制を事前に確認しておくことが重要です。オンプレミス型・クラウド型では注意すべきポイントが異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで、自院に適した運用方法を選択する必要があります。

オンプレミス型PACSの注意点

オンプレミス型PACSの場合、院内サーバにデータが保存されているため、物理的に院内完結しやすくセキュリティ面は安心と思われがちです。しかし、オンプレミス型PACSの場合は、院内完結できる分、独自でのセキュリティ構築が必須となります。適切なセキュリティを保つためには、随時手動での更新作業や管理、業者への依頼が必要になります。

また、院外にデータ共有をする際は、DICOMデータをCD-ROMに焼き郵送する、もしくは医療機関同士を専用回線で接続するなどのアナログな方法が主流となります。ネットワークを介した情報漏洩はないものの、紛失リスクや焼き間違いのリスクなどの人的ミスが発生しうる可能性があることに留意しましょう。

クラウド型PACSの注意点

ネットワークを介して画像が共有されるクラウド型PACSでは、システム更新が自動で更新され、常に最新版の状態を維持しやすいことが特徴です。また、従来のUSBやCD-ROMを受け渡す方法では、紛失や盗難のリスクがありましたが、クラウドではそのような心配もありません。

しかし、インターネット経由で院外からも閲覧が可能な分、十分なセキュリティが確保がなされているPACSを利用しないと、不正アクセスやデータ漏洩のリスクが生じます。暗号化・多重バックアップなどセキュリティ対策は、各企業によってさまざまです。クラウド型PACSを導入する際は、医療法規に準拠しているか、どのようなセキュリティ対策がとられているかを必ず事前に確認しておきましょう。

当社のクラウド型PACS「LOOKREC」では、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得しており、医療業界のコンプライアンスにも対応可能です。また、「ISO 27017」をはじめ、セキュリティに関する数多くの国際規格に準拠しているGoogle Cloudのシステムを利用し、高い安全性を確保。アクセス制限をかけたり、不正ログイン対策ができるため、より安全に患者情報を連携できます。また、医療機器責任分界点を以下のように定めています。

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「オンプレミス型だから・クラウド型だから安心」ということは一概にはありません。セキュリティ面も含め、自院にはどちらのタイプがあっているのかを熟考したうえで導入しましょう。

医療分野のセキュリティ・クラウドの安全性については、以下のセミナーレポートでもわかりやすく解説されています。ぜひ参考にしてください。

クラウド型PACS「LOOKREC」の導入事例5選

ここでは、新規開業時やオンプレミス型PACSからのリプレイス時に、クラウド型PACS「LOOKREC」を導入いただいた事例を紹介します。導入背景や活用方法を確認することで、クラウド型PACSがどのような医療機関に適しているかを具体的にイメージしやすくなります。

事例1. 松戸常盤平おなかと胃大腸カメラと内科のクリニック 様

新規クリニックの開業にあたり、クラウド型電子カルテと相性のいいクラウド型PACSを探されていた事例です。

開業のタイミングで医療機器を選定を考えられている医師の方は、選定時の注意点をまとめたこちらの記事もあわせて参考にしてください。

事例2. 医療法人晃徳会 横山医院 様

オンプレミス型PACSの保守や更新の費用などが高いことと、CD-ROMでの画像管理だと過去画像を見たい時にすぐに見れず非効率だったことを課題に感じ、クラウド型PACSにリプレイスされた事例になります。

事例3. 松戸脳神経外科Dr’sクリニック 様

開業にあたり、クラウド型電子カルテと連携して使えるクラウド型のPACSを導入された事例です。
他の地域医療機関とも画像共有を見据え、病診連携のシステムとしてもご活用いただいております。

事例4. おかむらクリニック 様

在宅医療を行うなかで、訪問先でも画像を確認し、診療の効率化と生産性を向上されている事例です。LOOKRECなら外出先や自宅でも画像を確認することが可能です。

事例5. ばば脳神経外科・救急科・健診クリニック 様

クリニック、並びに医療モールを新しく立ち上げるにあたり、MWM連携を利用し、モール内の他クリニックと必要な画像や患者データだけを共有・連携できる医療システム(PACS)を探され、導入に至った事例です。

なお、医療機関向け動画配信YouTube「Webery!チャンネル」でも、LOOKRECを選定いただいた理由や、使い勝手を取り上げていただきました。こちらもぜひご覧ください。

PACSにまつわる歴史・医療業界の現在と進化

最後にPACSにまつわる歴史と、PACSを利用することでもたらされる医療業界の現在地と進化についても解説します。

PACSにまつわる歴史

1980年代当時、モダリティから発出される情報は、フィルムへの焼き付けが一般的でした。 特に多くのデータ(かつてはフィルム)をつくりだす医療機器としてCTとMRIがあります。
CTは、1970年代に日本に導入され、1970年代後半には全身用X線CTや超高速電子スキャンCTなど、大きく発展しました。MRIは、1980年代に日本に導入され、大学病院などを中心に全国へ徐々に広がりました。これらのモダリティは、患者にとっての負担が少ないだけではなく、精細な画像をつくりだすため診断に欠かせないものとなりました。

しかし、そこで問題になったのが、年々増え続ける「フィルムの保管場所」です。日本においては患者のデータは医療法によって2年間の保管義務が定められており、大病院であるほど検査結果となるフィルムの保管スペースに頭を抱えていました。加えて、可能であれば2年といわず、データをずっと持っていたい医師も少なくありませんでした。
こうした背景があり、フィルムからデジタルデータへという動きになり、開発が進められたのがPACSです。当時のPACSは、小型・中型規模であり、機能や性能等は開発する企業に委ねられていましたが、1990年代になるとPACSも大型化し、徐々に他の病院システム(HISやRIS等)との連携が求められるようになります。
1996年には厚生労働省が「医用画像の電子保存」に関する通知を出し、検査画像の電子化が認められるようになり、2008年にPACSによる診療報酬が引き上げられたことで全国的に広まりました。

PACSがもたらす医療業界の現在と進化

日本の医療は現在、地域医療格差という医療問題が生じています。特に画像診断においては、日本は世界に類を見ない多くの CT、 MRI 機器の保有率であるにもかかわらず、画像診断の専門医である読影医は、人口100万人あたり 0.3人未満といわれるくらい不足しており、「量と質の不均衡」が生じているのが現状です。

これらの問題の解決策として浮上してきたのが「遠隔画像診断」です。2018年には、日本放射線科専門医会や日本医学放射線学会などが中心となり、「遠隔画像診断に関するガイドライン 2018」が公表されました。

これにより、DICOM画像を院外(他の医療機関)へ送ることや、院外の放射線科医に読影を依頼することが可能となり、現在は事実上、以下のことが認められています。

  • PACSの画像情報を、遠隔画像診断用サーバを用いて、遠隔画像診断データセンターを介する、あるいは直接に読影医の端末に送信すること
  • 画像診断用端末を用いて読影すること
  • 読影医は報告書を作成し、依頼元へと返送すること

遠隔画像診断の普及をさらに一歩進めたのが、画像データを院外に保存するというクラウドサービスであり、今後も広がっていくと考えられています。

まとめ

PACSは、医用画像をデジタルで保存・管理・閲覧するための重要な医療システムです。また、他システムと連携して活用されることも多く、医療機関の診療体制や運用において重要な役割を担っています。導入を検討する際は、オンプレミス型・クラウド型それぞれの特徴やメリット、注意点を踏まえ、自院の運用や目的に合ったシステムを選ぶことが大切です。

当社のクラウド型PACS「LOOKREC」は、専用機器が不要で、導入費・更新費0円から利用できるため、新規開業時やリプレイス時にも導入しやすいサービスです。

クラウド型PACSの導入を検討されている医療機関の方は、ぜひ以下の無料資料より詳細をご確認ください。

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記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
2012年 名古屋市立大学医学部 卒業。同大学病院や市中病院で医師として勤務したのち、2019年にエムネスにジョイン。メディカルプロフェッショナルサービス本部副本部長を経て、2025年1月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。放射線診断専門医、医学博士。
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