
クリニック開業で初年度から黒字を目指す!収益を最大化するミニマムコスト経営とは【セミナーレポート】
クリニック開業において多くの医師が悩むのが「いつ黒字化できるのか」「収益は安定するのか」という経営面の不安です。
実は、クリニック経営の成否は開業後の努力以上に、開業前の「設計」で9割が決まると言っても過言ではありません。
本記事では、開業初年度から黒字化を目指すために重要な考え方として、「ミニマムコスト・マキシマム収益」という経営視点に注目。人件費と設備投資という二大固定費をいかに最適化し、損益分岐点を引き下げるかを株式会社メドレー 村田氏・株式会社エムネス 下岡に具体的に解説いただきました。
AIやクラウドを活用した省人化、設備投資を抑えながら収益性を高めるIT活用の実例など、これからクリニック開業を検討している方、収益改善に課題を感じている院長にとって、実践的なヒントが得られる内容です。ぜひ参考にしてください。
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クリニック開業で収益最大化のポイントは「人件費」と「設備投資」
――「ミニマムコスト・マキシマム収益クリニック」の創り方についてですが、これは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
村田卓也氏(以下、敬称略) 一言で表現すると「コストを最小化し、収益を最大化する」クリニックの創り方です。二大固定費である「人件費」と「設備投資」を圧縮し、限られたリソースで収益を最大化する設計についてお伝えします。
その前段階として、こちらの図をご覧ください。こちらは平均的な初年度の資本を表しています。

――売上高と利益、費用が表示されていますね。
村田 売上に対して手元に残るお金(利益)と費用がどのような内訳になっているかを示した図です。
ここから費用を分解していくと、変動費と固定費に分かれます。さらに分解するとそれぞれの構成比率がわかりやすくなると思います。
――人件費がかなりのウエイトを占めていますね。
村田 開業初期の売上高人件費率は26%ですが、クリニックが安定期・成熟期に入ると50%近くにまで膨れ上がります。利益を確保するためには、人件費のコストコントロールが必要不可欠です。
特に保険診療に関するものは、基本的に「医師は医師の仕事」「看護師は看護師の仕事」「事務員は事務の仕事」と役割や職務内容が分かれている中で一連のオペレーションを設計する多職種連携構造にあります。
――ヒト依存になりやすい構造だということですね。

村田 次に人とモノの関係を見てみましょう。この図は科目ごとに診療を成り立たせるために必要な機器を表しています。
これにプラスアルファでサービスの差別化を図るための機器を入れることがありますが、追加で導入した機器の効果を患者が実感できなければ、コスト高になりやすい要素であることに注意が必要です。
――機器にこだわることが、必ずしもプラスに働くわけではないということですね。
村田 そのとおりです。X線照射装置、CR装置、エコーなどの高額機器は開業時の資金を大きく圧迫するため、初日の稼働予測に基づき導入時期を慎重に見極めることが重要です。導入時は、節税効果の高い「購入」か、手元資金を温存できる「リース」かを自院の財務状況に合わせて戦略的に選択し、キャッシュフローの健全性を確保してください。続いて人と箱の関係について見てみましょう。

――診療科目ごとの人員体制と診療に必要な面積ですね。
村田 一般的に患者対応や電話対応をする医療事務員は2名必要になります。科目を問わず人件費を大きく左右するのが看護師の有無です。
例えば、プライマリー領域のみの内科の場合「看護師を採用する必要があるか」「医師が対応することはできないか」を考えることが求められます。
――看護師の仕事が「採血だけ」であれば、本当に採用するか考える必要がありそうです。
村田 診療科目によって必要な人員数や診療面積は異なりますが、固定費の大半は人件費・地代・医療機器です。
これらのコストを圧縮すれば、損益分岐患者数(黒字化に必要な患者数)の絶対数も引き下がりますので、変数としてメスの入れどころだと考えています。
――売上の観点では、どのようなポイントがあるのでしょうか。

村田 科目ごとの報酬を見てみると、報酬で差がつきやすいのが「D 検査」です。
例えば採血を実施すると原価0円で4000円の売上になります。そこから生活習慣病患者のスクリーニングをし、見つかれば「B 医学管理」に移行するので、収益構造の母集団形成につながります。
――検査から再診患者・慢性疾患患者へと遷移していくわけですね。
村田 そのためには再来患者の確保が前提条件となりますので、初診の患者体験が重要です。また不必要な検査を増やしすぎると患者離れにつながりかねないので、責任を持って説明できる範囲での変数として扱うといいでしょう。
IT・AI活用による省人化!クリニック経営で人件費を最適化する方法
――ここまでの前提理解のパートでもお話がありました、人件費のコストコントロールについて詳しく教えてください。
村田 経営安定には人件費の最適化が欠かせません。そこで鍵を握るのが業務の役割分担設計です。
まず開業するときに職種・担当者単位で仕事内容を明示化します。このときに一人の職員にさまざまな業務を行ってもらう「多能工」か、一つの業務に特化する「単能工」かを決め、業務を標準化していきます。
標準化をするときにはITツールを導入したDX化、さらにAIを活用した作業の自動化支援をすることで、誰が担当しても同じレベルで業務を回せる標準化しやすいオペレーション設計することも可能です。
――ITに置き換えやすい業務にはどのようなものがあるのでしょうか。
村田 この図は院長の仕事の中で、スタッフに置き換えやすいものを緑、ITに置き換えやすいものを赤で示したものです。「フロント業務」かつ「代替が易しい」業務についてはITツールに置き換えやすく、業務を標準化しやすいので、ここは重点的に考えた方が良いでしょう。

――これらの業務IT化はすでに対応しているクリニックも多いと思います。差別化を図るには何が必要でしょうか。
村田 収益観点においては医師がトリガーになるので、独占業務である診療をベースにした診療報酬の積み重ねが必要です。
そこで医師には診療行為に向き合っていただくことが、収益観点で見ても回転率が高く、かつ顧客体験向上にもつながりやすいので、まずはそこに注目して進めるとよいでしょう。
――医師が診療行為に集中するためには、その他の業務をIT化する必要があるということですね。何か注意すべきポイントはありますか。
村田 例えば、予約・問診・オンライン診療などをITツールで対応したいと考えていても、バラバラのシステムを導入していてはオペレーションが複雑化し、人に依存せざるを得ないリスクが高まります。ITツールは、可能な限り同一メーカーに集約すべきです。メーカーを絞り込むことで、データの二重入力や操作習得のコストを最小化できます。この「情報のシームレスな連携」こそが、スタッフの負担軽減とミス防止、そして現場オペレーションの簡素化に直結します。
当社のクラウド診療支援システム「CLINICS」は、さまざまな機能を一つのシステムに集約しており、先生だけでなくスタッフも含めて、誰でも使いやすいオペレーション設計の標準化が可能です。
――一つのシステムにまとまっていれば、導入・維持コストも下げられますし、問い合わせ窓口も一本化できるので、業務の負担も軽減しそうです。ありがとうございました。
5年で100万円以上の差がつく!クラウド型PACSが選ばれる理由
――ここからはクラウドPACSの導入について、エムネスの下岡より説明していただきます。まず医療機関でデータを扱う医療情報システムの市場規模について教えてください。
下岡将吾(以下、下岡) 日本国内における医療情報システムの市場規模は3000億円前後、1%未満の低い増加率で推移しています。
電子カルテについては中小規模向けの数字となりますが、2026年にクラウド型システムが16.8%を占める見込みです。また2022~2023年に新規開業したクリニックでは70%を超える施設がクラウド型電子カルテを採用しており、クラウド型システムの普及を感じられます。
――その中でPACSの市場規模はどのようになっているのでしょうか。
下岡 日本国内のPACSの市場規模は約600億円、横ばい傾向となっています。しかしクラウド型PACSの導入数は増加傾向で推移しており、今後もクリニックを中心にクラウド型PACSの導入件数が増加することが見込まれます。
――改めてクラウド型PACSの特徴を教えてください。

下岡 こちらはクラウド型PACSの特徴を従来のオンプレミス型PACSと比較した表です。まず物理的なサーバーが不要なので、維持管理コストが安く、利用開始までの期間も短くて済みます。サーバー保守もクラウドベンダーにお任せできるので、ハードの管理も不要です。
またクラウドにアップロードしたデータは複数のデータセンターに分散バックアップされるので、冗長性の高さもメリットだと言えます。
――クラウド型のデメリットにはどのようなものがありますか。
下岡 すべてのユーザーが同じ環境を使っているため、オンプレミス型に比べるとカスタマイズの自由度は低いと言えます。またインターネットの回線速度が安定性に直結するので、通信が不安定な状況ではオンプレミス型の方が安定して使えます。
ただし、各クラウドベンダーの工夫により、個別カスタマイズ対応も進歩していますし、技術発展に伴い安定した通信が可能になっているので、クリニックでの用途に限ればクラウド型のデメリットは小さくなっていると言えそうです。

――実際に電子カルテとPACSを組み合わせる場合、どのような運用になるのでしょうか。
下岡 こちらはクラウド型電子カルテとオンプレミス型PACSを組み合わせたイメージ図例です。院内のモダリティ(検査機器)から画像サーバーに画像データが送信され、各診察室からサーバーの画像を参照する形になっています。
この場合、参照する端末は専用機であることが多いため、電子カルテとPACSの画像端末を連携させるには、物理的な接続が必要です。
――ネットワークが複雑になりそうです...
下岡 そうですね。院内にサーバーを置くため、空調管理や保守管理が必要になりますし、停電時にも切れないよう無停電装置の追加も必要です。さらにデータバックアップなど冗長化のためのハード機器も用意しなければなりません。
ここまでの対策をしても水害や自身などで物理的にサーバーが壊れてしまえば、保管されている画像データを普及するのは非常に困難になります。
――対して、クラウド型PACSの場合はどのようになるのでしょうか。

下岡 こちらがクラウド電子カルテとクラウド型PACSを組み合わせたイメージ図例です。LOOKRECを例に上げておりますが、クラウド(インターネット)上にサーバーを構築するため、院内に物理的な画像サーバーを置く必要がありません。
モダリティ(検査機器)からクラウドサーバーへは直接通信ができないので間に転送端末が一台入りますが、診察室からはインターネットを通じてPACS内の画像を閲覧することができます。クラウド型電子カルテとクラウド型PACS、どちらもインターネットが使えれば同じ端末からアクセス可能です。
――オンプレミス型に比べてネットワークがシンプルで、端末台数が減らせそうですね。
下岡 ビューワ端末と電子カルテ端末を一本化できるのは大きなメリットです。端末が分かれているとキーボードとマウスも別々になりますし、カルテに画像を貼り付けたい場合の操作も煩雑になりますが、一台の端末でカルテもビューワも併用できれば、操作はぐっと簡単になります。
また、オンプレミス型の場合、画像を閲覧できるのは専用端末だけですが、クラウド型であれば万が一ビューワ用の端末が壊れたとしても、クラウドにデータが残っています。院内にサーバーを置かないので、物理的なメンテナンスは不要ですし、万が一の災害時も安心です。
――災害でパソコンが壊れても、パソコンの入れ替えだけすれば復旧できるのは安心ですね!維持管理コストはどのような違いがありますか?
下岡 従来のオンプレミス型PACSは約5年でリプレイスが必要となりコストがかかります。またバックアップで冗長化しているとは言え、突発的な故障が発生した場合には追加コストが必要です。
クラウド型PACSであれば定額のサブスクリプション費用のみなので、コスト管理の見通しが立てやすくなります。クリニックの規模であれば、クラウド型PACSを導入すればトータルコストはかなり抑えられるはずです。
――具体的にどのくらいのコスト差が出るのでしょうか。
下岡 オンプレミス型の場合、サーバー構築・ネットワーク構築・機器設定・画像参照端末・保守費用・ハード更新など、さまざまな場面でコストが必要です。
クラウド型の場合は、必要に応じて画像参照用のモニタを追加するだけで済むケースが多いため、5年間のランニングコストを見ると100万円以上の差が出ると思います。
――コストの面からもクラウド型の方がメリットが大きそうですね。
クラウド型PACS「LOOKREC」の直感的な操作性と多機能性

――あらためてエムネスのクラウド型PACS「LOOKREC」について説明をお願いします。
下岡 「LOOKREC」は検査画像を「ためる」「見る」「記録する」「共有する」ことを目的としたクラウド型PACSです。これらの機能を組み合わせることでさまざまな用途でお使いいただけます。
今回は「見る」機能を支える「画像ビューワ」について紹介します。標準のビューワは放射線診断専門医が監修しており、画像診断をする上で必要な機能を厳選して搭載しています。
――マニュアルを見なくても直感的に操作ができそうです。
下岡 個別カスタマイズも充実しており、オンプレミス型と遜色ないほどの多彩な機能を備えているのも特徴です。例えばオプション機能の「3Dビューワ」を使えば診察室で画像を自由に動かして診断に活かせます。これを従来型の仕組みで実現しようとするとかなり高額な設備投資が必要です。
――他にはどのような特徴があるのでしょうか。
下岡 パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットから画像を閲覧することを想定し、指タッチで操作ができるようモバイルデバイスに最適化されている点も特徴です。
――クラウド型PACSはインターネットに依存していますが、通信が不安定でも使えるのでしょうか。
下岡 クラウド型PACSはデータ容量の大きい画像を扱うため、インターネット回線の速度低下の影響を受けやすいデメリットがあります。
「LOOKREC」では「ローカルビューワ」という仕組みを提供しており、画像受信端末に1~3日分の画像を蓄積しておくことで、インターネット接続をしなくても画像閲覧をできるようにしています。
――万が一インターネット回線が不調でも、復旧するまでの間は画像を見る手段を確保できるということですね。
下岡 また院内インフラとなる電子カルテとPACSを統一することで設備投資コストを抑えられるので、浮いたコストを他の必要な部分に投資することが可能です。
さらにこれまで院内に閉じていたデータをクラウドにアップロードすることにより、従来では実現できなかったさまざまな活用法が展開できると思います。
――最後に村田さんにお伺いします。メドレーさんの「CLINICS」とエムネスの「LOOKREC」を組み合わせると、どのような効果が得られるのでしょうか。
村田 例えば「CLINICS」の電子カルテから「LOOKREC」上の画像をシームレスに呼び出すことができるので、医師の業務効率化につなげられます。画像ビューワを見ながら患者に説明できるため、患者体験の向上につながり、通院の継続が見込める点も重要なポイントです。

少し極端な例になりますが、上記の表のようにDXをうまく導入して省力化ができれば、医師一人だけで業務を回すことも不可能ではありません。
重要なのはクリニックの面積やスタッフ数、医療機器をコントロールして、損益分岐患者数を変数化することです。AIやクラウド技術をうまく活用し、それが実現できれば開業初年度から黒字化することも十分可能だと思います。
――確かに開業初期であれば、医師一人でも回せそうです。クラウド製品とうまく付き合っていくことで、データ活用や業務効率化も可能になるということですね。ありがとうございました!
クラウド型PACS「LOOKREC」の詳細は
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開業や医療DXにまつわることは、以下でも解説しています。ぜひ参考にしてください。







