健診事業でクリニックの収益拡大!3つの成功戦略とクラウド活用術_サムネイル.png

健診事業でクリニックの収益拡大!3つの成功戦略とクラウド活用術【セミナーレポート】

クリニックの新たな収入源として期待できる健診事業。ここ数年、市場的にも堅調に成長し、今後もその傾向が続くことが予測されています。

今回は「クリニックにおける収益性と効率の最大化」をテーマに、クリニックの新たな収益源とするための健診事業の具体的な戦略と、その効率化の鍵となるクラウド型PACSの活用について、セミナー形式で深掘りしていきます。健診システムサービスを展開しているアイテック阪急阪神の堀野氏からは健診事業について、クラウドやPACSについてはエムネスの須藤氏にお話を伺いました。

健診事業の市場規模や動向から、収益シミュレーション、成功のための3つの戦略まで具体的なノウハウが満載です。「クリニックの経営を安定させたい」「新たな収益の柱が欲しい」そうお考えのクリニック経営者の方々はぜひ最後までご確認いただき、参考にしてください。

本セミナーを動画でご視聴されたい方は、
以下のアーカイブ配信フォームよりお申込みください

動画視聴のお申込みボタン
セミナー登壇者プロフィール_アイテック阪急阪神_堀野智行
登壇者プロフィール_株式会社エムネス須藤技師

成長する健診事業、クリニックの新たな収益源として期待

━━ 前半はアイテック阪急阪神の堀野さんに「クリニックの健診業務における収益性と効率の最大化」というテーマでお話を伺います。まず健診事業の市場規模と動向について教えてください。

堀野智行氏(以下、堀野) 矢野経済研究所の推計によると、健診市場は毎年1%前後成長しており、この先10年近くはその傾向が続くことが予測されています。また受診率についても、2022年度で73.1%とまだまだ余力を残しているため、健診市場は今後も緩やかに成長を続けると言えるでしょう。

ただし受診率については、未受診の26.9%の大半を40~50代の被扶養者や70代以上の方が占めています。そのため、この方々の受診率を上げていくことと、比較的低い健診単価をいかに上げていくかが大きな課題です。

アイテック共催セミナー資料_健診国内市場

━━ クリニックの健診市場はどうなっているのでしょうか。

堀野 健診市場は9,440億円と非常に大きな市場です。その中でクリニックは15~20%のシェア、金額で1,460~1,950億円を占めているので、クリニックだけでもかなり大きな市場だと言えます。

健診を実施しているクリニックは2万~3万件と言われているので、一施設当たり単純計算で平均6,000~7,000万円の売上になります。

アイテック共催セミナー資料_クリニックの市場

━━ 健診市場の成長要因はどこにあるのでしょうか。

堀野 大きく三点にまとめられます。一点目は「予防医療への意識の高まり」です。早期発見の重要性が認識されるようになったり、高齢化社会が進んだりといった背景から定期的な健診の受診意識が高まっています。

ニ点目は「企業の健康経営への取り組み」です。企業においては従業員の健康を促進する動きが活発化しており、健診オプションを充実させる動きも見られます。

三点目は「政府の政策と支援」です。健康寿命延伸や医療費抑制などを背景に、政府が予防医療推進や健康経営に対する施策を打ち出しており、これが市場拡大を後押ししています。

収益シミュレーションで見る、健診事業のメリット

━━ 健診事業のメリットを教えてください。

堀野 健診事業のメリットは、大きく三点あります。一点目が「安定した収益源の確保」です。健診は年間を通じて一定の需要があるので、計画的に収益を確保でき、経営の安定化に寄与するメリットがあります。

二点目が「新規患者の獲得」です。健診をきっかけにクリニックを知っていただく機会が増えるので、そこから新たな収益増につながるメリットがあります。

三点目が「地域医療への貢献」です。予防医療の中心である健診を通じて、地域住民の健康増進に貢献することでクリニックの社会的評価を高め、信頼を築くメリットがあります。

健診事業は将来性もある事業なので、非常に魅力的なビジネスだと言えるでしょう。

アイテック共催セミナー資料_健診事業のメリット

━━ 実際に健診事業がクリニックの収益にどのように貢献するか知りたいです。

堀野 簡単に収益モデルのシミュレーションをしてみましょう。外来診療が1名あたり単価5,000円として、1日に63名実施した場合、月間693万円、年間8,316万円の収益になります。

次に、健診事業は一般健診の単価を1名あたり1万円として1日に20名実施すると、月間で440万円、年間で5,280万円です。これにオプション検査を1件1万円とし1日に5名実施すると、年間で1,320万円の収益になります。

一般健診とオプション検査を合わせると、年間で6,600万円の収益は、外来診療の8,316万円に迫る大きな金額ですので、クリニックにとっては新たな収益の柱となり得るでしょう。

アイテック共催セミナー資料_健診事業の収支例

なぜ健診事業は儲かるのか? 高収益の三つの理由

━━ 健診事業はなぜ収益性が高いのでしょうか。

堀野 健診事業の収益性が高い理由も大きく三点あります。

まず一点目は、「投入リソースの少なさ」です。例えば、設備面では、検体検査については診療と同様に外注し、それ以外の検査は普段の診療で使っている機器の空き時間を利用して健診の予約を受け付けることで、設備投資を抑えたスタートが切れます。

また、別の角度から見ると、既存リソースをベースに、健診業務を効率的に運用できるシステムが導入しやすくなった点もあげられます。

健診業務の効率化には健診システムの導入が欠かせませんが、従来型のシステムは初期費用が高いことがネックとなり導入しづらい点がありました。しかし、現在はクラウドサービスが広く浸透しており、初期導入コストを抑えてのスタートが可能です。予約電話対応などの事務的な負担も、Web予約サービスを利用することで従業員の負荷を軽減できます。

━━ 続いて収益性が高い理由の二点目は何でしょうか。

堀野 二点目は「単価の高さ」です。健診は自由診療にあたるためクリニック側で自由に料金設定ができます。特に人間ドックは通常の保険診療と比べても単価が高く設定されていると思うので、一度の受診によって得られる収益が大きくなります。

また、最近はオプション検査を希望される受診者も多いので、こちらも単価アップに寄与しています。

━━ 三点目の理由は何でしょうか。

堀野 三点目は「安定した需要」です。健診となると、毎年定期的に受診する可能性が高く、安定的な収益源になります。

また、健診を通じてクリニックを知ってもらうことは、何か異常が見つかった場合の精密検査や、普段の診察などで来院いただくきっかけになります。こちらも新たな収益機会として期待できます。

「単価・集客・コスト」から考える健診事業の成功戦略

━━ 健診事業の収益性を高めるためには、どのような戦略を取れば良いでしょうか。

堀野 「単価の向上」「集客の強化」「コストの削減」の三点からアプローチすることが重要です。これらを複合的に実施することで、健診事業の収益性を最大限に引き出すことが可能です。

まず「単価の向上」に直結する戦略として「オプション検査の導入」があります。受診者の健診に対する投資意欲が高まっている今、さまざまなオプションを用意してニーズに応えることが必要です。

当社でオプション実施率を調べたところ、2014年度には受診者の43%がオプション検査を受診していたのに対し、2024年度は55%に伸びています。各施設がオプション検査を積極的に提案しており、それに対して受診者も投資意欲を高めていることがわかります。

━━ オプション検査を導入することで、どのくらいの単価アップが期待できるのでしょうか。

堀野 平均単価を見ると、2014年度は2万150円だった単価が、2024年度は2万5201円と約5000円平均単価がアップしています。特にオプション実施率が高い健診施設は、増加率も大きいことがわかっています。

例えば、人間ドックでオプション検査を組み合わせたプランを策定することは、受診者・医療機関双方にメリットがあります。受診者は自身のニーズにあった検査を受けることができ、医療機関はオプションによる単価アップが期待できます。

━━ 続いて「集客の強化」はどのような点が重要になるのでしょうか。

堀野 集客の強化には、マーケティングの強化が必要不可欠です。現状、積極的にマーケティング展開している医療機関は多くないので、早い段階でマーケティングを進めることは優位性につながります。

例えば、WebサイトやSNSを活用してターゲット層を広げるのであれば、健診のメリットや提供しているコース、予約方法などをわかりやすく発信するなどもおすすめです。特にオプション検査を組み合わせたプランの魅力や具体例を交えると、高い効果が見込めます。

━━ 情報発信以外のマーケティング戦略ではどのような施策が考えられますか。

堀野 付加価値サービスの提供が挙げられます。例えば、健康指導や栄養指導、運動指導などのアフターフォローを充実させることで、受診者満足度が向上し、そこから発生した口コミによって新たな集客につなげることが可能です。

また、直接的な施策として割引キャンペーンや特典も有効です。初回限定割引や家族割引、早期予約割引などのキャンペーン施策によって新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の囲い込みもできます。

━━ 「コスト削減」はどのように進めれば良いのでしょうか。

堀野 健診業務は、予約・受付・問診・請求・結果・報告など多岐にわたります。これらを一元管理できる健診システムを導入することが一番コスト削減に繋がります。

健診システムを導入することで書類作成の自動化やペーパーレス化が実現でき、人件費や消耗品費の削減にもつながり、結果としてコスト削減が期待できます。

医療情報システムの現状とクラウド普及の波

━━ システムの話がでましたが、クリニックにおけるクラウド型の医療情報システムの市場規模と動向についても教えてください。

須藤 優(以下、須藤) まず電子カルテを含む医療情報システムの市場規模を見てみると、約3000億円前後と言われています。年間で1%未満と低い水準ではあるものの、少しずつ増加傾向にあります。

また、クラウド型の電子カルテに着目すると、シェアはどんどん広がっており、2026年度の予測では300床未満の中小クリニックで16.8%まで増えると言われています。特に2022年から2023年の間に新規開業したクリニックでは、7割がクラウド型の電子カルテを採用しており、小規模の医療機関においてはクラウド型システムが普及していることがわかります。

アイテック共催セミナー資料_医療情報システムの市場規模と動向

━━ その中でPACSの市場動向はどのようになっているのでしょうか。

須藤 日本国内のPACS市場規模は約600億円前後だといわれています。電子カルテよりもPACSの普及率の方が高いので、この先も規模は横ばいで推移していくでしょう。

ただし、クラウド型PACSの導入施設は年々増えています。少し古いですが、2013年から2022年までの間に10倍近くに伸びており、今後もクラウド型PACSのシェアは増加することが予測できます。

アイテック共催セミナー資料_PACSの市場規模と動向

医療データの管理を変えるクラウド活用の利点

アイテック共催セミナー資料_クラウドPACSのメリット・デメリット

━━ クラウドを活用することのメリットはどのようなことがあるのでしょうか。

須藤 クラウドを使うことで「スケーラビリティ」「コスト削減」「災害対策バックアップ」「柔軟なアクセス権限」などのメリットが挙げられます。

まずは「スケーラビリティ」についてです。ご存知の通り、クラウドは基本的にデータセンターでデータを保存しているため、データ量が増加しても自分でサーバーを増設する必要がありません。特に医療分野においては、電子カルテやPACSなど大量のデータが蓄積されるため、必要な分だけデータ容量を拡張し、効率的に管理できることがメリットとなります。

━━ 2点目のメリット「コスト削減」についても教えてください。

須藤 クラウドは自施設で機器を導入する必要がないため、導入コストを低く抑えることができますし、維持コストも必要な容量に応じて最適化できます。基本的にはインターネット環境があれば使えるものも多く、初期費用面で大きなメリットがあります。

また前述の「スケーラビリティ」にもつながりますが、データ増加に合わせてハードの追加購入の必要もないので、追加の機器導入コストも抑えられます。

━━ 3点目のメリット「災害対策バックアップ」とは何でしょうか。

須藤 昨今の災害増加、あるいはサイバーセキュリティにおけるインシデントは医療業界でも注目されている話題の一つです。クラウドはデータセンターでデータを管理していますが、基本的にガバメントクラウドで採用されているような「GoogleCloud」や「AWS」といった信頼性の高いクラウド基盤が使われていることがほとんどです。

そのため冗長性や堅牢性が担保されており、災害時にも非常にスピーディーに復旧ができます。またセキュリティ面でも自施設で管理するのに比べデータセンターの方が信頼性が高いので、そこもメリットだと言えます。

━━ 4点目のメリット「柔軟なアクセス権限」とはどのようなことですか。

須藤 遠隔地からでも安全にデータにアクセスできるということです。これまではクリニック内でしか扱えなかったデータを、遠隔地からアクセスできるようになるので、病院内外の医師や医療スタッフともスムーズにデータ連携ができます。

健診事業の効率化に貢献するクラウド型PACSの有用性

━━ 続いて、クラウド型PACSのメリットを教えてください。

須藤 まず導入コストです。前述のとおり、オンプレミス型に比べクラウド型はイニシャルコスト、運用コストともに低く抑えられます。特にクリニックや小規模医療施設は、大病院に比べるとデータ保存に必要な容量も少ないので、クラウド型PACSのメリットを享受できます。

また利用開始までの期間が短いのもクラウド型PACSのメリットです。オンプレミス型ですと稼働日から逆算してハードの調達やシステムの構築をするため、数ヶ月の期間が必要ですが、クラウドの場合はパソコンとインターネット環境さえあれば、数日で利用することができます。

━━ 導入を決めたらすぐに使えるのは良いですね。

須藤 保守管理の観点でも、オンプレミスは自分でサーバーを設置・管理しなければならないのに対し、クラウドは基本的にハードの保守管理を意識する必要がありません。小規模施設で人的リソースが確保できない場合には非常に心強いと言えます。

また冗長性・バックアップについても、データセンターで管理するクラウドの方が強いです。

━━ こう聞くとクラウド型の方がメリットが多いように感じます。逆にオンプレミス型の方が優れている点はどういった点があるのでしょうか。

須藤 一方でカスタマイズ性に関してはオンプレミスの方にメリットがあります。クラウドは全ユーザーが同じ環境を使うため、カスタマイズの自由度が低い点に注意が必要です。

また、インターネット環境に依存するクラウドは、通信の安定性に左右されやすい点もややデメリットとして挙げられます。通信する場所によっては速度がでなかったり、レスポンスが悪くなったりすることもあります。ただし、昨今はインターネット環境も進歩しているので、通信面でのオンプレミスとクラウドの差というのは縮まっているといえるでしょう。

双方のメリット・デメリットを総合しても、クラウド型PACSの導入でクリニック内のPACSとして十分に活用できますし、収益性の高い健診事業をサポートすることも可能になると思います。

━━ 健診事業やクラウド活用のメリットについて理解が深まりました!ありがとうございました。


本セミナーを動画でご視聴されたい方は、
以下のアーカイブ配信フォームよりお申込みください

動画視聴のお申込みボタン

クラウド型PACS「LOOKREC」の詳細は
以下のサービス資料をぜひご確認ください

LOOKRECサービス資料ダウンロードボタン
執筆者:エムネス マーケティングチーム
執筆者:エムネス マーケティングチーム
セミナー開催中


人気記事ランキング


タグ一覧