8種のDICOMビューアを使ってきた現役読影医が語る!自分に合ったViewerの選び方
医用画像を見るときに必須となるのがDICOMビューアです。著者はこれまでLOOKRECを中心に、Synapse、PSP、Centrisityなど、8種類以上のDICOMビューアを使用してきました。
DICOMビューアは画像診断に欠かせないツールですが、種類が多く、どれを選べば良いか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか?
今回は、長年様々なビューアを使ってきた私の経験をもとに、自分に合ったビューアの選び方について解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.DICOMビューアとPACSの違い
- 1.1.DICOMビューアとは
- 1.2.PACSとは
- 2.自分に合ったDICOMビューアの選び方
- 2.1.選び方1. 使用する画像の種類
- 2.2.選び方2. 操作性
- 2.3.選び方3. 表示機能
- 2.4.選び方4. ビューアの管理性
- 2.5.選び方5. 価格
- 2.6.選び方6. サポート体制
- 3.オンプレミス型とクラウド型のメリット・デメリット
- 4.現役読影医視点!DICOMビューア選びで絶対に外せないポイント
- 4.1.ポイント1. 操作性
- 4.2.ポイント2. 表示機能
- 4.3.ポイント3. コストパフォーマンス
- 4.4.ポイント4. サポート体制
- 5.今まで筆者が実際に使用したDICOMビューア比較
- 6.まとめ
DICOMビューアとPACSの違い
まず、DICOMビューアの話をする前にPACSの違いについて説明します。
この違いを理解することは、個人の用途で単体利用可能なビューアが必要なのか、病院やクリニックで包括的なPACSシステムが必要なのかを判断するのに役立ちます。
DICOMビューアとは
DICOM (Digital Imaging and Communications in Medicine) とは、医療画像や関連情報の国際標準規格です。画像の形式、保存方法、通信方法などを定義しています。簡単に説明すると、テキスト情報と画像情報が一体となっているようなイメージです。
DICOMビューアは、このDICOM形式の画像を表示するためのソフトウェアです。
CTやMRIなどで撮影された画像を、拡大・縮小、回転、明るさ調整などを行いながら確認できつつ、その画像の性別・年齢・氏名やどういった場所で検査されて、どのような機器で画像が作られたなども確認できます。
PACSとは
一方、PACS(Picture Archiving and Communication System)とは、DICOM画像を保管、管理、配信するためのシステムです。病院内で撮影されたDICOM画像を保管し、必要な時にDICOMビューアで表示できるようにしたり、他のシステムで画像を表示できます。
つまり、DICOMビューアはPACSの一部として機能することが多く、PACSはDICOMビューアを含む、より広範なシステムと言えます。
PACSについては、以下の記事で詳細に解説しているので参考にしてください。
自分に合ったDICOMビューアの選び方
DICOMビューアはそれぞれ機能や操作性が異なりますが、最も大事なのが「使用者のストレスを可能な限り減らすこと」になります。
自分に合ったビューアを選ぶためには、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 使用する画像の種類
- 操作性
- 表示機能
- ビューアの管理
- 価格
- サポート体制
選び方1. 使用する画像の種類
CT、MRI、CR、マンモグラフィなど、扱う画像の種類によって必要な機能が異なります。
例えば、整形外科でCT画像を扱うことが多い場合は骨の3D画像を表示する機能が重要になります。3D画像を表示する機能が必要な場合、対応しているビューアを選ぶ必要があります。
一方で内視鏡画像や眼底画像のようにJpeg形式で出力される機器や、心電図や脳波のMFER形式(Medical waveform Format Encoding Rule)など、DICOM以外の拡張子の取扱いが必要になる場合は対応しているビューアを選定する必要があります。
選び方2. 操作性
毎日使用するものなので、操作性が自分に合っているか、ストレスなく使用できるかを確認しましょう。ショートカットキーのカスタマイズや、マウス操作のしやすさなども重要です。
読影効率、画像閲覧効率を上げるためにはショートカットキーの存在とショートカットキーで対応できるアクションの量も重要です。
画像を拡大したい、反転したい、90度回したいなど、やりたいことが出たときにすぐに反応することでストレスを軽減できます。また、設定のしやすさや困ったときのヘルプの出しやすさも併せて重要になります。
私はLOOKRECの機能開発を検討する際に医師が最も効率的に読影できるよう、シンプルな操作性と豊富なショートカットキーを充実させることに気をつけており、日々の読影業務を効率的に行うことを目指しています。
選び方3. 表示機能
画像の明るさやコントラスト調整、拡大縮小、回転など、基本的な表示機能が充実しているかと、その機能へのアクセスの容易性を確認しましょう。特殊な表示機能が必要な場合、対応しているビューアを選ぶ必要があります。
例えばMPR(Multiplanar Reconstruction)やMIP(Maximum Intensity Projection)などの機能が必要な場合もあります。CTであればThin slice を取り扱うことも少なくありません。
MPRは、軸位、冠状位、矢状位など、異なる平面で画像を表示できる機能で、MIPは、最高輝度値を投影することで3D画像を作成する機能です。これらの機能は複雑な病変の診断に役立ちます。
その他にもslab MIP や VR (Volume Rendaling) など、多角的に画像を取り扱うことで画像の解釈がしやすくなることもあります。
選び方4. ビューアの管理性
実はこれが一番見落としがちで、後から後悔するポイントになりやすいところになります。
どれだけ高機能なビューアであっても、それを立ち上げるまでに時間がかかったり、PCに負荷がかかる状況になってしまうと使い勝手は非常に悪くなります。また、ビューアのメンテナンスに高度な技術が必要であったり、高価なサーバーが必要だと検討時には目に見えない作業や費用がかかります。
普段の診断をスムーズに行いたいのか、放射線科医以外の医師が簡単に使えるようにしたいのか、管理する医師あるいは技術者が存在するのか、など、どういったシチュエーションが想定できるかについてワークフローを見直す良いきっかけになります。
選び方5. 価格
無料のものから有料のものまで、様々なDICOMビューアがあります。予算に合わせて、必要な機能が揃っているビューアを選びましょう。無料のものでもやりたいことができるなら十分対応可能です。
一般的に、無料のビューアは医療には使用できないものが多く、日本で医療を行う目的でビューアを導入する場合は医療機器認証を持っているかも重要になります。
選び方6. サポート体制
操作方法がわからない場合や、トラブルが発生した場合に、サポート体制が充実しているかを確認しましょう。電話やメールで問い合わせができるか、マニュアルが充実しているかなどが重要です。
オンプレミス型とクラウド型のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
|
---|---|---|
オンプレミス型 |
通信速度が出やすい |
環境構築とメンテナンス費用が高価になりがち |
クラウド型 |
|
インターネット回線の速度に左右されやすい |
オンプレミス型とは、会社の敷地内にシステムを構築して、自分たちで管理・運用する形態のことです。対してクラウド型とは、インターネット上にデータを保管する形態のことです。
オンプレミス型のメリットとしては、イントラネットであるため通信速度が出やすく、大きなファイルであっても運用がスムーズになりやすい点です。デメリットは、環境構築とメンテナンス費用が非常に高価になりがちな点です。
一方、クラウド型のメリットは、メンテナンスを業者任せにできることと、環境構築とメンテナンス費用が抑える事ができる点です。クラウドシステムでは、クラウド上で処理した結果をダウンロードするため、コンピュータに対して要求されるマシンスペックが抑えられることから、コストメリットが出しやすい点が特徴です。
クラウド型の問題点・デメリットは、インターネット回線の速度に左右されやすく、万が一通信が止まってしまったときに作業環境が開けないことがある点です。これらを解消するためには、信頼できるクラウドサーバーを利用し、セキュリティが十分に担保できている業者を選ぶことが重要です。
現役読影医視点!DICOMビューア選びで絶対に外せないポイント
DICOMビューアを選ぶ前に、読影医としての視点から、おすすめポイントをいくつか紹介します。
- 操作性
- 表示機能
- コストパフォーマンス
- サポート体制
ポイント1. 操作性
直感的に操作できるものがおすすめです。キーボードショートカットが充実しているものや、マウス操作で簡単に画像を調整できるものが良いでしょう。
とあるシステムを使用していた頃は、豊富な機能に魅力を感じていましたが、操作に慣れるまで時間がかかり、当初は戸惑うこともありました。
また、あるシステムでは過去画像比較するのに何回もクリックしたり調整したりと、やりたいことに至るまでの工数が多く継続利用に非常に大きなストレスを感じたものもあります。使い続けられるシステムに出会うために、使っている人からの評判を聞くことも大事です。
ポイント2. 表示機能
画像の拡大・縮小、回転、明るさ調整など、基本的な機能が充実していることはもちろん、MPRやMIPなどの3D画像表示機能があると便利です。特に、脳動脈瘤の診断では、MIPを用いて血管を立体的に表示することで、より正確な診断を行うことができます。
クラウドシステム等の場合は、それがどのような表示方法かも重要になります。一つ一つの画像をページングする度にダウンロードをかけるシステムはグルーピングしたり拡大したりした状態でページングすると回線に負担がかかり、コマ落ちすることがあり意図せず画像が見落とされるリスクがあるので、どのような形式を採用しているかも大事になります。
ポイント3. コストパフォーマンス
高価なビューアが必ずしも良いとは限りませんし、無料が使いづらい訳でもありません。必要な機能が揃っていて、かつ価格が手頃なものを選びましょう。
DICOMビューアはプロフェッショナルツールですので決して安くないですし、ツールの乗り換えを行いたくても大変な作業になることが多いです。最初が肝心ですので、自分が納得でき、かつ使用者である医師と、導入に対してコストを検討する事務との話し合いが大事になります。
ポイント4. サポート体制
操作方法がわからない場合や、トラブルが発生した場合に備え、サポート体制が充実していることも重要です。
今まで筆者が実際に使用したDICOMビューア比較
DICOMビューアを選ぶ際の参考として、これまで私が使用した8種類のDICOMビューアを、以下に簡単に紹介します。(※使用当時の個人の見解です)
ビューア名 |
メーカー |
特徴 |
長所 |
短所 |
---|---|---|---|---|
LOOKREC |
エムネス |
フルクラウド |
|
オンプレミスと比較しできないこともある |
Synapse |
富士フイルム |
オンプレミス クラウド |
|
|
EV insite |
PSP |
オンプレミス クラウド |
|
導入コストと保守料が高い |
Centrisity |
GEヘルスケア |
オンプレミス |
比較的多彩な機能 |
|
OsiriX |
OsiriX foundation |
オープンソース オンプレミス |
無料 |
|
まとめ
DICOMビューアは、医療画像の診断に欠かせないツールです。自分に合ったビューアを選ぶことで、診断の効率化や精度の向上につながります。
今回紹介したポイントを参考に、機能性、操作性、コストのバランスを考慮し、ぜひ自分に合ったDICOMビューアを見つけてください。可能であれば、いくつかのビューアを実際に試用してみることをおすすめします。導入に困った際にはソリューションとして提案できる所に相談すると良いでしょう。
大事なのはDICOMビューアを導入することでは無く、その先にある業務を効率化し、より良い医療を効率的に提供する環境です。
また、弊社のクラウド型PACS "LOOKREC" は、専用機器が不要、導入費・更新作業や費用が不要と手軽に導入が可能です。
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クラウド型PACSやビューアの利用を検討されている医療機関の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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