クリニック開業を完全解説!手順・費用相場やコスト削減ノウハウのポイントとは

【サムネイル】クリニック開業までの7つの手順!必要設備・費用を抑える裏技も合わせて紹介


クリニックの開業を成功させるには、明確な計画と適切な事前準備が欠かせません。

本記事では、クリニックの開業までの具体的な流れや必要な期間、内装・設備・人件費などの費用相場を分かりやすく解説します。さらに、コストを抑えるための実践的なポイントや、開業時に見落としがちな手続きの注意点も詳しく解説。これから開業を志す医師の方は、ぜひ参考にしてください。


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監修者情報:島村泰輝(放射線診断専門医)

目次[非表示]

  1. 1.クリニック開業までの流れ
    1. 1.1.ステップ1. 経営理念・診療方針を決める
    2. 1.2.ステップ2. クリニック開業地の選定・物件購入・内装工事
    3. 1.3.ステップ3. 資金調達
    4. 1.4.ステップ4. 設備・医療機器の選定
    5. 1.5.ステップ5. スタッフの募集
    6. 1.6.ステップ6. PR(ホームページ開設、チラシ、ポスター制作など)
    7. 1.7.ステップ7. 開業の手続きを進める
  2. 2.クリニック開業に必要な設備
    1. 2.1.医療機器・医療器具
    2. 2.2.什器、電化製品
    3. 2.3.ホームページやチラシなどのPRグッズ
    4. 2.4.事務用品、医療衛生材料などの消耗品
  3. 3.クリニック開業の費用相場は大体いくらになる?
  4. 4.費用を抑えるポイントは「クラウドサービスの選定」
  5. 5.まとめ

クリニック開業までの流れ

クリニック開業までのステップ

実際にクリニックを開業するまでの工程は多岐にわたります。複数のタスクを同時並行するケースもあるため、開業までの流れや手順は事前に把握しておくことが重要です。ここからは、クリニック開業の手順をステップにわけて解説します。

ステップ1. 経営理念・診療方針を決める

クリニック開業へ向けた最初のステップは、経営理念や診療内容を決めることです。開業へ向けた重要な指針になるため、“どのような患者さんに何を提供するか”を明確にしてください。

経営理念は経営の土台となる部分なので、時間をかけて決める必要があります。経営理念・診療方針がなかなか決まらない場合は、“なぜ開業するのか”という動機の部分を掘り下げていくことをおすすめします。

地域医療への貢献や身に付けた技術を活かしたいなど、クリニック開業を決意した自身の動機を可視化したうえで、理念と方針を決定していきます。

ステップ2. クリニック開業地の選定・物件購入・内装工事

続いては、クリニックを開業するエリアと物件を選定します。
最適なエリアと物件を選定するためには、事前調査が重要です。そのためには、診療圏調査を実施したうえで、絞り込みを行いましょう。診療圏調査では、以下の点をチェックします。

  • 人口
  • 立地
  • エリアの発展性
  • 競合医院の数

エリアと物件の選定は、患者さんの集客に大きく影響を及ぼすため、慎重な準備を重ねたうえで検討を重ねるようにしてください。
クリニックの開業形態もテナント物件、戸建て物件、居ぬき物件、建て貸し物件など、さまざまあります。目に付きやすい・通院しやすい・人が集まりやすいなどを優先事項にしながら、適切なエリアと物件を選定することが重要です。

また、開業地・物件が決まったら患者さんがクリニックをどのように利用されるかや診療内容を意識しながら内装工事を具体化していきましょう。内装工事は施工業者に発注して進めていきますが、着工時や途中で中間金を請求する業者もありますので、事前にまとまった資金は用意しておくとよいでしょう。

ステップ3. 資金調達

開業資金が自己資金を超える場合は、金利・返済期間・団信加入などの条件面を精査しながら、金融機関から資金を調達する必要があります。

クリニック開業地の契約にかかる初期費用、医療機器の導入費用、スタッフ採用にかかる費用、ランニングコストを考慮しながら、余裕を持った資金調達を心がけることが重要です。

また、政府系金融機関、地方銀行、メガバンクなどから融資を受けるためには、融資担当者を納得させられる事業計画書の作成が不可欠です。

事業計画書の明確な書き方は決まっていませんが、支出内訳・収支の見積もり・経営計画はマストで記載しておくべき内容となります。

金融機関から信頼を得て融資を受けやすくするためにも、税理士や開業コンサルタントへの依頼も検討しながら、現実的に実現可能な事業計画書を作成してください。

クリニック開業における資金調達に関しては、以下のセミナーレポートも参考になさってください。

  『創業融資戦略』とは?税理士有資格者が教えるクリニック開業にむけた資金調達のコツ クリニックの開業や成長にとって重要なのが資金戦略です。単に「資金ショートを起こさなければ良い」と思っていませんか?実は成長期にも資金ショートが発生するケースは少なくありません。それを回避するために必要なのが戦略的な資金調達です。株式会社SoLabo 代表取締役で税理士有資格者の田原広一氏に、資金調達のコツについてお話を伺いました。 株式会社エムネス

ステップ4. 設備・医療機器の選定

続いては、開業日までにクリニックで使用する医療機器を選定します。

クリニックを運営する上で不可欠な医療機器は、さまざまな企業から販売されているため、操作性や導入費用、サポートなどを比較しながら選定していきます。

高機能な医療機器は導入費用やランニングコストも高くなる傾向にあるため、経営計画と照らし合わせたうえで、採算があう機器を選定する必要があります。

医療機器導入の注意点は以下の記事に詳しくまとめていますので、こちらも参考にしてください。

  現役開業医が教える!開業前に聞いておきたかった医療機器導入の注意点5選 医師にとってクリニック開業は人生を大きく左右する一大イベントです。開業においては様々な判断を次から次へとしていかなければなりませんが、その中でも医療機器の選定は開業後の診療がうまくいくかにとても影響のある重要事項です。今回は医療機器の選定時の5つの注意点について、内科クリニックを開業・経営した私の開業医としての体験も参考にしながらご説明いたします。これから開業を志す先生方の参考になれば幸いです。 株式会社エムネス

ステップ5. スタッフの募集

受付業務や診療のサポートが必要であれば、開業前にスタッフを採用して研修を行っておく必要があります。

ハローワークや求人サイトで必要な人数を揃えるのが一般的ですが、スキルの高い経験者を募集するのであれば、専門業務に特化したサイトを利用してください。

最適な人数のスタッフを採用するには、時間あたり何人のスタッフがいれば業務を回せるかを事前に検討してみましょう。

クリニック開業における面接や採用に関しては、以下のセミナーレポートも参考になさってください。

  社労士が教える!面接や採用で失敗しないための必須法律実務【開業支援セミナーレポート】 クリニックや病院の開業において重要なことのひとつが、オープニングスタッフの採用です。しかしスタッフの採用はミスマッチが起こりやすく、クリニック開業における最初の大きなハードルだと言えます。 そこで、ミスマッチが少しでも起こりにくい手法で採用を効率的に行うためのポイントについて、社会保険労務士法人ベスト・パートナーズの米田憲司氏にお話を伺いました。 株式会社エムネス

ステップ6. PR(ホームページ開設、チラシ、ポスター制作など)

クリニックを探す際にはWeb検索をする方がほとんどのため、まずは1ページのみの簡易的なものでもいいのでホームページの作成は必須で対応しましょう。

地域に根差したクリニックを考えているのであれば、どのような医師やクリニックなのかがわかるようなチラシやポスターで前もって告知をし、安心して通院いただけるようにしましょう。

Web集患として効果的なマーケティング施策であるSEO・MEO対策については、以下のセミナーレポートで解説しています。ぜひ参考になさってください。

  クリニック集患の効果的なマーケティング施策とは?開業支援のプロがSEO・MEOを解説【セミナーレポート】 インターネット時代の昨今、Web集客の成否がクリニック開業後のスタートダッシュに大きな差を生みます。単にホームページを用意するだけでは十分とは言えません。Web集客にはさまざまなテクニックが必要です。 今回は株式会社SoLabo 代表取締役で税理士有資格者の田原広一氏に、Web集客のポイントとなるSEO・MEO対策についてお話を伺いました。 株式会社エムネス

ステップ7. 開業の手続きを進める

最後は、クリニックを開業するための手続きを進めるステップです。
医院やクリニックは保険医療機関に指定されているため、申請をしなければ開業することはできません。クリニック開業に必要な手続きは以下の通りです。

  • 診療所開業届
  • 指定医療機関コードの取得
  • 保険医療機関指定申請書
  • 医師会への入会届

開業届はもちろんですが、指定医療機関コードを取得できなければ診療行為が許可されません。また、保険医療機関に指定されなければ保険診療が適用されないため注意が必要です。

他にも、開業時にスタッフを雇用する場合は、給与支払事務所の開設届、健康保険・厚生年金保険新規適用届、雇用保険適用事業所設置届を労務関係各所に提出する必要があります。

医師会への入会は必須ではありませんが、入会することで健診や予防接種の業務委託が増えるため、クリニックの知名度を上げるためにも入会届を出しておくことをおすすめします。



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クリニック開業に必要な設備

聴診器と注射器のイメージ

厳密にいうと、クリニック開業に必要な設備は科目によって異なります。例えば、消化器内科では内視鏡、皮膚科ではレーザー治療機器が必要になるでしょう。

この章では、どの科目であっても必要になるであろう設備についてご紹介します。

  • 医療機器・医療器具
  • 什器、電化製品
  • ホームページやチラシなどのPRグッズ
  • 事務用品、医療衛生材料などの消耗品

医療機器・医療器具

医療機器・医療器具は、診療するにあたり必須となります。体温計やメスといった小型器具、血圧計や体重計などの中型機器、CTやMRIなどの大型機器などがありますが、科目によって必要な医療機器は大きく異なります。

しかし、どの科目であっても必ず用意したほうがいいのは電子カルテです。内閣官房によって立ち上げられた「医療DX推進本部」によって、2030年までに概ねすべての医療機関において、電子カルテの導入を目指すことが公表されました。

  電子カルテとは?導入によるメリット・デメリットを徹底解説! 多くの病院で導入されている電子カルテですが、「必要ない」「入力が面倒くさくて時間がかかる」「コストがかかる」などの声があるのも事実。開業を検討している先生方は電子カルテの導入、機種選定に悩むことでしょう。   2015年に政府は「日本再興戦略 改訂2015」内で「2020年度までに400床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げる」と発表しました1)。目標達成に至っていない状況の中、奇しくもコロナ禍で医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目され、強力に推進されることとなりました。   この記事では、電子カルテについて基本的な事項からメリット・デメリットについておさらいしていきます。そしてなぜ今電子カルテが必要とされているのか、特にクラウド型電子カルテが持つ意味について詳しく解説します。 株式会社エムネス


開業時に医療機器を揃える際は、データをネットワーク上に保管する「クラウド型」と院内サーバーでデータ保管をされる「オンプレミス型」とがあります。医療機器ごとにタイプを統一し、連携できるかなども確認しておくといいでしょう。

また、医療機器はリースをするという選択肢もあります。しかし、リース料は利息がかなり取られる傾向にあることを覚えておきましょう。高額医療機器などは、医療連携をむすび、アウトソーシングすることはできないかや、中古機器の購入なども検討してみてもいいでしょう。

什器、電化製品

診断時に医師が使用するデスクや椅子、待合室で患者さんが待っている時に使うソファ、マガジンラックやテレビ、空気清浄機、スタッフルームで使用する電子レンジや冷蔵庫なども用意する必要があります。

なお、一般家電で購入しても問題はないものの、院内ネットワークを構築する際は業務用の危機を使うことがおすすめします。業務用の機器は、安定性や性能が家庭用よりも格段に高くなります。最近は医療機器もネットワークを介すものが多いため、クリニック経営において安定したネット環境の構築は、大切なポイントになります。

その他のネットワーク構築に関するポイントは以下の記事を参考にしてください。

  クリニックの院内ネットワーク構築や業者選定のポイントを医療系ネットワークエンジニアが徹底解説!【セミナーレポート】 電子カルテや医療機器がインターネット接続しているのが当たり前になりつつある医療業界。そこで重要になるのが院内ネットワークの構築と整備です。問題意識を持ってはいるものの、具体的に何をすればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。 今回は院内ネットワーク構築におけるクリニックや業者の悩みと解決方法、具体的なネットワーク構築のコツなどについて、株式会社テックデザインの河野哲治氏に話を聞きました。 株式会社エムネス

ホームページやチラシなどのPRグッズ

集客ツールとしても活用できるホームページは、不可欠です。ホームページの制作は、SEOやMEO対策なども考慮して作成してくれる制作会社に依頼すると集客のスタートダッシュを切りやすくていいでしょう。

また、地域に根ざしたクリニックの場合、ポスティングするためのチラシやポスターなどの制作も開院前に準備しておきましょう。

事務用品、医療衛生材料などの消耗品

文房具、コピー用紙、クリアファイルなどの事務用品、包帯やガーゼ、トイレットペーパーなどの消耗品、スリッパや傘立てなどの備品、スタッフが着用するユニフォームなども用意しましょう。

クリニック開業の費用相場は大体いくらになる?

握手する医師


一般的なクリニック開業でかかる費用は以下のとおりです。

  • 不動産取得費用(仲介金、敷金、礼金、前家賃)
  • 内装工事費用
  • 医療機器の導入費用
  • 運転資金(家賃や人件費などの固定費の支払い)
  • 医師会への入会金(約200万円)
  • 広告宣伝費用
  • 消耗品の購入費用

これらをすべて総合すると、クリニック開業にかかる費用は5,000万円程が相場となります。

なかでも、クリニック開業における費用で最も大きな割合を占めるのは、「物件の取得費用」と「医療機器の導入費用」の2点です。

しかし、前述の通り開業地の立地や面積、医療機器をどれにするか、医師会へ入会するか否か、広告宣伝の方法などで費用は大きく変わります。

物件の取得費用と医療機器の導入で多額の費用がかかるのはもちろんですが、クリニックの経営が安定するまでの運転資金も用意しておく必要があります

医療報酬の支払いは概ね2~3ヶ月後になりますが、それまでも人件費や家賃は発生するため、少なくとも3ヶ月間位は経営できる資金を確保しておくことが重要です。

費用を抑えるポイントは「クラウドサービスの選定」

コストを抑えるポイント

医療機器と一口に言っても種類やグレードも様々ありますが、クリニック開業の場合はクラウド型の医療機器を導入することをおすすめします。

オンプレミス型の製品は、高機能ではあるものの導入コストが高額になりがちです。一方クラウド型は専用設備が不要で導入コストや更新費を抑えられる可能性が高く、ランニングコストを抑えられます。来院数に合わせてのちのち容量を拡張することが可能なため、来患数が読みずらいクリニック開業にクラウド型の製品は最適と言えます。

また、医療機器をクラウド製品で揃えることで、連携がよりスムーズにできることも。例えば、クラウド型電子カルテと、クラウドPACSを連携させることで、患者カルテに検査画像を紐づけることができ、参照しやすくなるなどのメリットもあります。

医療機器をクラウド型で揃えることのメリットについて解説した、以下のセミナーレポートもぜひ参考にしてください。


  電子カルテとPACSの連携でクリニック業務の負担を軽減!クラウド製品のメリットとは【セミナーレポート】 医療分野におけるDXとは、クラウドなどの共通基盤を介して一元的に情報を管理し、データの共通化や標準化を図ることで、より良質な医療の提供を目指すことを指します。政府は医療DXの実現のために注力していますが、他産業と比較して圧倒的にDX化が遅れているのが現状です。 今回のウェビナーでは、エムスリーソリューションズ株式会社 営業本部 部長 山下拓郎氏と、株式会社エムネス ホスピタル&クリニック営業部 尾中俊介氏の対談形式にて、営業現場でリアルに感じる医療DXの浸透状況や、クラウド型システムを取り巻く動向を中心にお話を伺いました。 クラウド型の医療機器の導入を考えていらっしゃる方や、クリニックの開業を検討されている方はぜひ参考になさってください。 株式会社エムネス

まとめ

この記事では、クリニック開業について以下の内容で解説しました。

  • クリニック開業の手順
  • クリニック開業に必要な設備
  • クリニック開業の費用相場

クリニックを開業する手順、設備、費用は診療内容やエリアにより大きく異なります。しかし、物件取得や設備投資に多額の経費がかかる点は同じです。特に設備に関しては、初期費用を抑え、費用対効果の高い製品を選び、開業後の資金に回しましょう。



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当社のDICOMデータプラットフォーム「LOOKREC」は、専用機器が不要のクラウド型PACSとしてご利用いただけます。導入費は0円〜、更新費が不要でランニングコストを抑えられるのもクリニック開業を目指す医師の方にうれしいポイントです。

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記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
記事監修:島村 泰輝(放射線診断専門医)
2012年 名古屋市立大学医学部 卒業。同大学病院や市中病院で医師として勤務したのち、2019年にエムネスにジョイン。メディカルプロフェッショナルサービス本部副本部長を経て、2025年1月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。放射線診断専門医、医学博士。
セミナー開催中


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