【サムネイル】電子カルテとは?導入によるメリット・デメリットを徹底解説!

電子カルテとは?導入メリット・デメリット、種類、選び方、クラウド型の特徴を解説

電子カルテとは、診療内容、処方、検査結果、画像情報などの医療情報を電子的に記録・管理・共有する医療情報システムです。紙カルテに比べて情報の検索や共有がしやすく、レセプトコンピューター、検査システム、PACSなどと連携することで、診療業務の効率化や医療安全の向上に役立ちます。

電子カルテには、院内サーバーで運用するオンプレミス型と、クラウド上でデータを管理するクラウド型があります。近年は医療DXの推進やオンライン診療、地域医療連携の重要性が高まる中で、クラウド型電子カルテや他システムとの連携性にも注目が集まっています。

一方で、電子カルテの導入には、初期費用・運用コスト、操作習得、既存システムとの連携、停電・災害時の対応、セキュリティ対策などの課題もあります。導入後に後悔しないためには、自院の診療体制や運用フローに合ったシステムを選ぶことが重要です。

本記事では、電子カルテの基本的な役割、紙カルテとの違い、導入メリット・デメリット、オンプレミス型とクラウド型の違い、電子カルテを選ぶ際のポイント、PACSなど周辺システムとの連携までわかりやすく解説します。

この記事でわかること

電子カルテと紙カルテの違い、導入によって変わる業務のポイント

電子カルテのメリット・デメリットと、導入前に確認すべき注意点

オンプレミス型・クラウド型の違いと、自院に合う電子カルテの選び方

レセコン・検査システム・PACSなど、周辺システムとの連携を確認する際のポイント

電子カルテやクラウド型PACSの動向、使用感について解説している
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株式会社エムネス メディカルソリューション本部長 執行役員 放射線診断専門医 島村泰輝

この記事の監修者
株式会社エムネス
メディカルソリューション本部長 執行役員

放射線診断専門医
島村 泰輝

2012年に名古屋市立大学医学部を卒業。同大学大学院医学研究科を修了し、医学博士を取得。放射線診断専門医。名古屋市立大学病院および地域の基幹病院での勤務を経て、2019年に株式会社エムネスへ入職。遠隔画像診断に従事する傍ら、医師視点を活かしたプロダクト開発・設計にも携わる。2025年1月より執行役員 メディカルソリューション本部長に就任。医学部生を中心とした学生団体「MNiST」の監修も務める。

株式会社エムネス-ホスピタル&クリニック営業部 尾中-俊介.png

この記事の監修者
株式会社エムネス 
営業ビジネスディベロップメント本部

ホスピタル&クリニック営業部
尾中 俊介

2017〜2023年までクリニック向け自動精算機・予約システムなど医療機関の業務効率化ツールの販売・導入に従事。2024年3月、株式会社エムネスに入社し、クリニック向けクラウドPACSを世の中に広める活動に努める。

目次[非表示]

  1. 1.電子カルテとは?紙カルテとの違い
    1. 1.1.電子カルテと紙カルテの違い
  2. 2.電子カルテの主な役割・電子保存の3原則
    1. 2.1.役割1. 診療内容の記録
    2. 2.2.役割2. レセプト業務との連携
    3. 2.3.役割3. 院内の診療情報共有
    4. 2.4.役割4. 施設間の診療情報共有
  3. 3.電子カルテの普及率
  4. 4.電子カルテを導入するメリット
    1. 4.1.メリット1. 情報共有がしやすい
    2. 4.2.メリット2. 診療時間・待ち時間の短縮につながる
    3. 4.3.メリット3. 緊急時の迅速な対応に役立つ
    4. 4.4.メリット4. 紙カルテの保管スペースを削減できる
    5. 4.5.メリット5. 書き間違い・読み違いのミスを防ぎやすい
    6. 4.6.メリット6. 記録・指示を効率化できる
  5. 5.電子カルテを導入するデメリット・注意点
    1. 5.1.デメリット1. 操作に慣れるまで時間がかかる
    2. 5.2.デメリット2. 導入費用・運用コストがかかる
    3. 5.3.デメリット3. 紙カルテからの移行期間が必要
    4. 5.4.デメリット4. 既存システムとの連携確認が必要
    5. 5.5.デメリット5. 停電・災害・システム障害への備えが必要
  6. 6.電子カルテの種類|オンプレミス型とクラウド型の違い
    1. 6.1.オンプレミス型電子カルテ
    2. 6.2.クラウド型電子カルテ
  7. 7.電子カルテの選び方|導入前に確認すべき比較ポイント
    1. 7.1.選び方のポイント1. 自施設の診療科・運用フローに合っているか
    2. 7.2.選び方のポイント2. レセコン・検査システム・PACSなどの他システムとの連携性
    3. 7.3.選び方のポイント3. 操作性とサポート体制は十分か
    4. 7.4.選び方のポイント4. 導入費用だけでなく運用コストまで確認する
    5. 7.5.選び方のポイント5. セキュリティ・障害時対応・バックアップ体制を確認する
  8. 8.電子カルテ導入の流れ|検討から運用開始までのステップ
    1. 8.1.ステップ1. 導入目的と現状の課題を整理する
    2. 8.2.ステップ2. 必要な機能と連携システムを洗い出す
    3. 8.3.ステップ3. 複数の電子カルテを比較し、デモで操作性を確認する
    4. 8.4.ステップ4. 導入準備とスタッフ研修を行う
    5. 8.5.ステップ5. 運用開始後の見直し
  9. 9.クラウド型電子カルテへの関心が高まっている理由
    1. 9.1.医療DX推進と電子カルテの標準化
    2. 9.2.オンライン診療・地域医療連携で情報共有の重要性が高まっている
    3. 9.3.PACSなど周辺システムとの連携価値が高まっている
  10. 10.電子カルテと連携できるクラウド型PACS「LOOKREC」の導入事例
  11. 11.まとめ

電子カルテとは?紙カルテとの違い

電子カルテとは、診療内容・処方情報・検査結果などの医療情報を電子的に記録し、医療機関内で管理・共有する医療情報システムです。クラウド型や他システムとの連携機能を活用することで、院外の医療機関との情報共有に活用できる場合もあります。

紙カルテと比べて、過去の診療情報を検索しやすく、複数の端末から必要な情報を確認しやすい点が特徴です。また、レセプトコンピューターや検査システム、医療画像管理システム(PACS)などと連携することで、診療記録、検査結果、画像データなどを一元的に確認しやすくなります。

電子カルテと紙カルテの違い

電子カルテと紙カルテの大きな違いは、診療情報を紙で管理するか、電子データとして管理するかにあります。

紙カルテは、手書きで診療内容を記録し、紙媒体として保管する方法です。一方、電子カルテは、診療内容や処方、検査結果などをPCやタブレットなどで入力し、自院サーバーやクラウド環境に保存・管理する仕組みです。

電子カルテと紙カルテの主な違いを比較すると、以下の通りです。

項目

紙カルテ

電子カルテ

記録方法

手書きで記録する

PC・タブレットなどで入力する

保存方法

紙媒体で保管する

自院サーバーまたはクラウド環境に保存する

検索性

必要な情報を探すのに時間がかかりやすい

患者情報や過去の診療記録を検索しやすい

情報共有

同時閲覧や複数職種での共有が難しい

院内の複数端末・複数職種で共有しやすい

院外連携

紙やFAX、CD-ROMなどを介した共有になりやすい

システム連携やクラウド機能により院外連携に活用できる場合がある

保管スペース

紙カルテの保管場所が必要になる

物理的な保管スペースを削減しやすい

注意点

紛失・劣化・判読ミスのリスクがある

導入費用・操作習得・セキュリティ対策・障害時対応が必要になる


電子カルテは、紙カルテと比べて検索性や共有性に優れており、レセプトコンピューターや検査システム、PACSなどと連携することで、診療記録、処方内容、検査結果、画像データなどを確認しやすくなります。

一方で、導入費用や操作習得、既存システムとの連携、停電・障害時の対応、セキュリティ対策などを事前に検討しておく必要があります。紙カルテは導入しやすい反面、検索性や保管面に課題があり、電子カルテは効率性に優れる一方で、安定運用のための体制整備が求められます。

電子カルテの主な役割・電子保存の3原則

厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版」にて、電子カルテを含む医療情報システムの安全管理として以下3つの基準を満たすように求めています。

見読性

必要に応じ電磁的に記録された事項を出力することにより、直ちに明瞭かつ整然とした形式で使用に係る電子計算機その他の機器に表示し、及び書面を作成できるようにすること

真正性

電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中における当該事項の改変又は 消去の事実の有無及びその内容を確認することができる措置を講じ、かつ、当該電磁的記 録の作成に係る責任の所在を明らかにしていること

保存性

電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することができる措置を講じていること

これらの基準を満たしていることは前提とし、電子カルテが果たす役割は主に以下の4つが挙げられます。

  1. 診療内容の記録
  2. レセプト業務との連携
  3. 院内の診療情報共有
  4. 施設間の診療情報共有

役割1. 診療内容の記録

電子カルテは紙カルテと同じように、診療内容を記録する役割を果たします。電子データの内容はすぐに呼び出し、後から参照できます。

役割2. レセプト業務との連携

医療機関は主に電子レセプト(診療報酬明細書)を各都道府県の健康保険などに提出することで、診療報酬を受け取ります。紙カルテの場合、記載された診療内容をレセプト作成用のコンピューターへ入力しますが、電子カルテでは記録すると同時にレセプト業務に連携しやすくなるため、請求業務の効率化にも役立ちます。

役割3. 院内の診療情報共有

忙しい日常業務の中、分厚い紙カルテを参照する時間がとれないことがあります。電子カルテであればスタッフは目の前の患者さんがどのような病状なのかすぐに把握できるので、迅速な情報共有が可能になります。

役割4. 施設間の診療情報共有

超高齢化社会となった日本では、地域ごとで医療・介護・生活支援を一体として提供する地域包括ケアシステムを構築しています。システム構築に欠かせないのが、病院-クリニック、医療機関-介護施設・介護保険など施設間での情報共有です。情報共有の基盤として、電子カルテは紙カルテと比べて、情報を迅速に共有しやすい点が特徴です。また、地域医療連携を進めるうえでも、電子的な診療情報の管理は重要です。

電子カルテの普及率

医療情報システム(電子カルテ・オーダリングシステム)の普及状況の推移

様々な分野でデジタル化が進む中、1990年代後半以降、電子カルテの導入が徐々に進みました。

その後急速な普及が期待されていた電子カルテですが、コストや技術的な問題などがあり、普及は思ったように進んでいません。厚生労働省が公表したデータによると電子カルテの普及率は令和5年時点で一般病院で65.6%、一般診療所で55.0%となり、過半数を超える導入率となっています。

電子カルテシステムの普及状況の推移

年度
一般病院
一般診療所
平成23年
21.9%
21.2%
平成26年
34.2%
35.0%
平成29年
46.7%
37.0%
令和2年
57.2%
49.9%

令和5年

65.6%

55.0%

厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移

電子カルテを導入するメリット

電子カルテ導入のメリットは、主に以下の通りです。

  1. 情報共有がしやすい
  2. 診療時間・待ち時間の短縮につながる
  3. 緊急時の迅速な対応に役立つ
  4. 紙カルテの保管スペースを削減できる
  5. 書き間違い・読み違いのミスを防ぎやすい
  6. 記録・指示を効率化できる

メリット1. 情報共有がしやすい

電子カルテではアクセスのしやすさ、判読しやすい文字情報といった理由から情報共有がしやすいというメリットがあります。特に「クラウド型」であれば、院内だけでなく院外の施設と連携をとりやすくなります

メリット2. 診療時間・待ち時間の短縮につながる

電子カルテでは、患者さんのIDを入力すればすぐに情報を呼び出すことができます。ID順に並べられた紙カルテを探しに行くことなく診療の準備ができるため、患者さんを待たせる時間を減らすことができます

メリット3. 緊急時の迅速な対応に役立つ

万が一患者さんが急変した場合、紙カルテを探している時間はありません。電子カルテであればすぐに患者さんの病状を把握することができます。

メリット4. 紙カルテの保管スペースを削減できる

クリニックでも診療を長く続けていると患者さんの数は相当なものになり、紙カルテの保管スペースが必要です。電子カルテであればPCやモニタ、サーバーのスペースが確保できれば十分です。

メリット5. 書き間違い・読み違いのミスを防ぎやすい

医療スタッフはみな人間ですから、書き間違いや読み間違いをする可能性があります。読みづらい手書き文字が原因で確認に時間を要する場面も少なくありません。判読しにくい手書き文字が元で、医療事故が起きた事例もありますが、そのようなミスを防ぐことができます。

メリット6. 記録・指示を効率化できる

ルーチンで行う検査や点滴の指示、処方のdo指示、紹介状に記載する挨拶の文言など、繰り返しカルテに記載する内容は少なくありません。電子カルテではテンプレートやクリニカルパスの利用により、効率よく記録・指示を行うことができます

電子カルテを導入するデメリット・注意点

電子カルテのデメリットとしては、以下の通りです。

  1. 操作に慣れるまで時間がかかる
  2. 導入費用・運用コストがかかる
  3. 紙カルテからの移行期間が必要
  4. 既存システムとの連携確認が必要
  5. 停電・災害・システム障害への備えが必要

デメリット1. 操作に慣れるまで時間がかかる

最近では直感的に操作できる電子カルテが多く、先生方が入力操作を苦にすることは減ってきています。それでも実務を進めていくとさまざまな問題に直面するもの。機種選定の際にはサポートが充実しているものを選ぶのが良いかもしれません

デメリット2. 導入費用・運用コストがかかる

電子カルテの導入費用はシステムにより様々で、無料で開始できるケースもあれば1000万円を超えることもあります。一般的には300-500万円程度であることが多いようです。継続的なメンテナンスが必要となるため、運用にもコストがかかります。

デメリット3. 紙カルテからの移行期間が必要

これまで紙カルテを運用していた施設では、電子カルテにする場合移行期間が必要です。継続的にかかっている患者さんは、以前の紙カルテを参照しながら電子カルテに記録していくという作業が必要になります。

デメリット4. 既存システムとの連携確認が必要

すでにオーダリングシステムやレセプトコンピューターを導入している場合、新たに採用する電子カルテと連携がとれるのか確認が必要です。相性が悪い場合、全てを更新しなければならないことがあります。

デメリット5. 停電・災害・システム障害への備えが必要

停電してしまうと電子カルテを起動できず、内容を確認できなくなります。蓄積された情報が消失してしまう可能性もあります。ただし紙カルテでも物理的な破損、消失のリスクはあります。

電子カルテの種類|オンプレミス型とクラウド型の違い

電子カルテには、主に「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。

オンプレミス型は、院内にサーバーを設置して電子カルテを運用する方法です。一方、クラウド型は、院内に専用サーバーを設置せず、インターネットを通じてクラウド上のシステムを利用する方法です。

オンプレミス型とクラウド型にはそれぞれ特徴があるため、どちらが一律に優れているというものではありません。自院の診療体制や運用方針、既存システムとの連携、費用、サポート体制などを踏まえて選ぶことが重要です。

それぞれの主な違いは、以下の通りです。

項目

オンプレミス型

クラウド型

導入・維持コスト

期費用や更新費用が高額になりやすい

初期費用を抑えやすく、月額費用が発生する

利用開始までの期間

サーバー設置や設定に時間がかかりやすい

比較的短期間で導入しやすい

保守・管理

自施設でのサーバー管理や保守が必要

事業者側が保守・管理を担う範囲が多い

カスタマイズ性

自院に合わせた調整がしやすい

製品仕様に沿った運用になりやすい

バックアップ

自施設での対応が必要

事業者のバックアップ体制を確認する必要がある

通信の安定性

院内環境で運用しやすい

インターネット環境に依存する

オンプレミス型電子カルテ

オンプレミス型電子カルテは、院内に専用サーバーを設置し、自院内で電子カルテを運用する形式です。

院内でデータを管理するため、自院の運用に合わせたカスタマイズがしやすい傾向があります。一方で、サーバーの設置や保守、定期的な更新、セキュリティ対策などが必要になり、導入費用や維持管理コストが高額になりやすい点には注意が必要です。

また、システム障害やサーバー故障が発生した場合に備え、バックアップ体制や保守対応の範囲を事前に確認しておくことが重要です。

クラウド型電子カルテ

クラウド型電子カルテは、クラウド上にデータを保存し、インターネットを通じて電子カルテを利用する形式です。

院内に専用サーバーを設置しないケースが多く、オンプレミス型と比べて初期費用を抑えやすい点が特徴です。また、インターネット環境があれば、院内外から診療情報を確認できる場合があり、オンライン診療や在宅医療、複数拠点での情報共有にも活用しやすい形式です。

一方で、インターネット回線やクラウドサービスの障害時に備えた運用ルール、アクセス権限の管理、バックアップ体制、サービス提供事業者のセキュリティ対策などを確認しておく必要があります。

電子カルテの選び方|導入前に確認すべき比較ポイント

電子カルテは、医療機関の診療記録や会計、検査結果、画像情報などと関わる基幹システムです。そのため、価格や知名度だけで選ぶのではなく、自院の診療体制や業務フローに合っているかを確認することが重要です。

特に、クリニックや病院では、診療科、患者数、スタッフ体制、既存システムの有無によって必要な機能が異なります。導入後に「使いにくい」「既存システムと連携できない」「運用に合わない」といった問題が起こらないよう、以下のポイントを確認しておきましょう。

  • 自施設の診療科・運用フローとの相性
  • レセコン・検査システム・PACSなどの他システムとの連携性
  • 操作性とサポート体制は十分か
  • 導入費用だけでなく運用コストまで確認する
  • セキュリティ・障害時対応・バックアップ体制を確認する

選び方のポイント1. 自施設の診療科・運用フローに合っているか

電子カルテを選ぶ際は、まず自院の診療科や日々の診療フローに合っているかを確認しましょう。

診療科によって、よく使うテンプレート、検査内容、処方、画像参照の頻度、必要な帳票などは異なります。たとえば、画像検査を多く行う医療機関では、電子カルテ上で検査結果や画像情報をスムーズに確認できるかが重要になります。

また、受付、診察、検査、会計までの流れを想定し、電子カルテ導入後にどの業務が効率化されるのか、反対にどの業務で操作や確認の手間が増える可能性があるのかを事前に整理しておくことが大切です。

選び方のポイント2. レセコン・検査システム・PACSなどの他システムとの連携性

電子カルテは単体で使うだけでなく、レセプトコンピューター、検査システム、予約システム、PACSなどの周辺システムと連携して運用されることも多々あります。

連携ができない場合、同じ情報を複数のシステムに入力する必要が生じたり、システムごとに情報を確認しなければならなかったりするため、すでに使用しているシステムがある場合は、新たに導入する電子カルテと連携できるかは必ず事前に確認しておきましょう。

特にCT、MRI、レントゲンなどの画像検査を行う医療機関では、電子カルテとPACSの連携が診療効率に大きく関わります。電子カルテから画像情報をスムーズに参照できるか、院内外で画像共有を行いやすいかも確認しておくとよいでしょう。

クラウド型PACSや電子カルテとの連携については、以下の記事でも詳しく解説しています。

選び方のポイント3. 操作性とサポート体制は十分か

電子カルテは、医師だけでなく、看護師、医療事務、検査担当者など複数のスタッフが日常的に利用します。そのため、操作画面がわかりやすく、現場スタッフが無理なく使えるかどうかも重要です。

導入前には、デモやトライアルを活用し、実際の診療フローに近い形で操作性を確認しましょう。特に、カルテ入力、処方入力、検査オーダー、会計連携、画像参照など、日常的に使う操作を確認しておくことが大切です。

また、導入時の操作説明や研修、運用開始後の問い合わせ対応、トラブル発生時のサポート体制も確認しておきましょう。電子カルテは導入して終わりではなく、日々の診療を支えるシステムであるため、サポート体制の充実度は選定時の重要な判断材料になります。

選び方のポイント4. 導入費用だけでなく運用コストまで確認する

電子カルテの費用は、オンプレミス型かクラウド型か、必要な機能、利用端末数、連携システムの有無などによって大きく異なります。導入時の初期費用だけを見ると安く見えても、月額費用、保守費用、オプション費用、システム更新費、端末追加費用などを含めると、長期的なコストが想定より高くなる場合があります。

導入時の金額だけで判断するのではなく、数年間運用した場合の総コストを見ながら、自院の規模や運用に合ったシステムを選ぶことが重要です。

選び方のポイント5. セキュリティ・障害時対応・バックアップ体制を確認する

電子カルテには患者さんの診療情報や個人情報が保存されるため、セキュリティ対策は必ず確認すべきポイントです。アクセス権限の設定、ログ管理、データのバックアップ、通信の暗号化、不正アクセス対策など、医療情報を安全に管理するための仕組みが整っているかを確認しましょう。

また、停電や災害、システム障害が発生した場合に、どのように診療を継続するのかも重要です。電子カルテが一時的に使えない場合の代替手段や、データ復旧の体制、サポート窓口への連絡方法などを事前に確認しておくことで、導入後のリスクを抑えやすくなります。

医療情報システムのセキュリティ対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。

電子カルテ導入の流れ|検討から運用開始までのステップ

導入までのステップ

電子カルテを導入する際は、システムを選定して契約するだけでなく、現状業務の整理、周辺システムとの連携確認、スタッフ研修、運用開始後の見直しまでを含めて準備することが大切です。

ここでは、電子カルテ導入の基本的な流れを5つのステップで解説します。

  • ステップ1. 導入目的と現状の課題を整理する

  • ステップ2. 必要な機能と連携システムを洗い出す

  • ステップ3. 複数の電子カルテを比較し、デモで操作性を確認する

  • ステップ4. 導入準備とスタッフ研修を行う

  • ステップ5. 運用開始後の見直し

ステップ1. 導入目的と現状の課題を整理する

まずは、電子カルテを導入する目的を明確にしましょう。

たとえば、診療情報を探す時間を短縮したい、会計やレセプト業務を効率化したい、検査結果や画像情報をスムーズに確認したいなど、医療機関によって課題は異なります。現在の業務フローを整理し、どの業務を改善したいのかを明確にしておくことで、自院に合った電子カルテを選びやすくなります。

ステップ2. 必要な機能と連携システムを洗い出す

次に、自院に必要な機能や、連携が必要なシステムを洗い出します。

レセプトコンピューター、検査システム、予約システム、オンライン診療システム、PACSなどすでに利用しているシステムがある場合は、新しく導入する電子カルテと連携できるかを事前に確認しておきましょう。

ステップ3. 複数の電子カルテを比較し、デモで操作性を確認する

必要な機能を整理したら、複数の電子カルテを比較検討します。

電子カルテは日常的に使うシステムであるため、資料上の機能だけで判断せず、デモやトライアルで実際の操作感を確認することが重要です。医師だけでなく、看護師や医療事務など、実際に利用するスタッフも含めて確認することで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

ステップ4. 導入準備とスタッフ研修を行う

導入する電子カルテが決まったら、運用開始に向けた準備を進めます。紙カルテから移行する場合は、どの情報を電子カルテに入力するのか、紙カルテと併用する期間を設けるのかも決めておく必要があります。

また、運用開始前にはスタッフ研修を行い、基本操作や診療時の入力ルール、トラブル発生時の対応方法を共有しておきましょう。電子カルテは医師だけでなく複数職種が利用するため、院内で共通した運用ルールを整えておくことが大切です。

ステップ5. 運用開始後の見直し

電子カルテは導入して終わりではありません。運用開始後に、実際の診療フローに合っているか、入力に時間がかかっていないか、会計や検査、画像参照との連携に問題がないかを確認しましょう。

導入直後は、操作に慣れるまで一時的に業務負荷が増える場合もあります。そのため、現場スタッフから課題を集め、テンプレートや入力ルール、業務フローを見直すことで、診療情報の共有、業務効率化、医療安全の向上につなげやすくなります。

クラウド型電子カルテへの関心が高まっている理由

電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型がありますが、近年は医療DXの推進やオンライン診療の普及を背景に、クラウド型電子カルテへの関心が高まっています。

その背景には、単なるコスト面のメリットだけではありません。診療情報を安全かつ効率的に活用し、他システムと連携しながら医療提供体制を整える基盤として、クラウド型電子カルテが注目されるようになっています。

医療DX推進と電子カルテの標準化

医療DXでは、医療機関間で必要な診療情報を共有しやすくするため、電子カルテ情報の標準化や医療情報の利活用が進められています。こうした流れの中で、電子カルテは単なる診療記録のシステムではなく、医療情報を安全かつ効率的に活用するための基盤として重要性が高まっています。

特にクラウド型電子カルテは、院内サーバーを持たずに利用できるものも多く、システム更新や制度改定への対応、他システムとの連携を検討しやすい点が特徴です。ただし、クラウド型であっても、セキュリティ対策やバックアップ体制、障害時の運用方法を事前に確認することが重要です。

オンライン診療・地域医療連携で情報共有の重要性が高まっている

コロナ禍を契機にオンライン診療が注目されましたが、診療に必要な過去の医療情報を迅速に参照できないことが課題として顕在化しました。救急搬送時や初診患者の対応においても、即座に医療情報へアクセスできる体制の重要性が再認識されています。

クラウド型電子カルテは、場所を問わず診療情報へアクセスでき、医療連携を円滑に進めることができるため、こうした課題の解決にも寄与します。

PACSなど周辺システムとの連携価値が高まっている

電子カルテをクラウドで運用する場合は、電子カルテ単体の機能だけでなく、PACSや検査システム、予約システムなど周辺システムとの連携性も重要です。特に画像検査を行う医療機関では、PACSとの連携が診療効率や院内外の情報共有に関わるため、電子カルテとあわせて確認しておきましょう。

電子カルテと連携できるクラウド型PACS「LOOKREC」の導入事例

電子カルテとあわせて検討したい医療情報システムのひとつが、CT、MRI、レントゲンなどの医用画像を管理・共有するPACSです。

検査画像は情報量が多く、紙やフィルム、CD-ROMなどを用いた運用では、画像の確認や共有に手間がかかる場合があります。電子カルテとPACSを連携することで、診療情報と画像情報をあわせて確認しやすくなり、診療業務の効率化や院内外の情報共有に役立ちます。

近年は、電子カルテのクラウド化や医療DXの流れにあわせて、PACSについてもクラウド型を選択する医療機関があります。クラウド型PACSを活用することで、院内サーバーの管理負担を抑えながら、医用画像を保存・共有しやすい環境を整えることができます。

PACSの基本的な仕組みや電子カルテとの違い、導入メリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

電子カルテの導入に伴い、相性のよいクラウド型PACSを探していたことから、弊社クラウド型PACS「LOOKREC」を導入いただいた事例もあります。電子カルテとPACSの連携や、クラウド型システムを活用した画像管理を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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まとめ

電子カルテとは、診療内容、処方、検査結果などの医療情報を電子的に記録・管理・共有する医療情報システムです。紙カルテと比べて情報を検索・共有しやすく、診療時間や待ち時間の短縮、記録・指示の効率化、紙カルテの保管スペース削減などに役立ちます。

一方で、電子カルテの導入には、操作習得、導入費用・運用コスト、紙カルテからの移行、既存システムとの連携、停電・災害・システム障害時の対応といった課題もあります。導入後のミスマッチを防ぐためには、自院の診療科や業務フローに合っているか、レセコン・検査システム・PACSなどと連携できるかを事前に確認することが重要です。

また、電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型があり、それぞれ特徴や注意点が異なります。近年は医療DXや地域医療連携の推進を背景に、クラウド型電子カルテやクラウド型PACSなど、医療情報を安全かつ効率的に共有できる仕組みへの関心も高まっています。

電子カルテの導入やリプレイスを検討する際は、導入費用だけで判断せず、操作性、サポート体制、セキュリティ、障害時対応、周辺システムとの連携性まで含めて比較検討しましょう。特にCT、MRI、レントゲンなどの画像検査を行う医療機関では、電子カルテとPACSを連携させることで、診療情報と画像情報をスムーズに確認しやすくなり、診療効率や院内外の情報共有の向上につながります。

電子カルテやPACSなど、インターネットに接続している医療機器・医療情報システムが増えてきた際に重要になるのが、クリニックの院内ネットワークの構築と整備です。それらに関して解説していただいた以下のセミナーレポートもぜひ参考にしてください。

クリニック開業を検討されている方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

執筆者:Dr.Ma
執筆者:Dr.Ma
2006年に医師免許、2016年に医学博士を取得。大学院時代も含めて一貫して臨床に従事。現在も整形外科専門医として急性期病院で年間150件の手術を執刀する。知識が専門領域に偏ることを実感し、医学知識と医療情勢の学び直し、リスキリングを目的に医療記事執筆を開始した。これまでに執筆した医療記事は300を超える。
セミナー開催中


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