
クリニックの業務効率化とコスト削減を実現する方法とは?医療DXの進め方とクラウドPACS活用
人手不足や業務負荷の増加、集患競争の激化などを背景に、クリニック経営には、これまで以上に業務効率化と収益性の向上が求められています。
特に近年は、限られた人員で質の高い医療を提供し続けるために、デジタル技術を活用した業務改善、いわゆる医療DXの重要性が高まっています。
本記事では、株式会社エムネス ホスピタル&クリニック営業部の尾中氏へのインタビューをもとに、クリニックにおける業務効率化の具体的な方法や進め方を整理した上で、クラウド型PACSを活用した業務改善の実践例について解説します。

クリニックで業務効率化が求められる理由
―― まず、クリニックにおいて業務効率化が求められている背景について教えてください。
尾中 俊介(以下、尾中) 大きな要因は、医療業界全体で人手不足が深刻化していることです。医師や看護師、医療事務スタッフの確保が難しくなっており、現場の負担は年々増加しています。特に中小規模のクリニックでは、一人ひとりの業務負担が大きくなりやすい傾向があります。
――人手不足以外にも要因はあるのでしょうか。
尾中 患者ニーズの多様化や医療サービスの高度化により、業務自体が複雑になっている点も大きな要因です。従来のやり方のままでは対応しきれないケースが増えており、その結果、現場では非効率な業務が積み重なりやすい状況になっています。
―― そうした状況の中で、医療機関ではどのような対応が求められているのでしょうか。
尾中 効率的に診療を行う体制づくりが必要です。クリニックのように限られた人員で現場を回すとなると、業務フローの見直しやデジタル技術の活用が不可欠です。いわゆる医療DXの推進が、現場課題の解決に直結するフェーズに入ってきていると言えます。
クリニックの業務効率化で得られるメリット
―― 業務効率化によってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
尾中 まず、診療の質の向上が挙げられます。業務が整理されることで、医師やスタッフが患者対応に集中できるようになります。結果として、患者満足度の向上にもつながります。
―― 経営面への影響はどうでしょうか。
尾中 業務効率化を推進することは、コスト削減につながります。無駄な業務や設備投資を抑えることで、運営コストを最適化でき、長期的に見ると経営の安定性にも寄与します。
また、業務効率が向上すれば対応できる患者数が増え、結果的に収益の向上にもつながると言えます。特に外来数の増加や回転率の改善に効果が出やすいです。
―― 業務整理をすることで、スタッフの働きやすさにもつながりそうですね。
尾中 はい、人材定着の観点でも大きなメリットがあります。業務負担が軽減されることで働きやすい環境づくりが進みますし、モチベーションの向上や離職防止にもつながります。
こうしたメリットを実現するためには、どの業務を、どのように見直していくかが重要になります。
クリニックで効率化できる主な業務と具体的な進め方
―― 具体的にはどの業務を、どのように効率化できるのでしょうか。
尾中 まずは業務内容やフロー、職場環境や労務管理などを見直し、人間がやるべき業務とデジタルで代替できる業務の棚卸しを行います。
クリニックにおいてITに置き換えやすい業務についてはこちらの記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
―― 棚卸しを行ったあとは、どうすればいいでしょうか。
尾中 手書きやアナログ業務を可能な限りデジタル化することです。紙ベースでの管理や手入力の多い業務は時間がかかるだけでなく、ミスの原因にもなります。日々の積み重ねで見ると、想像以上に大きな工数になっているケースも少なくありません。
―― アナログからデジタル化することによる効果やメリットも教えてください。
尾中 システムやデジタルを活用したデータ管理なら必要な情報にすぐアクセスできるため、診療や事務作業のスピードが上がります。結果として、患者対応の待ち時間短縮にもつながります。
―― アナログ業務をデジタル化することで情報の検索性や共有性が向上し、業務効率化が進むということですね。特に効率化を実感しやすい業務領域はありますか。
尾中 受付業務や事務作業は、効率化の効果を実感しやすい領域です。電子カルテや診療予約システム、WEB問診、PACSあたりから取り入れていくといいでしょう。
―― デジタル化するにあたりシステム選定のポイントはありますか。
尾中 クラウド製品を選択することで、場所や端末に依存しない運用が可能になります。クラウド製品同士なら連携性も高いので、データを一元管理しやすいですし、医療連携などにも活用しやすいといったメリットもあります。
クラウド型PACSの一例として、当社が提供する「LOOKREC」も業務効率化に活用されています。
業務効率化を支えるクラウドPACSの特徴

――改めてクラウド型PACSがどのようなものか教えてください。
尾中 クラウド型PACSは医療用画像、DICOMデータをクラウド上に保管し、専用の画像ビューアで閲覧できる仕組みです。
オンプレミス型PACSのように、院内にサーバーや専用機器を用意する必要がないため、導入ハードルやコストが低いのが特徴です。
――クラウド型PACSはどのように運用されるのでしょうか。
尾中 まずレントゲンやエコー、CT、MRのような検査装置から一台のパソコンに画像が集約されます。このパソコンがインターネットにつながっていることで、自動的にクラウドに画像がアップロードされます。クラウドにアップロードされた画像は、診察室をはじめ各パソコンから閲覧することが可能です。
―― クラウド型PACS「LOOKREC」の特徴を教えてください。
尾中 画像データがクラウドにアップロードされ、時間や場所を問わず保存・閲覧できる点はもちろん、他の医療機関と連携して二拠点間で画像の配信や共有をすることが可能です。具体的には、他院の読影医への読影依頼やコンサル依頼ができる点は、LOOKRECならではの大きな特徴のひとつと言えます。

クラウドPACSを活用した業務効率化とコスト削減
―― クラウド型PACSをどのように活用すれば、業務効率化が図れるのでしょうか。
尾中 まずはクラウド型の電子カルテと併用することをおすすめします。オンプレミス製品の場合、電子カルテとPACSが個別のパソコンでしか閲覧できなかったので、それぞれのキーボードやマウスを操作する必要があり、非常に煩雑でした。
クラウド型PACSであれば一台のパソコンでデータを扱えるので、モニターを二台接続すれば、複数のキーボード・マウスを用意せずに操作ができます。

―― 一台のパソコン内で、電子カルテとPACSをシームレスに使えるのは便利ですね。
尾中 複数端末の操作が不要なので、PACSの画像を電子カルテや紹介状に貼り付けるといった操作も簡単です。また従来のPACSはDICOM画像に特化していましたが、最近の製品はJPEGやPDFなどの画像も取り込めるようになっています。例えばスパイロや重心動揺計の画像など、非DICOM画像を取り込むことも可能です。

―― スタッフの画像取り込み作業を減らすことができれば、効率化につながりそうですね。
尾中 製品によってはスマートフォンやタブレットなどモバイル端末の活用もできます。エムネスの「LOOKREC」もモバイル端末から画像の取り込みができますので、従来のデジカメやスキャナを使った取り込み作業が不要となり、効率的な運用が実現可能です。
もちろんモバイル端末から画像を閲覧することも可能ですので、例えば自宅からスマートフォンで画像を確認するといった運用もできます。

―― クラウドPACSによるコスト面のメリットも教えてください。
尾中 従来のオンプレミス型PACSは専用のパソコンやモニターを必要としており、それも5~7年で買い替えが必要でした。その際にシステムを再導入する費用が求められるケースも多々あります。
クラウド型PACSの場合、専用のパソコンは必要ないので、買い替えの手間やコストはかかりません。また、リプレイス費用がかからないので、長く使えば使うほど、従来のPACSよりもコストを抑えて利用することができます。

――機器購入費用とリプレイス費用を抑えることでコスト削減を実現できるということですね。
尾中 オンプレミス型PACSの場合、専用のパソコンでデータ保管をしているため、万が一故障した場合に別途データ復旧費用がかかります。クラウド型PACSの場合はクラウドに画像を保管するため、そのような復旧コストが発生しない点もメリットです。
導入に必要なパソコンも約10~15万円で購入できるスペックのもので十分なので、従来の製品よりも機器導入コストが抑えられます。
LOOKRECで業務効率が進んだクリニック導入事例
―― 実際にLOOKRECを活用して業務効率化が進んだクリニックの事例があれば教えてください。
尾中 業務効率化や運用改善につながった事例インタビューの記事をいくつかピックアップしているので、ぜひ参考にしていただければと思います。
―― 業務効率化を検討されているクリニックさまの参考になれば幸いです。尾中さん、本日はありがとうございました!







