
クリニックのオンライン診療で収益を伸ばす方法とは?自費診療と保険診療のバランス・導入設計のポイント【セミナーレポート】
オンライン診療は、通院負担の軽減や業務効率化に加え、クリニックの新たな収益機会としても注目されています。一方で、「どのように始めればよいのか」「本当に収益につながるのか」といった疑問を持つ医療機関も少なくありません。
本セミナーでは、オンライン診療の導入から運用方法までをテーマに、メリットや課題、自費診療と保険診療のバランス、収益化のポイントについて株式会社ソラリウムの朴氏に解説いただきました。
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オンライン診療がクリニック経営にもたらす変化

―― 現在、クリニックのDXはどのような形で取り入れられているのでしょうか。
朴淳仁氏(以下、敬称略) まず診察予約に関しては従来の電話予約に加え、Web予約やアプリ予約が普及しています。電話受付もAI技術を取り入れる形で、予約のオンライン化が進んでいます。
他にも電子カルテやキャッシュレス決済など、クリニックのDXが取り入れられている状況です。
―― 今回のテーマであるオンライン診療は、クリニックのDXにおいてどのような位置づけにありますか。
朴 オンライン診療もクリニックのDXにおいて、Web予約や電子カルテ、キャッシュレス決済に並ぶ重要な役割を担っています。
例えば、通院が困難、あるいは通院が不要な患者の場合、わざわざクリニックに足を運んでもらうのではなく、オンライン診療ができれば利便性が向上します。また新たな売上機会の創出や待合室のような物理的スペースの混雑緩和といった点もメリットです。
―― 近年はオンライン診療を導入するクリニックが増加傾向にあるとのことですが、その背景には何があるのでしょうか。
朴 コロナ禍で規制が緩和されたこと、スマートフォンが普及していることが大きな理由です。そこに「わざわざ通院したくない」「待ち時間を減らしたい」といった患者のニーズの高まりが加わり、オンライン診療が徐々に拡大しています。
また新しい価値提供や売上創出の機会としてオンライン診療に取り組んでいるクリニックも増えており、今後も加速していく見通しです。
―― 改めてオンライン診療のメリットについてお聞かせください。
朴 まず患者目線でのオンライン診療のメリットは、通院が不要な点です。自宅や職場から診察を受けられるので、移動時間や待ち時間も不要になります。また来院時の感染といったリスクが避けられるのも患者にとってのメリットと言えます。
―― クリニック目線でのメリットはいかがでしょうか。
朴 クリニック目線でのメリットは、オンライン診療であれば通院圏外にもアプローチでき、新患の集患が期待できます。また、平日に時間が取れない患者の再診や、対面診療以外の選択肢を提示できる点もメリットです。
―― オンライン診療は患者・クリニック双方にメリットがあるということですね。
朴 そのとおりです。オンライン診療を活用しながら、いかに業務効率化や売上最大化を進められるかが一つのポイントになります。

失敗しないオンライン診療戦略と保険診療・自費診療の使い分け
―― オンライン診療の課題はどういったことがあるのでしょうか。
朴 保険オンライン診療においては、いくつか課題があります。まず、対面診療に比べ、オンライン診療は診療報酬で算定できる点数が低い点です。また、医療機関側も患者側もシステム導入がある点や、クリニック側のオペレーション設計など運用負担が生じる可能性があります。
さらに収益モデルを作りづらい点や、対面に比べると診療時間が延びがちになる点も課題だと言えるでしょう。
―― メリットばかりではないということですね。
朴 そうですね。既存の対面患者をオンライン診療に切り替えるだけでは収益が下がってしまうので、オンライン保険診療で患者の利便性や満足度を向上させつつ、リピーターを増やすことがポイントになります。

―― オンライン診療をうまく活用できているクリニックはどのような形で導入しているのでしょうか。
朴 保険診療を対面で行いながら、自費診療はオンライン診療で並走させるという形で活用されているクリニックはうまくいっているケースが多いですね。
―― なぜ自費オンライン診療を並走させるケースが多いのでしょうか。
朴 自費オンライン診療を並走させることで、既存の保険診療患者というアセットを活用しながら、クロスセルの形で自費オンライン診療を提案するクリニックが増えています。そうすることで診療報酬の規制に影響を受けることなく、一人当たりの患者の単価アップに繋がります。
―― たしかに既存患者の売上を損なうリスクを取る必要もなくなりますね。
朴 処方薬の定期配送やサブスクリプションといった形で取り入れることで、継続的かつ安定的な収益基盤をつくれる点も大きなメリットです。
自費オンライン診療の特徴

―― 自費オンライン診療の特徴について教えてください。
朴 大きく四つの特徴があります。一点目は、定期診療と非常に相性がよい点です。ある程度症状が安定していて、定期的な薬の処方のような継続フォローを必要としている患者にとって、オンライン診療は相性がよいと考えられます。
―― 保険を使ったオンライン診療で慢性疾患の患者をフォローするのと同様のイメージですね。
朴 二点目はオンラインで全て完結できる点です。予約から問診、診療、処方まで一気通貫で対応できます。クリニックと患者の双方にとって導入しやすいポイントだと言えるでしょう。
―― 残りの特徴についても教えてください。
朴 三点目は、収益モデルを作りやすい点です。診療単価の引き上げや継続率向上といった計画を立てやすくなります。また、薬の定期便のように、患者ごとに売上を積み上げられる点もポイントです。
四点目は、複雑な運用が必要ない点です。保険診療クリニックの場合、既存の患者というアセットがあるので、自費オンライン診療を導入するときに予約から決済までの導線が比較的作りやすいと言えます。
失敗しないオンライン診療のポイントはシステム選定と診療メニュー設計
―― 新たに自費オンライン診療を始める際のポイントはありますか。
朴 大きく二点のポイントがあります。一点目はシステム選定です。さまざまなビデオ通話ツールや予約システムがありますが、患者が使いやすいツールを選ぶことが必要になります。また、複数のシステムをまたぐとオペレーションが複雑になりがちなので、予約・問診、診察、決済をオンラインで完結できることも重要です。
さらにクリニック側の運用負担の少なさも考慮する必要があります。保険クリニックのメインは従来の保険診療ですが、そこに自費オンライン診療を併用していくときの負担を極力減らすことが必要です。加えて業務効率化だけでなく、売上拡大を見込めるシステムが求められます。
―― シンプルなシステムを設計する必要があるということですね。
朴 二つ目のポイントは、診療メニューの選定です。まずは自クリニックの診療科目と相性のよいメニューから組み立てるとよいでしょう。例えば、皮膚科であればAGAや美容内服、内科であればメディカルダイエット、泌尿器科であればEDなど、取り入れやすいところから始めるのが重要です。
―― 自費オンライン診療と相性がいい領域はありますか。
朴 一度の診察でおしまいにせず、継続治療が多いメニューを入れると売上拡大につながります。最近多いのはマンジャロのようなメディカルダイエット、AGA・FAGA、美容内服・ニキビ治療などです。皮膚科に限らず、他の診療科でも美容内服の領域はかなり進んでいます。
また、低用量ピルは定期処方との相性がよいですし、不眠症患者へのフォローを自費オンライン診療メニューとして立ち上げているクリニックも増えています。

―― 自クリニックと親和性の高い領域を取り入れるとよさそうですね。
朴 一度に全てを変えてしまうと破綻してしまうので、まずは自クリニックの強みや患者のニーズを理解した上で、適切なシステムの導入や診療メニューの選定をスモールスタートするのがよいと思います。
オンライン診療で収益を伸ばしたクリニックの実例
―― オンライン診療の導入事例があれば教えてください。
朴 事例を二つご紹介します。まずひとつは、保険診療メインの皮膚科の事例です。新たに自費オンライン診療を立ち上げ、美容内服とAGAのメニューを展開しています。もともと新たな売上を作りたいということで自費オンライン診療を立ち上げ、現在も順調に売上を拡大しています。
―― 二つ目の事例はどのようなものでしょうか。
朴 二つ目の事例は、元々対面の保険診療をメインとしていた整形外科クリニックで、新たに売上を作るために自費オンライン診療を立ち上げました。こちらのクリニックでは既存患者に対してメディカルダイエットを案内するだけでなく、地域の鍼灸院や接骨院と連携して診療メニューを案内するPOPを設置し、集患に成功しています。
メディカルダイエットなので、一度集患して終わりではなく、継続的に売上資産を構築できており、第二の収益の柱となっています。
オンライン診療の成果を最大化する運用設計

―― 自費オンライン診療を成功させるためのポイントを教えてください。
朴 自費オンライン診療を成功させるためには、「予約率」「受診率」「決済率」「継続率」「クロスセル・アップセル率」の五つ、俗に言う「ファネル設計」が重要です。それぞれの数値を把握し、各ファネルの数値改善が売上を最大化させるための鍵になります。
―― ファネルの数値を把握し改善するのは大変そうです。
朴 そこで役立つツールがLINEを活用することです。これまでの集患はホームページ経由がメインでしたが、最近はLINEの公式アカウントに友だち登録をしておくことで、LINEから予約・診察ができるようになっています。患者体験の一連の流れをLINEを起点にするクリニックが増えています。
またLINE登録は患者との接点を維持している状態に近いので、マーケティング目線でも推奨できます。
―― LINEを活用するメリットはどこにあるのでしょうか。
朴 日本人にとって、生活インフラとして最も普及しているツールであるという点です。LINEを活用しながら潜在患者に対して興味関心のありそうなメッセージを送ったり、キャンセルリスクのある患者のフォローアップをしたりと、LINEを使ったアクションから患者の属性やニーズを特定し、それぞれにパーソナライズされた訴求メッセージを送ることで、患者の行動を促進できます。
このようなマーケティング活動にLINEは重要なツールですし、各ファネルの数値を改善するアプローチにつながると思います。
―― 身近なツールとして普及しているLINEを有効活用することで、各ファネルの改善、利益の最大化につながるということですね。これからオンライン診療を始めようと思われている方は参考にしていただきたいですね。本日はありがとうございました!
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