
2026年度診療報酬改定で医療DXはどう変わる?画像診断管理加算2と遠隔画像診断の見直しを解説
2026年6月1日に、令和8年度診療報酬改定が施行されました。今回の改定では、賃上げや物価高騰への対応に加え、医療DX、地域医療連携、在宅医療、医療従事者の人材不足への対応などが、主要な改定項目として位置づけられています。(参考資料:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」)
特に注目したいのが、医療DXに対する評価の変化です。
これまで医療機関における医療DXは、紙やCD-ROMを使用した業務の削減、情報入力の効率化、職員の負担軽減などを主な目的として進められてきました。一方、今回の診療報酬改定では、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス、医療機関間の情報共有ネットワークなど、デジタル技術を実際の診療や医療連携に活用する体制を、診療報酬上で評価する仕組みが再編・拡充されています。
医療DXは、単なる業務効率化の手段にとどまらず、診療の質と医療機関の収益の双方に関わる経営基盤へと変化しつつあるといえます。
本記事では、2026年度診療報酬改定のうち、医療DXと画像診断に関係する改定内容を中心に、医療機関が押さえておきたいポイントを解説します。
※本記事は、2026年7月時点で公表されている厚生労働省の資料に基づく一般的な解説です。最新の情報については、厚生労働省の告示・通知等をご確認ください。

監修者
株式会社エムネス
営業ビジネスディベロップメント本部
副本部長/ホスピタル&クリニック営業部 部長
檜山 康明
先端技術であるロボティクス分野で、ものづくりを中心とした事業開拓を推進。その後、クラウドプラットフォームを活用したヘルステック分野へフィールドを移し、医用画像プラットフォーム「LOOKREC」の事業を通じて、病院・クリニックにおけるクラウドPACSの普及・拡販を牽引。医療DX、遠隔画像診断、地域医療連携の推進に加え、医師向け研究会や臨床研究など、画像情報を活用した医療・研究基盤の構築・普及にも取り組んでいる。
2026年度診療報酬改定における医療DXの方向性

今回の改定では、従来の「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止され、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」が設けられました。
初診時に電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3として、それぞれ15点・9点・4点、再診時には2点が設定されており、いずれも月1回に限り算定されます。
評価されるポイントは、システムを単に導入していることだけではありません。オンライン資格確認によって取得した情報を診療に活用できる体制や、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、サイバーセキュリティ対策など、デジタル技術を日常の診療で実際に使用する体制が求められています。

電子的診療情報連携体制整備加算1では、オンライン資格確認などの基本要件に加え、電子処方箋、所定の要件を満たす電子カルテ、電子カルテ情報共有サービスまたは地域医療情報連携ネットワークを活用した情報共有体制のすべてが求められます。
加算2では、基本要件に加え、これら3つの要件のうち、いずれか1つを満たす必要があります。
加算3では、電子処方箋や電子カルテなどに関する追加要件は設けられておらず、オンライン請求やオンライン資格確認、取得した診療情報を閲覧・活用できる体制などの基本要件を満たす必要があります。
情報共有体制の要件として地域医療情報連携ネットワークを活用する場合、参加する保険医療機関が10施設以上で、そのうち診療情報を開示する病院が2施設以上であること、登録患者数が1,000人以上または年間新規登録患者数が100人以上であることなどが求められます。
また、ネットワークの規模だけでなく、検査・画像情報提供加算または電子的診療情報評価料の施設基準を届け出ていることや、実際に患者情報を共有した実績があることなども要件に含まれます。(参考資料:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 7.外来医療の機能分化・強化等」)
今回の改定から読み取れるのは、医療DXにおける評価軸が、システムの整備状況に加え、診療情報の活用や医療機関間の情報共有をより重視する段階へ進んだということです。今後は「取得した情報を診療に活用しているか」「他の医療機関と情報を共有しているか」といった、実際の活用状況がこれまで以上に重視されるようになります。
医療DXは「業務効率化」に加え「診療報酬を見据えた活用」へ
電子カルテやWeb予約システム、クラウドPACSなどの医療DXツールは、院内業務の効率化や職員の負担軽減を目的として導入されてきました。こうした効果は、今後も医療DXを進める上で重要です。
一方、2026年度診療報酬改定では、デジタル技術を活用した診療情報の共有や、医療機関同士の連携体制を評価する仕組みが拡充されました。今後は、業務効率化だけでなく、診療報酬の施設基準や地域医療連携を見据えてシステムを選定・運用する視点が重要です。具体的には、次のような点を確認する必要があります。
- 診療報酬の施設基準に対応できるか
- 他の医療機関と情報を共有できるか
- 実際の診療フローに組み込めるか
- セキュリティやアクセス管理の要件を満たせるか
- 利用実績や連携実績を継続的に管理できるか
つまり、医療DXは「導入すれば完了する施策」ではなく、診療報酬や医療連携を見据えて運用する経営施策になりつつあります。
その中でも、医用画像は患者さんの身体の状態を客観的かつ視覚的に把握できる重要な診療情報です。電子カルテや処方情報などの診療情報と同様に、適切なタイミングで必要な医療機関や医療従事者が画像情報を共有・活用できることは、診断精度の向上や迅速な治療方針の決定、重複検査の防止、地域医療連携の推進につながります。今回の診療報酬改定でも、医療機関間での情報共有や遠隔画像診断を支える体制が評価されるなど、画像情報を活用した医療DXの重要性はこれまで以上に高まっています。
画像診断管理加算2で遠隔画像診断の一部委託が可能に

画像診断分野で大きな変更となったのが、「画像診断管理加算2」の施設基準の見直しです。一部委託を行う場合の新たな評価として、「画像診断管理加算2(一部委託を行う場合)」166点が新設されました。なお、166点は、核医学診断およびコンピューター断層診断のそれぞれについて、月1回に限り算定されます。
画像診断管理加算2は、CTやMRI、核医学検査などについて、画像診断を専ら担当する常勤医師を配置し、適切な画像管理・読影・報告体制を整えている医療機関を評価する加算です。
従来の施設基準では、当該医療機関以外の施設に読影または診断を委託していないことが求められていました。そのため、画像診断管理加算2を算定する医療機関では、原則として院内で読影体制を完結させる必要がありました。
しかし、2026年度改定では、この要件が一部緩和され、一定の条件を満たした場合に限り、核医学診断およびコンピューター断層診断のうち2割以下を他の医療機関へ委託できるようになりました。(参考資料:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 15.医療技術の適切な評価」)
一部委託を行う場合の主な要件

今回の改定は、一般の読影会社や外部の医師へ自由に委託できる制度ではありません。あくまで、一定の施設基準を満たす保険医療機関同士の遠隔画像診断を評価する仕組みと言えます。
遠隔画像診断を一部委託する場合、主に以下の条件を満たす必要があります。
送信側の医療機関は、画像診断管理加算2を届け出ている必要があります。また、受信側は、画像診断管理加算2・3・4のいずれかを届け出ている保険医療機関でなければなりません。
委託できる割合は、当該医療機関における核医学診断およびコンピューター断層診断の2割以下です。また、8割以上の読影結果については、送信側の医療機関において画像診断を専ら担当する常勤医師が読影し、遅くとも撮影日の翌診療日までに診療担当医へ報告する体制が求められます。
受信側でも、画像診断を専ら担当する常勤医師が読影を行い、その結果を送信側へ文書等で報告する必要があります。
遠隔画像診断の一部委託で期待される効果
今回の見直しにより、画像診断管理加算2を算定する医療機関は、院内の読影体制を維持しながら、一部の症例を他の医療機関へ依頼できるようになります。
例えば、院内の放射線診断医だけでは対応が難しい専門領域の症例や、検査件数が集中する時間帯の症例などを、連携先の医療機関へ依頼する運用が考えられます。これにより、院内の放射線診断医の業務負担を分散しつつ、必要な読影体制を維持できる可能性があります。
また、医師が不足する地域や、専門医の確保が難しい医療機関にとっては、他の医療機関が持つ読影リソースを活用する選択肢が広がります。
今回の改定は、個々の医療機関がすべての医療資源を自院内に抱えるのではなく、地域や医療機関同士で医療資源を補完する方向性を示したものと考えられます。
画像診断の外部連携には情報共有基盤が欠かせない
遠隔画像診断を実施するためには、CTやMRIなどの医用画像を安全かつ迅速に送受信し、読影結果を確実に共有できる環境が必要です。
CD-ROMやUSBメモリーなどの物理媒体では、作成や郵送に時間がかかるほか、紛失や情報漏えい、媒体の読み込み不良といったリスクがあります。
また、医療機関ごとに異なるシステムを使用している場合、画像を送信できても、読影結果の返却や過去画像との比較、依頼状況の確認が別の業務として残ることがあります。
遠隔画像診断を円滑に運用するには、単に画像を送受信するだけではなく、画像の保管・管理、過去画像との比較、読影レポートの共有、アクセス権限管理などを一体的に運用できる情報共有基盤が重要になります。これにより、医療機関間でも安全かつ効率的な画像共有・読影運用を実現できます。
診療報酬改定への対応で確認したいポイント
今回の見直しは、画像診断を自院だけで完結させることではなく、一定条件のもとで医療機関同士が役割分担しながら、質の高い画像診断体制を維持することを評価する制度へと変化した点がポイントです。
画像診断管理加算2の一部委託を検討する医療機関は、まず現在の読影体制を把握する必要があります。
院内で実施しているCT・MRI等の件数、翌診療日までに報告できている割合、院内医師の業務量、外部へ依頼したい症例の種類や件数などを整理します。
その上で、連携先となる医療機関が画像診断管理加算2・3・4のいずれかを届け出ているか、画像の送受信やレポート返却を安全に行えるか、委託割合を継続して管理できるかを確認する必要があります。
また、診療報酬上の要件だけでなく、読影の責任範囲、緊急所見が見つかった場合の連絡方法、個人情報の取り扱い、障害発生時の対応などについても、医療機関同士であらかじめ取り決めておくことが重要です。
LOOKRECは院内PACSにとどまらない医療連携プラットフォーム

クラウド型医療情報管理共有システム「LOOKREC」は、CTやMRIなどから出力された医用画像をクラウド上で管理・閲覧・共有できるシステムです。
インターネットに接続できる端末があれば、院内だけでなく、離れた場所にいる医師や連携先の医療機関とも医用画像や読影レポートを共有できます。そのため、LOOKRECは院内の画像管理を目的としたクラウドPACSとしてだけでなく、医療機関をまたいだ画像共有や遠隔画像診断を支える情報共有基盤としても活用できます。
今回の診療報酬改定を踏まえると、LOOKRECは、医用画像を起点として医療機関と医師をつなぐ「画像診断・医療連携プラットフォーム」として、次のように活用できます。
- 医療機関間で医用画像を共有する
- 離れた場所にいる医師が医用画像を閲覧する
- 医用画像と読影レポートを共有する
- 過去画像を含めて継続的に管理する
- 遠隔画像診断を行う医療機関間の情報共有を支援する
一方で、LOOKRECを導入しただけで、画像診断管理加算2や電子的診療情報連携体制整備加算を算定できるわけではありません。
実際の算定に当たっては、送信側・受信側双方の施設基準、医師の配置、読影件数の割合、報告期限、ネットワークの参加施設数や利用実績など、各加算の要件を個別に確認する必要があります。
LOOKRECによる医用画像の管理・共有にご興味がある方は、以下より無料資料をダウンロードいただけます。
まとめ
2026年度診療報酬改定により、医療DXに関する評価は、システムの整備状況に加え、診療情報の活用や医療機関間の連携をより重視する方向へ再編されました。
画像診断分野では、画像診断管理加算2の施設基準が緩和され、一定の条件を満たす保険医療機関間であれば、遠隔画像診断による2割以下の一部委託が可能になっています。
今後、医療機関には、すべての業務を自院内で完結させるのではなく、デジタル技術を活用して地域や他の医療機関と医療資源を共有する体制が、より一層求められるでしょう。
「LOOKREC」は、医用画像を院内で管理するPACSにとどまらず、医療機関同士の画像共有や遠隔画像診断を支える医療連携基盤として活用できます。
診療報酬改定への対応を契機に、現在の画像管理・読影体制を見直し、持続可能な医療提供体制の構築を検討してみてはいかがでしょうか。







