
受診者に選ばれる健診クリニックへ!クラウド活用で業務効率と顧客満足度を向上【セミナーレポート】
受診者から選ばれる健診クリニックになるためには、受診者満足度の向上が不可欠です。
しかし、特定健診以降の契約の複雑化、競合との差別化、手作業による業務負担など、多くの課題を抱えているクリニックも少なくありません。
本記事では、アイテック阪急阪神の堀野氏と、エムネスの健診営業部長の岡氏から、クラウドシステムを導入することでこれらの課題を解決し、受診者満足度を飛躍的に高める方法を具体的に解説してもらいました。
業務効率化とサービス向上に悩む健診クリニックに携わる医療関係者の方、健診クラウドの導入を検討されているご担当者様は、ぜひ最後までご一読ください。
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特定健診がもたらした健診業界の変化と課題
━━ 健診業界の流れについて教えてください。
堀野智行氏(以下、堀野) 一番特徴的だったのが、2008年度に開始された特定健康診査(以後、特定健診)・特定保健指導です。特定健診については、2013年度〜2017年度に第2期、2018年に第3期と改定が加わり、2024年には第4期を迎えました。
このような状況の中で健診を実施する施設も右肩上がりに増えており、現状は約5万2,000施設あると言われています。
━━ 健診を実施する施設では、どのような課題を抱えているのでしょうか。
堀野 まず特定健診開始以降、健保との契約が複雑化しており、これが各種業務の負担となっています。また、健診施設の増加に伴い、他の施設との差別化が求められているのも課題の一つです。
さらに年々運用が複雑化していることに伴い、これまでは手作業で対応していた施設においても、業務効率化に向けた健診システム導入を検討せざるを得ない状況が増えています。
━━ 受診者数が少ない小規模な健診施設でも、システム導入の必要性が高まってきているのですね。どのような健診システムが求められているのでしょうか。
堀野 大きく三点のポイントがあります。一点目は言わずもがな「価格面での手軽さ」です。
二点目は「納品における手軽さ」です。特に施設内にシステム担当者がいない、あるいは導入に手間をかけられないという施設は少なくありません。また導入後のメンテナンスも考慮すると、納品の手軽さが重要な要素になります。
三点目は「本格的な機能」です。低価格で、かつ納品が手軽でも、業務効率化につながらなければシステム導入の意味がありません。多様化するニーズに対応できる本格的な機能も求められます。
この三点のポイントのうち、価格と納品の手軽さはクラウドサービスが最適である一方、本格的な機能についてはクラウドサービスは不向きというのが一般的に言われています。
顧客満足度を上げる「スピード」重視の健診サービス
━━ 今回のテーマである「選ばれる健診クリニックになる」にはどういったポイントがありますか。
岡 琢磨(以下、岡) 多くのサービス企業において「顧客体験」「顧客満足」が重視されています。健診領域においても受診者に良い体験を感じていただくには、顧客体験の向上が必要です。
健診の領域における顧客体験を向上させるポイントは、「スピード」「利便性」「現場での体験」の三つが考えられます。
━━ 3つのポイントのなかで、取り組みやすくインパクトが大きいものはありますか?
岡 クリニック側でコントロールしやすく、インパクトが大きいのは「スピード」だと私は考えています。
実際に健診を受ける立場で考えるとわかりやすいのですが、健診の結果が届くのは「3週間後」に「郵送」というケースが多いのではないでしょうか。また、健診を受ける施設の選定も、会社から提示された施設から選んでいる、あるいは巡回車で健診を受けているケースが多いと思います。
「利便性」はクリニックではコントロールしづらく、「現場での体験」も取り組みやすくはあるものの他院との差別化がしづらい。
一方、スピードは、自院でコントロールもしやすく、一般的な感覚としても健診=時間がかかるものといった共通認識がありますよね。健診結果を一日でも早く受診者に返すことで、他施設との差別化につながると思います。
━━ 健診結果の短納期がなかなか実現できない背景として、医療機関ではどのような課題を抱えているのでしょうか。
岡 大きく三点の課題があります。一点目が「人的リソース」です。
特に読影医のリソースが不足し、検査画像の確認に時間がかかる点が挙げられます。
二点目は「アナログな運用」です。
健診や読影現場では、CD-ROMやUSBメモリに画像データをダウンロードして近隣の先生に依頼をしたり、院内の所定の端末からしか読影ができず、非常勤の先生に足を運んでいただいたりといった運用が多く見受けられます。
三点目は「縦割りのシステム」です。
導入しているシステム同士が連携しておらず、データの共有や利活用がスムーズにできない施設が多数あります。こういった運用をしている施設が多ければ多いほど「結果の短納期」の実現は難しいと言えるでしょう。
━━ これらの課題を解決する方法はあるのでしょうか。
岡 場所に縛られずに、画像や健診データを共有できるクラウドシステムがあれば、院内の人的リソースが足りない場合でも積極的に外部リソースを活用できます。
場所に制限がないので、近隣地域に限定する必要もなく、日本全国、場合によっては国境を越えた医師の確保も可能です。
また、クラウドシステムを活用すれば、アナログな運用の作業負担が大幅に軽減されます。
例えば、健診画像の受け渡しにCD-ROMやUSBなどのデバイスに焼いたり、郵送する作業が不要になります。
さらに、クラウドシステムは他システムとの連携がしやすく、データの利活用もスムーズになります。健診施設の困りごとを解消する一つの糸口となるのが、画像やデータをシームレスに受け渡しできるクラウドシステムの導入だと思います。
健診クリニックの常識を覆す!受診者満足度を高めるクラウドサービスとは
━━ 阪急阪神アイテックの「SmartTHOMAS」も、エムネスの「LOOKREC」もクラウドサービスですよね。それぞれのサービスの特徴を教えてください。
堀野 まずは「SmartTHOMAS」の特徴をご紹介します。
一言で説明すると「お手軽でも本格的なシステム」で、大きな特徴としては三点あります。
まず一点目は、人間ドック・定期健診・特定健診・特定保健指導の全てに対応している点です。他社システムは何らかの制約事項があることが多く、この点は優位であると言えます。
二点目は、受診者サービスを標準装備している点です。予約・問診・結果参照を標準装備しているので、施設と受診者をつなぐだけでなく、受診者にもさまざまなサービスを提供できます。また、業界初となるスマートフォンでの予約・問診・結果参照の機能を標準装備したことにより、受診者に健診を身近なものに感じてもらえるようになったと自負しています。
三点目は帳票システム連携個別対応が可能な点です。「SmartTHOMAS」は各種システムとの連携に加え、データの移行や帳票作成などに個別対応できます。今後事業拡大や事業効率化を検討している施設にとって、非常に大きなメリットがあると言えます。
━━ 続いて、エムネスの「LOOKREC」についても教えてください。
岡 「LOOKREC」は、CT・MRIや健診胸部X線などの医用画像をクラウド上で安全に保存・閲覧・共有できるクラウド型のデータプラットフォームです。
主に4つの機能があり、まず1つ目は医用画像を「貯める」機能。そして2つ目は、ビューアで診察画像を「見る」機能。専用機器やサーバ管理は不要でこれらの機能が使えるため、インターネット環境があれば、院内外はもちろん、巡回バスや医師の自宅からもアクセスが可能です。
3つ目の「レポート機能」では、ワンクリックでレポート作成ができたり、文言チェックができるなど読影医の生産性の向上をサポートします。
そして、4つ目は画像データを「共有」する機能です。これまではCD-ROMやUSBにデータをダウンロードして他院に読影依頼をするなどのアナログ作業が、インターネットを介してリアルタイムでデータ共有ができたり、リアルタイムでの専門医へのコンサル依頼が可能となります。

健診業務を劇的に変えるシームレスなデータ連携
━━ アイテック阪急阪神さんの「SmartTHOMAS」と「LOOKREC」は連携できると聞きました。連携することによってどのような効果が期待できるのでしょうか。
岡 まず健診業務の中でも非常に時間を要している「結果の転記」が基本的に不要になります。具体的には、読影の依頼、結果の出力、基幹システムへの取り込みの時間が大幅に削減可能です。
また「SmartTHOMAS」では問診情報に含まれるテキストデータを中心に管理し、「LOOKREC」では医療画像を中心にデータを管理しています。テキストデータと医療画像がしっかりと連携することで、今後新たなテクノロジーが出てきても、シームレスにつなげることができます。これは中長期的な目線でも大きなメリットだと言えます。
━━ 時間を大幅に削減可能とのことですが、どのくらい削減できるのでしょうか。
岡 現時点で読影の結果が返ってくるまでに5営業日かかっているとしましょう。「SmartTHOMAS」と「LOOKREC」が連携することで、前後の受け渡しを含め5営業日がまるまる短縮できるイメージを持ってもらえるとわかりやすいかと思います。
オンプレミスかクラウドか、健診システムと読影システムの選び方
━━ 今回は両社ともクラウドサービスをご紹介いただきましたが、健診システムと読影システムにおいて、オンプレミス型とクラウド型のどちらを選べばいいか、判断基準のようなものがあればお聞きしたいです。
堀野 一概にどちらが良いとは言い切れませんが、簡単に導入したいと考えている施設であればクラウド型の方が適していると思います。特に受診者数が50人以下であったり、巡回健診をしたりする施設におすすめです。
逆に、「自施設内で帳票をどんどん作っていきたい」「判定ロジックを増やしていきたい」といったカスタマイズ性を求めるのであれば、オンプレミス版の方がメリットが大きいと思います。
岡 読影領域に関しては、完全にクラウドが適していると考えています。オンプレミス環境で読影システムを構築しているお客様の事例になりますが、非常勤の読影医を増やすと各拠点ごとにVPNを繋ぐ必要があるため、業務が煩雑になり追加コストも発生します。
また、非常勤読影医の契約が終了した時点でVPNを除外しなければならないので、拡張性の面で頭を悩ませている施設も少なくありません。
クラウドであればブラウザだけで稼働するので、環境を構築する必要がなく、非常勤読影医にもすぐに参画いただける手軽さがあります。こういった点からもクラウドの方が有利だと言えるでしょう。
━━ 顧客満足度を高めるためには、クラウド型システムを上手に活用することがポイントなのだと理解できました。堀野さん、岡さん、ありがとうございました。
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記事内でもご紹介したクラウド型DICOMデータプラットフォーム
「LOOKREC」の詳細は以下のサービス資料よりぜひご確認ください
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