
地域医療連携の「見えない課題」とは?医療資源をつなぐネットワーク構想【ITEM2026 登壇レポート】
地域医療連携には依然として多くの課題があります。特に、依頼先選定や情報共有が属人的な運用に依存している点や、地域の医療資源や専門人材の可視化が進まず、地域医療連携の最適化が為されていない点は大きな課題です。
本記事では、こうした課題の本質と構造を整理するとともに、その課題解決に向けた新たなネットワーク構想「LOOKREC Connect(※)」について、ITEM2026 国際医用画像総合展のステージ登壇における当社代表取締役 阿部 伸一の講演内容をもとに解説します。
※ LOOKREC Connectは現在開発中のサービスです。ITEM2026では、コンセプトおよびデモを展示させていただきました。

現場で浮上している地域医療連携の新たな課題
阿部 伸一(以下、阿部) 地域医療連携においては、医療機関同士の情報共有や紹介フローの最適化など、依然としてさまざまな課題が存在しています。特に、依頼先の選定や情報共有が属人的な運用に依存しているケースもあり、業務負荷や患者の待機時間に影響を及ぼしている状況があります。
エムネスは2000年に創業し、25年以上にわたり遠隔画像診断サービスを提供してきました。さらに、遠隔画像診断の現場から生まれたクラウド型の医療情報管理共有プラットフォーム「LOOKREC」も提供してきました。LOOKRECは2026年3月時点で1,800以上の医療機関で利用されており、取り扱う医療データは累計で1,700万件に達しています。
CD-ROMによる画像管理の煩雑さやデータ移行のコスト、医療連携の非効率といった医療現場の課題に医療機関のみなさまと向き合う中で見えてきたのが、「画像データは共有できるようになってきたが、そもそもどこと連携すればいいのかが分からない」という新たな課題です。
地域医療連携の最適化を妨げる「見えない課題」とは
阿部 実際の現場では、紹介検査を行う際に「どこに依頼するか」を決めるプロセスが、依然として個人の経験や人脈に依存しているケースが少なくありません。
特定の大学病院や既存の連携先がある場合は問題ありませんが、それ以外の選択肢が見えづらく、結果として最適とは言えない紹介が行われている可能性もあります。
この「連携先が分からない」という課題は、単なる不便さではなく、地域医療全体の効率性や患者体験にも影響する重要な問題です。
さらに本質的な問題は、地域に医療資源が存在しているにもかかわらず、それが十分に活用されていないことです。CTやMRIといった検査装置、専門性の高い医師や技師など、地域医療を支えるリソースは存在しています。しかし、それらが「どこにあるのか」「どのような検査が可能なのか」が可視化されていないために、適切に活用されていない状況があります。
この「見えない課題」こそが、地域医療連携の最適化を妨げている大きな要因の一つです。
ステークホルダー別に見る地域医療連携の課題

阿部 この課題は、立場ごとに異なる形で現れています。
まず、かかりつけ医の立場では、患者さんのために適切な検査や専門医を紹介したいと考えていても、選択肢が見えないために時間がかかる、あるいは限られた選択肢の中で判断せざるを得ないという課題があります。
次に、検査装置を持つ医療機関では、設備や人材が整っているにもかかわらず、地域からの紹介機会が十分に得られていないケースがあります。これは装置の稼働率や経営面にも影響する問題です。
さらに、専門医にとっても、自身の専門性である読影スキルを十分に届ける手段が限られているという課題があります。
これらはすべて、「つながっていないこと」に起因しています。
医療連携は「点」から「ネットワーク」へ

阿部 従来の地域医療連携は、個別の関係性による「点」と「線」のつながりが中心でした。
しかし、この方法では連携の範囲が限定され、地域全体としての最適化には限界があります。そこで私たちは、クラウド技術を活用することで、医療機関や専門家をネットワークとしてつなぐことができるのではないかと考えました。
このネットワークが機能すれば、地域全体がひとつの大きな病院のように機能する、いわばソーシャルホスピタルのような状態を実現できる可能性があります。
地域医療連携を加速する新構想「LOOKREC Connect」とは

阿部 こうした背景から、私たちは新たに「LOOKREC Connect」という構想を立ち上げました。
これは、医療機関や専門家が持つ医療資源をネットワーク化し、地域医療連携をよりスムーズに進めるためのプラットフォームです。単なる情報共有にとどまらず、実際の連携までを一貫して支援する仕組みとして構築を進めています。
LOOKREC Connectでは、医療連携のプロセスを3つのステップで整理しています。
まず「探す」。 地域や検査内容などから、連携可能な医療機関を検索し、網羅的にリストアップします。
次に「見つける」。 各医療機関が保有する設備や検査内容を可視化・比較することで、最適な連携先を判断しやすくなります。
そして「つながる」。従来の煩雑な紹介・依頼のフローを効率化します。
LOOKREC Connectが地域医療連携にもたらす変化

阿部 この仕組みが実現すると、さまざまな変化が期待されます。
かかりつけ医にとっては、連携先の探索が容易になり、紹介業務の負担が軽減されます。
検査装置を持つ医療機関にとっては、新たな紹介機会の創出や稼働率の向上につながります。
専門医にとっては、自身の専門性を地域に届ける新しい手段となり、診断依頼の新たなチャネルが広がります。
そして患者さんにとっては、検査待ち時間の短縮や、より適切な医療へのアクセスにつながります。
LOOKREC Connectは単なるツールではなく、医療機関同士をつなぐネットワークそのものです。
また、この仕組みは、医療機関や専門家の皆さまに参加していただくことで、初めて価値を発揮します。
私たちは既存サービスである「LOOKREC」と同様に、現場の声を反映しながら、実用性の高いサービスを構築していきたいと考えています。地域にある医療資源をつなぎ、地域医療連携をより実効性のある形へと進めていきます。
ご関心を寄せていただいた方は、ぜひ一緒にLOOKREC Connectを作っていきましょう。
まとめ
今回の講演では、地域医療連携における「見えない課題」と、その解決に向けた新たな構想についてお話ししました。
今後の地域医療連携においては、医療資源を持つだけでなく、それを可視化し、必要な場所につなぐ仕組みが重要になります。
LOOKREC Connectは、地域医療を「点」から「ネットワーク」へと進化させる取り組みであり、医療の質と効率を両立する新たなインフラとして、その実現を目指していきます。
現在開発中のサービスのため、サービスリリースに向けて、多くの医療機関の皆さまからご意見やご協力をいただけますと幸いです。
地域医療連携についてこちらのダウンロード資料でも詳しく解説!
ぜひお役立てください
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