一般診療での遠隔画像診断・読影の上手な使い方を現役医師が解説!【セミナーレポート】
患者利益を上げつつ、効率的で質の良い医療をするために有用なのが遠隔画像診断です。
画像診断の役割とレポート作成のポイント、専門領域・非専門領域での効果的な依頼方法について、株式会社エムネス 放射線診断専門医の島村 泰輝に話を聞きました。
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目次[非表示]
医用画像を言語化し、今と将来を読み解く画像診断
━━ はじめに画像診断の役割について教えてください。
島村泰輝(以下、島村) 画像診断とは、非言語である医用画像を言語化することです。さらに画像から今の状態を読み取り、将来どのようになっていくのかを示唆する。これが画像診断の役割になります。
━━ 画像診断のレポートはどのような構成であがってくるのでしょうか。
島村 レポートは患者情報や依頼情報、所見、診断、キー画像、過去検査画像などで構成されています。症状や経過についての情報はもちろんのこと、性別や年齢といった患者情報、検査画像がいつ・どこで撮られたものか、何科の先生が撮られたものかといった情報は画像診断において重要な意味を持っています。
画像診断を依頼される先生方がレポートを受け取ったときに、重視されるのが「診断」と「キー画像」の部分です。これらの情報をもとに先生方は次のアクションを取っていかれると思います。
━━ 画像診断医に求められていることはどういったことだとお考えでしょうか?
島村 診断に慣れている画像診断医が読影1件あたりにかける時間は、約2〜11分と言われています。
患者さんを前に忙しくされている先生方に「この質なら自分で時間をかけて読影した方がマシだった」と思われないようにするために、我々画像診断医は期待を上回るアウトプットが求められます。
ポイントは、単に事実を述べただけのレポートでは先生方は満足できないという点です。
画像診断を依頼した先生は、すでに問診である程度の疾患の見当を付けていることが前提条件としてあります。放射線科医はその前提を理解した上で、次に行う検査や将来起こりうるであろう事象までを述べることが良いレポートだと考えています。
診療を左右する画像診断、質の高いレポートの条件とは
━━ レポートの質として、良いレポートと悪いレポートを見分けるポイントを教えてください。
島村 一般的に「長いレポート」の方が良いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。「長い」イコール「詳しい」と言うわけではなく、また「分かりやすい」かは別問題です。
もちろん情報量が多くて長くなることもありますが、レポートを読むのに5分以上かかってしまうようだと、依頼された先生方の手間を改善しているとは言えません。
良いレポートとは「ひと目で内容を理解でき、次のアクションを想起しやすいレポート」です。
具体的には、良いレポートには以下のような情報が盛り込まれている必要があります。
- 質問の返答がある
- レポートの本質がすぐに分かる
- rule outすべき疾患が分かる
- 行うべき治療方針が分かる
逆にこれらの情報が盛り込まれていなければ、悪いレポートだと言えるでしょう。
例えば「前立腺がん疑い」での画像診断依頼があった場合、レポートで「前立腺がん疑いあり」と返してしまっては意味がありません。依頼内容からその背景を読み取れていないと言えます。
もし「前立腺がん疑いあり」と書くのであれば、具体的な場所やPI-RADSのどのカテゴリーに相当するかなどの情報を盛り込む必要があります。
「左葉辺縁域の前立腺がん疑い、カテゴリー4相当」とレポートに書かれていれば、受け取った医師も「カテゴリー4なら前立腺がんの可能性は高いな」と読み取ることができます。
画像診断の精度を高めるには専門医と放射線科医の情報共有が重要
━━ 依頼する先生の専門領域と非専門領域とでは、読影の活用方法やレポートで意識するポイントは異なりますか?
島村 はい、異なってきます。
まずは専門分野の遠隔画像診断の場合、先生方はある程度すでに疾患の見当がついていることがほとんどです。
この場合の診断のポイントとなるのは次の三つです。
一つ目は「先生の下した診断が画像的にも後押しされているかどうか」。
二つ目は「対象となっているターゲット以外に異常所見がないか」、三つ目が「思いがけない部位に疾患のターゲットが隠れていないか」になります。
これは私の経験上の話になりますが、専門分野の診断の場合は、先生方の依頼文が簡素になりがちです。二つ目と三つ目のポイントについては放射線科であれば普段から行っていることなので問題はありませんが、一つ目の「自分の診断が後押しされているか」については依頼文が簡潔すぎると放射線科医も貢献しにくいという課題があります。
━━ より良いレポートがあがってくるために、依頼する医師側が意識するといいポイントもありますでしょうか?
島村 もちろん「自身の専門分野に対して依頼文を書く手間をかけたくない」という先生方のお気持ちはよく分かります。
そこで、ポイントとなるのがいかに依頼文を効率的に用意できるかです。
最も効率的なのが直近のカルテからの引用です。カルテの内容や血液検査の結果などをコピペしていただくだけでも、画像診断には強力な武器になります。文章でなく箇条書きでも全く問題ありません。依頼文の冒頭で聞きたいことを書いていただき、続けて箇条書きで情報をいただければ、それらを統合して依頼文書を作ることが可能です。
━━ カルテの引用や箇条書きレベルでもいいんですね。
島村 遠隔画像診断の最大のデメリットはカルテを閲覧できない点です。
カルテを閲覧できないと、検査前確率、正確には蓋然性が変わってきてしまいます。
遠隔画像診断の場合、先生方と私たちをつなぐのは、依頼文書と放射線レポートが中心です。したがって先生からの情報である依頼文書こそが、検査結果や放射線レポートの質に大きく関わってきます。
先ほどの前立腺がんの例で説明すると、同じ「前立腺がん疑い」の所見でも、以下のような情報の違いによって、どのくらい病変として取るか、見つけた後の解釈が変わってきます。
━━ 逆に、依頼文書を詳しく書くことでその内容に引っ張られ、自分の見て欲しいところが出てこないのでは...という心配もありそうです。
島村 全くないとは言い切れません。しかし、与えられる情報によって診断が変わってきます。
例えば「膝の痛み」一つとっても、一番の情報からであれば腸脛靭帯炎やジャンパー膝、真ん中は変形性膝関節症、最後だと骨折といったことが想起できます。
このように事前情報によって想起する疾患が異なる、複数の疾患が組み合わさっている場合にも優先順位を付けやすくなります。
依頼時に何を期待されているのか、ご要望を詳しく共有いただくことも質のいいレポートがあがってくるために重要なポイントです。
エムネスの遠隔画像診断では、先生方からのご要望をポップアップ表示するようにしています。例えば「脳ドックや肺ドックは公開まで行う」「DWIBSは異常なしでも画像を1枚以上添付」といった指示が可能です。読影の際には、これらのご要望を一つひとつ受けて、注意事項として見ています。
専門外領域の画像診断依頼は困りごとを共有し、最適なレポートを引き出す
━━ 専門外の遠隔画像診断はどのように活用するべきでしょうか。
島村 先生の専門外領域の場合、今後の治療戦略をどのように立てるかが重要なので、方向性を意識したレポートが求められます。
依頼時には、まずは「何に困っているか」を共有いただくことがポイントです。
先生方の困りごとを共有いただければ、我々読影医もそこにフォーカスした話ができるようになります。カルテの一部を共有いただくだけでも構いません。
例えば上記のような情報をいただければ、肺炎の疑いがあるかどうかを見るのはもちろんのこと「喀血を伴って抗生剤を使っても改善しないのであればアスペルギルスがあるのでは」「結核について考えた方が良いのでは」といったことが想起できます。
また、上記のような情報共有があれば、まずは骨折の有無が焦点になりますが「手根管症候群や手根屈筋腱断裂がないか」についても、より詳しく目を向けることが可能です。
もちろん詳細な情報がなければ、その疾患を見ないわけではありません。
「骨折精査」としか書かれていないからといって、手根屈筋腱を見ないというわけではなく、すべての画像を丹念に見ることは放射線科医であれば誰もが持っている基本技術です。
しかし、万が一所見があった場合、事前情報は病変として取るか取らないかの微妙な判断材料となる重要なものです。
読影室を身近に感じ、気軽に相談をしてほしい
━━ 最後に遠隔画像診断を活用するポイントを教えてください。
島村 遠隔画像診断を「まるで隣に読影室がある」ように扱ってください。
ご自身のクリニックや病院に読影室があるイメージで、放射線科医に気軽にご相談いただければと思います。
遠隔画像診断においては、依頼文書と放射線診断レポートがほぼ唯一のコミュニケーション手段になりがちです。
しかし、レポートで理解しにくいところを聞いていただいたり、解釈に対する見解を相談いただいたりすると、私たちもより良い医療に向けて協力ができます。
遠隔画像診断は、先生方の診断のプロセス全体を支援するツールです。したがって放射線科医に患者情報・臨床情報を具体的にご共有いただければ、より良いアウトプットに繋がります。
良いアウトプットとは、情報量だけでなく質の高さも含みます。診療に直結する具体的なアクションプランをサポートできるレポートを、私たちは提供していきたいと願っています。
━━ 遠隔読影を依頼される先生方と、放射線科医とが密なコミュニケーションを取れれば、より精度の高いレポートができ、それが良い診療につながるということですね。本日はありがとうございました。
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また、遠隔画像診断関することは以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。